4.0
あの子もこの子も
いわゆる「スクールカースト」をテーマにした群像劇。
女子高の人間模様が、それぞれの生徒の立場から描かれる。
オムニバスで、テンポよく読んでいける。
形式としては、好きな部類である。
私は男子高だったから、これが現実の女子高の姿にどれほど近いのかは全くわからない。
それに関する意見は、女性の皆さんに任せる。
ただ、さもありなん、とは思ったし、個々の登場人物の描き分けは、それぞれに個性があって、パリッとキャラが立っていた。
どのキャラクターの視線にも、光があり、影があった。
群像劇として、単純に、よく出来ていると思って感心した。
スクールカースト、という概念は厳然とあるとしても、その上位がハッピーで、下位が惨めだ、というほど、学校という社会は、というか、生きてゆくということは、単純ではない。
私の好きな小説の中に、「何かを持っている人間はいつそれを失うかと怯えているし、何も持たない人間は一生何も持てないままなんじゃないかと怯えている、みんな同じさ」という意味のくだりがる。
スクールカーストの最上位で肩で風を切って歩いているあの子も、何とか彼女にしがみついて生き抜こうとしているあの子も、下位でひっそりとうつむいているあの子も、実のところ、皆それぞれの痛みを抱えて生きている。
どこに属してどう生きたところで、イージーモードの人生というのは、多分、ないのだろう。
本作のスタンスというのは、そういった全てを、大人の興味本位の目線から笑うのではなく、少しずつでも彼女たちに寄り添おうとしたものであるように思えて、私は嫌いではなかった。
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