4.0
どうかと思うけど
「闇金ウシジマくん」本編ではウシジマくんの宿敵と言うべきポジションにいた、滑皮を主人公に据えたスピンオフ作品。
ラーメンが題材にはなっているけれど、本格的なグルメ漫画というわけではなく、あくまで滑皮のキャラを逆手にとった裏社会コメディみたいなのが基本線で、ラーメンはそれこそ軽い「味つけ」という位置づけ。
まあ、それはいいのだが。
ちょっとどうかと思うのは、本作において付与された滑皮というキャラのイメージである。
というのも、私は「ウシジマくん」本編で、滑皮という人間が嫌いだった。
理由は単純で、ウシジマくんにひどいことをするからである。
あの漫画は、主人公のウシジマくん自身が決して「善人」ではないわけで、どこに「悪役」をもってくるのか、というのは難しい問題だったはずだが、それをいとも容易くクリアして見せた滑皮という男は、まさに出色の悪役であった。
それが、どうだろう。
このスピンオフで、ちょっと好感度が上がってしまうような気がする。
感じ方に個人差はあるにせよ、滑皮という男のキャラの変貌ぶりは、いかがなものか、と。
ただ、そのような難点はあるものの、スピンオフとして原作ファンに嬉しいサービスもあった。
それは、本編で登場した(往々にして悲惨な末路を辿った)キャラたちの「その後」が描かれている点である。
暴走族の愛沢、情報商材詐欺師の天生、オサレエンペラーのG10(お前生きてたんかい!)など、原作ファンがニヤリとする出演の数々、こういうのがスピンオフの醍醐味だろう。
特に風俗嬢の瑞樹の登場は、本編では「ちょっと気の毒すぎないか」と思っていただけに、何だかほっとした。
天生ハイパーメソッドで一山当ててラーメン屋で成功した愛沢が、店に来た滑皮にラーメンのアピールとか、もう面白すぎる。
というわけで、根本のところでは難点もありつつ、脇の部分ではなかなか楽しいスピンオフであった。
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