2.0
買いますか?
まあ、こんなことを言うのは野暮なのかもしれないが、何しろ、一本500万円のAVである。
読者の皆様に問いたい。
「それ、買いますか?」
一部の大富豪を除けば、私を含めて、全ての読者の答えは同じではなかろうか。
「絶対に買わない」。
そういう意味では、私はもう、スタートから入り込めなかった。
フィクションだから、「あり得ない設定」や「あり得ない展開」は受け入れるけれど、「あり得ない人間の選択」には、私は冷めてしまう。
ただまあ、売り手の男に、人間を見透かすような不思議な能力があって、それに客が引き込まれるような描写には、その「あり得ない選択」を何とかしようという工夫は感じた。
そのあり得なさには目をつぶるとしても、いわゆる「世にも奇妙な物語」系の話として、特筆すべき部分は、私には見出だせなかった。
全く別の作品だが、「走馬灯株式会社」という漫画を思い出した。
自分の人生の全てが記録されたDVDがある、という「あり得ない設定」の漫画だが、こっちは、非常にバリエーションに富んだ豊かなオムニバスで、圧倒的に面白かった。
というわけで、不思議なDVDを扱った「世にも奇妙な物語」系の作品ならば、私は断然「走馬灯株式会社」を推す。
- 3