4.0
異色のサスペンス
主人公の殺し屋は「思い込み」という人間心理を利用しており、トリックみたいなものは、特にない。
したがって、タイトルから「どうやって不可能な犯罪を!?」みたいな内容を期待すると、肩透かしを食らう。
いわゆる「本格ミステリ」ではないので、ご注意を。
この漫画の焦点はあくまで、人間の心の弱さ、醜さ、脆さ、そして哀しさを描くこと。
その狙いを、主人公の殺し屋が完全に体現している構図になっている。
「なるほど!」というようなミステリのカタルシスはなく、逆に、「本当にそんなんで死ぬか?」というモヤモヤも残るには残る。
しかし、人間の暗部をひたすらえぐる異色のサスペンスとして、完成度は高いと感じた。
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