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作品レビュー
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401 - 410件目/全499件

  1. 評価:3.000 3.0

    キャラクターの完成度

    ストーリーはなかなか面白いのだが、漫画としての表現力(画力を含めて)が、それに追いついていない気がする。
    そこは、残念。

    ただ、朱鷺子というキャラクターは非常に独特で、今まで読んだどんな漫画の登場人物とも違っていた。
    他者への共感が欠如した、ある種のサイコパス的な人間だが、実のところ、異常なほど一本筋が通っている。
    読み進めれば読み進めるほど、彼女の哲学みたいなものが明確になる仕掛けになっていて、感心した。
    身近にいたらどう考えても関わりたくないが、漫画のキャラクターとしては綿密に計算し尽くされており、完成度は高いと思う。

    • 9
  2. 評価:4.000 4.0

    世界の終わり

    世界の終わり、というと大袈裟だけれど、子どもの頃の私たちの世界は、小規模なレベルで言えば、しょっちゅう「終わって」いたのではなかろうか。
    大好きな友達と喧嘩をしたとき、親に強く否定されたとき、大切なゲームのセーブデータが消えたとき、それこそ世界が終わるほど傷ついたものだ。
    そういう「あの頃」の感覚を、時代特有の終末感と重ね合わせて、上手に表現した漫画だと思った。

    この漫画にあるように、私たちの「あの頃」には、小さな世界を傷つけようとする怪獣も(人によっては、たぶん恐怖の大王も)いた。
    私たちはそれに対抗する術を持たず、かといって、タイミングよく現れるヒーローもいなかった。
    そのやるせなさと、無力感。
    それもまた、この作品ではとても明瞭に描かれていた。
    胸が痛くなるくらいに。

    私たちの小さな世界は何度も壊れ、壊され、それでも私たちは、粉々になった世界の欠片を何とか拾い集めて縫い合わせて、大人になってゆく。
    それは目を背けたくなるくらい切なくて、あり得ないくらい尊いことだと私は思う。

    それだけに、ラストは残念だ。
    色んな解釈はあるのだろうが、私は、何か投げ出したような印象を受けてしまった。

    • 7
  3. 評価:5.000 5.0

    容赦ない

    これを読んで、同じ作者の「ミスミソウ」という作品について、何か納得がいった。
    この作者は、恐怖や絶望を表現することに容赦がない。
    「そこまでやるか」ということを、平気でやる。
    その思いきりのよさが怖すぎる。
    加えて、唐突なホラー描写の破壊力も、漫画として素晴らしい。

    しかし、この作品の最大のアイデンティティーは、そういう正統なホラーの枠組みを根底からぶっ壊すほどのパワーで躍動する、○○の存在感だろう。
    完全なバランスブレイカーなのに、あり得ないくらいに魅力的だった。

    絶望的なホラーでありながら、あまりにもぶっ飛んでいる、日本版&漫画版「エクソシスト」とでも呼びたくなる傑作。

    • 23
  4. 評価:2.000 2.0

    中身は…

    表紙とタイトルはよい。
    しかし、中身は…申し訳ないが、小学生のときに読んだら怖かっただろうな、というくらいの感想しか持てなかった。

    • 4
  5. 評価:4.000 4.0

    稀なリアリティー

    「現実」の問題を題材にした漫画は多くあるけれど、そのほとんどは、読みながらどこかで「結局、漫画だよな」という感想がつきまとう。
    それは仕方のない話で、漫画としてエンターテイメントをやる以上、何かしらの脚色や誇張が入るのは、当然といえば当然だ。

    しかしこの漫画は、そういう漫画としての演出を、ゼロとは言わないが、限りなくゼロに近づけているのではないか、と感じた。
    それによって獲得された稀なリアリティーが、漫画としてどこまで魅力的かは難しい。
    ただ、ある意味でエンターテイメントを拒絶したその勇気は、賞賛されるべきかもしれない。

    • 115
  6. 評価:5.000 5.0

    空気を読む私たち

    「KY」が流行語になったのは2007年だった。
    その頃からだ、世の中で「空気読めよ」とやたら言われ出したのは。
    ただ、そんな流行語が出来るはるか昔から、「空気を読む」文化は日本では当たり前のものだった。
    どんな文化にもいい面と悪い面があるが、「空気を読む」社会の無言の同調圧力みたいなものに、息苦しさを感じている人は多いだろうと思う。
    だから、凪が共感を呼ぶ。
    私もそうで、凪とはまるで違う人間なのに、非常に共感を持った。
    これは漫画としてすごいことだと思う。
    キャラクター個人の問題を超えて、時代とか社会とかを切り取るのに成功した、ということだから。

    でも、難しい。
    「空気を読むことより大事なことがある」という気づきは素晴らしいけれど、読まなくてはいけない空気の外の世界で、より大事な何かのために生きるのは、簡単じゃない。
    そもそも、その「大事な何か」がよくわからなかったりして。
    そんな、厳しい戦いの物語として私は読んだ。
    本気で凪を応援したくなった。
    中島みゆきの「ファイト」でも歌ってやりたくなった。
    「戦う君の歌を、戦わない奴らが笑うだろう。ファイト!」って。

    そして、我聞の位置づけが素晴らしい。
    駄目な男と思いつつ、私は我聞も応援したくてしょうがない。
    彼はある意味、空気を読む達人だ。
    その才能が、彼を営業部のエースにした。
    でも、一番大切な人の空気、読めてないやんけ、と。
    だから、駄目男。
    そうなんだけど、多分、我聞にとっては、唯一、凪だけが、空気を読まなくていい相手だったのではなかろうか。
    その甘えは、駄目だけれど、もう一度、チャンスを与えてやれないか、と。
    そういう意味では、空気を読むことをやめた女と、空気を読め過ぎるくせに一番大事な空気が読めなかった男の、すれ違いの恋物語でもある。

    あー、二人とも、何か、すげー幸せになってほしい。
    漫画を読んで本気でそんなふうに思ったことは、私にはあまりない。

    • 367
  7. 評価:4.000 4.0

    道具は人間次第

    世にも奇妙な物語」路線の作品だが、個々のエピソードの完成度が高い。
    話の展開の「ひとひねり」が丁寧に作られていると感じた。
    ちょっとしたことなのだが、特にこのような連作短編形式の漫画は、そのちょっとした差が、大きな違いを生むのだろう。

    また、単に奇妙な世界を描くのではなく、「道具」を作品の真ん中に置くことで、「道具の価値や意義は結局、使う人間次第だ」という一貫したテーマが、綺麗に作品に乗っている。
    「道具は使っても、道具に使われてはいけない」という教訓は、次から次へと便利すぎる道具が産み出される現代社会において、結果的にだが、辛口の警鐘にもなっている気がする。

    • 15
  8. 評価:4.000 4.0

    意外な引き出し

    作者の引き出しの豊富さに驚いた。
    ミステリとしていわゆる「本格」の域ではないけれど、それを求めてこの漫画に手を伸ばす読者はほとんどいないだろう。
    むしろ、意外にちゃんとミステリしている、という印象だった。
    緊張感に溢れるゴリゴリのミステリではなく、一風変わった軽快なミステリである。

    この作者は、漫画としての「ちょうどよさ」みたいなものをよくわかっている気がする。
    このミステリの「軽さ」にしてもそうだし、絵柄にしてもそう。
    疲れずに心地よく読める。
    それこそ料理じゃないが、さじ加減が絶妙である。

    ただ、欲を言えば、最初の「エピソードゼロ」的な話は、もっと後半に持ってきたほうが、構成としてはパリッとしたようには感じた。

    • 2
  9. 評価:1.000 1.0

    承認欲求・表現の稚拙さ

    承認欲求は、私にもある。
    例えば、仕事で認められたい。
    例えば、妻にカッコいいと思ってほしい。
    それは「リアル」での話じゃん、というならば、ネット上の話でもいい。
    例えば、このサイトで自分のレビューに「参考になった」が入れば、嬉しい。
    それは、SNS(私はやらないが)での承認欲求と、本質的にはさして変わらないと思う。

    ネット上での承認欲求は、無自覚に生まれやすいし、手軽に自分を偽れるぶんだけ、歪んだり、現実と乖離していく怖さがあるし、程度によっては現代の病の一種だろうから、上手く描けば面白いテーマだと思う。

    ところが、この漫画はびっくりするほど面白くない。
    理由は色々あるけれど、ひとつには、あまりに表現が稚拙すぎる。
    絵の上手い・下手については触れないが、要するに、登場人物の感情をモロに文字で書く以上の表現が、この漫画には何もない。
    小学生の作文じゃあるまいし、例えば漫画の主人公が「俺は今、嬉しいぞ!」とか「うおー!悲しいぜ!」とかしか言わなかったら、そんなもの、もはや表現とは呼べない。

    • 158
  10. 評価:5.000 5.0

    揺さぶられる感傷

    昔読んだ小説の中で、語り手が「今までの人生で得たものと失ったもののリスト」を作ろうとするくだりがあった。
    まだまだ長い人生だ(と思う)が、私はこれから、何を得て、何を失って、生きてゆくのだろう。
    そして、死んでゆくのだろう。
    この漫画を読んで、そんなことに思いを馳せた。

    「うせもの」は「失せ物」である。
    「探し物」ではないのだ、本来は。
    だから、私たちはその多くを、見つけられない。
    取り戻せない。
    でも、永久に失ってしまった何かと、誰かと、もう一度、向き合うことが出来たなら。
    せめて、この世の別れの際に。
    そんな感傷を、ぐらんぐらんに揺さぶられる作品。
    駄目だ、涙なしには読めなかった。

    • 7
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