4.0
悪趣味全開エンターテイメント
賛否あるにせよ、原作の小説は、「こういうジャンル」の先駆者としての功績は計り知れない。
今となっては、小説よりむしろ漫画の方に向いていたのではないか、という題材でもあり、また、いくら何でもスーパー中学生が多すぎることも、「小説の登場人物」よりは「漫画のキャラクター」としての方が受け入れやすくもあり、楽しく読めた。
最初は絵柄がちょっと合っていないような気もしたのだが、アクションの迫力はなかなかインパクトがあり、読んでいくうちに、はまっているように感じてきた。
私はこれが、中学生たちが無意味に不条理に殺し合いをする悪趣味なエンターテイメント、であると思うし、それ以上でもそれ以下でもなく、また、それでいいのだと思う。
殺し合いを描くことを通じて、逆説的に生きることの尊さをどうだとか、この作品に限っては、そういうことを言い出すのはむしろ野暮だと思う。
そうではなくて、この悪趣味で無意味な殺し合いを「楽しい」と感じてしまう部分が自分の中に存在しているのだと、それを認めて、受け入れて、楽しめばよいのではなかろうか。
フィクションである限り、どれほど歪んだものを楽しもうが、自由だ。
だから、フィクションは素晴らしいのである。
そんなもの、その人間の本質的な倫理観とは何の関係もない。
本作からは、「てめえら虫も殺せないみたいな顔しやがって、殺し合いの話を楽しんで読めるような人間のくせに」という読者に対する挑戦的な悪意を感じる。
そういった毒もまた、フィクションというものの魅力のひとつだろう。
本作の存在自体が、世の中の綺麗事に対する強烈なアンチテーゼみたいなものだとも思う。
いやはや、実に悪趣味で楽しいエンターテイメントであった。
- 5