5.0
そのダメさがいとおしい
現実だったら関わりたくないような危ない人間や、軽蔑するしかないダメ人間も、作品の中では魅力的になり得る。
それは、フィクションの面白さのひとつであると思う。
ただ、この漫画には、単に「キャラクターを上手に造形する」という次元を超えた、ダメ人間に対する愛情みたいなものを感じた。
それは、「ダメ人間だって一生懸命生きているんだよ」というような上からの偽善的な目線ではなく、ダメであることをどうしようもなく愛してしまうような、リアルで愚かな温かさだったように思う。
私はさすがにこの漫画の主人公ほどダメ人間ではないが、ダメ人間としての資質を間違いなく持っている。
ダメ人間を否定的に描いた漫画はたくさんある。
ダメ人間を肯定的に描いた漫画もたくさんある。
けれど、肯定も否定も飛び越えて、そのダメさがいとおしい、という漫画は、あまりなかった気がする。
だから私は、この漫画を永遠に支持する。
- 7