rokaさんのレビュー一覧

rokaさん

レビュアーランキング  2

  1. 評価:5.0 103件
  2. 評価:4.0 104件
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  4. 評価:2.0 33件
  5. 評価:1.0 18件
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  1. 本当はこわい仏教むかし話 へのレビュー

    評価:4.000 4.0
    絵柄やタイトルとは裏腹に

    日本最古の説話集「日本霊異記」を漫画にしたもの。

    ゆるい絵柄やありがちなタイトルとは裏腹に、かなり硬派に仏教説話の内容を綴った漫画。
    古典を題材にした漫画には、原典をろくすっぽ読み込まずに、漫画としてネタにしやすい部分を都合よくピックアップしたような雑な作品が多いけれど、本作はそうではなく、誠実に原典と向き合っている姿勢が感じられ、好感を持った。
    そういう意味では、(ポップではあるけれど)タイトルが悪い、とも思う。

    エピソードに加えて、その説話が何を伝えているのかについて、作者による解説もある。
    これは、作品としては無粋という見方もあるだろうが、私はこのくらいわかりやすくてもいいのではないかと思った。

    また、そのうえで、一種の不可解さというか、現代の一般ピーポーの文脈からは理解しかねるような原典の空気も伝えており、それはそれで面白かった。
    まあ、平安時代の読者にどのくらい作品の真意が伝わっていたのかも、怪しいものだと思うし、そんなことを考えてみるのも、興味深いかもしれない。

  2. 発明としてのパロディ、完璧なカオス

    芥川、漱石、鴎外、太宰など(トルストイやカフカといった海外の作品もある)の著名な文学作品を、ごく短い漫画にまとめた形式の作品。

    もちろん、長編小説(あるいは短編でも)を10ページ程度の漫画に収めることにそもそも無理があるので、一種のパロディとして読むしかないのだが、その目のつけどころというか、漫画としての新しさには感心した。
    これはもう、ひとつの発明だと思う。

    読んだことのある作品については、「確かにこんな話だったな」と懐かしく思い出したり、「そうまとめてきたか」とちょっとした驚きがあったり。
    また、未読の作品については、何となくわかった気になる(本当はわかるわけないんだけど)という、妙な楽しさがあった。

    そして、何が凄いって、絵柄である。
    要するに水木しげるの高レベルな模写なのだが、登場人物だけではなく、背景や描き文字(ジョジョでいうと「ゴゴゴゴ…」みたいなアレ)まで寄せてくる徹底ぶりには度肝を抜かれた。
    私は水木しげるの大ファンなので、もう永遠に読めなくなってしまった彼の新作を読んでいるようで、何やら得をした気分になった次第である。

    クラシックな文学作品の要約されたパロディを、よりによって水木しげるの絵柄で読むというのは、一瞬、自分の居場所がわからなくなるような、ほとんど完璧なカオス体験であり、私は大満足であった。

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  3. 親愛なるA嬢へのミステリー へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    叙情のミステリ、物語の物語

    文学少女、というか文学オタクの少女と、ある事件をきっかけに筆を折った小説家の探偵を主人公にしたミステリ。

    コナン君や金田一少年のような「謎解き」に主眼を置いた漫画ではなく、そういう意味では「本格」ミステリでは決してない。
    むしろ、事件がなぜ起きたのか、その背景には人々のどのような情念や執着があったのか、という部分が焦点であり、ミステリと呼ぶには、随分と叙情的な作品である。
    これは決して非難ではなく、こういうミステリ漫画もあり、というか、こういうミステリ漫画がもっとあってほしい、と感じた。
    ミステリのトリック的な部分にはあまり感心しなかったが、事件に秘められた人々の想いには、何度もハッとさせられた。

    もうひとつ、本作は、「本(というか、フィクション)を読むとはどういうことなのか」を紐解いてゆく物語でもある。
    フィクションというのはもちろん、「嘘」の話だ。
    人は、嘘を嘘と知りながら、なぜフィクションなんてものを必要とするのか。
    私の好きな小説の中に、こんな文句がある。
    「ある種の真実は、嘘によってしか語れないのだ」。
    この漫画は、そんなふうに答えを明示しているわけではないけれど、「物語とは」というテーマは、文学少女と小説家を主人公とする本作のストーリーと密接にリンクしており、なかなか興味深かった。

    この漫画の登場人物たちは皆、ある意味で、物語によって傷つけられ、損なわれ、そしてまた、物語によって救われてゆく。
    それは、自らの物語を生きる私たちの姿そのもののようで、感動的であった。

    この漫画が何の物語なのかと問われれば、やはりそれは「物語の物語」ということになると思うし、漫画として「物語を生きること」というテーマに果敢に挑んだその勇気は、称賛に値すると私は思う。

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  4. 千年万年りんごの子 へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    因習と、運命と、愛と

    「りんごの村」に婿入りした主人公が村の禁忌を知らずに破ってしまったことで、妻が生け贄(的な何か)にされることになり…というストーリー。

    閉鎖的な村の伝承と因習を紐解いてゆく展開はちょっと横溝正史的というか、ある種のミステリーであり、民俗学をバックグラウンドに据えた舞台装置は、なかなか魅力的であった。

    だが、そのミステリーの「着地点」は、犯人がどうとかトリックがどうとか、そういうことにはなり得ない。
    何しろ相手は超自然であって、神様みたいなものだから、「解決」なんてあるはずがない。
    どうしたってミステリーがファンタジーの文脈へと回収されてゆくわけで、そのあたりの落としどころをどう定めるかという部分には結構、注目していたのだけれど、これはもう、見事という他なかった。

    そして、忘れちゃいけない、本作はラブストーリーなのだった。
    ミステリアスで、ファンタジックで、でも何より、ラブストーリーなのだった。
    共同体の中で揉み消され、「なかったこと」として忘れ去られていった愛は、逆らいようのない運命に踏み潰され、吹き散らされていった愛は、昔も今も(それこそ決して「物語」にはならない次元で)掃いて捨てるほどあったのだろう。
    しかし、因習にも運命にも命をかけて抗って、文字通り全てを失う覚悟で守ろうとした、優しくて穏やかだけれど、苛烈で壮絶なその愛の発露に、私は泣いた。

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  5. マガマガヤマ へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    怪談の節度

    「山」にまつわる怪談の短編集。

    この作者はホラー描写にとても安定感があり、変な言い方になるが(ホラーなのに)、安心して読める。

    怪談として、非常にセンスがいいと思った。
    全ての話において、「わけのわからない部分」を、慎重に残している。
    そうなのだ。
    いくら話として、あるいは画として、怖くても、正体とか因果関係がスマートに説明されてしまったら、ホラーは、弱くなる。
    わけがわからないことほど恐ろしいからだ。
    かといって、あまりにわけがわからなすぎても、読者はついてこない。
    そのあたりがバランスだし、センスなのだと思う。

    「わかるのは、ここまで」。
    本作はその抑制されたバランス感覚が素晴らしく、読む人に、何とも嫌なひっかかりを残す。
    その「嫌なひっかかり」こそがホラーの余韻であるし、怪談としての愛すべき節度であると私は思う。

  6. Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁 へのレビュー

    評価:3.000 3.0
    入り込めず

    警察の扱わない事例を調査する、民間の科捜研の調査員を主人公にしたミステリ漫画。
    例えば痴_漢の冤罪とか、父親の死の真相とか、ストーカー被害とか、調査対象は多岐に渡る。

    民間の科捜研、という設定は新鮮だったし、ちょっとふざけたハードボイルド、という感じで面白そうだったのだが、イマイチ入り込めなかったのはなぜだろう。
    個々の事件の過程にも顛末にも、あまり感情を動かされることがなかった。
    合う、合わない、という言い方を安直にするのも気が引けるが、私は、どうにも駄目だった。

  7. ブラッドハーレーの馬車 へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    とんでもないものを読んでしまった

    何かとんでもないものを読んでしまった、という気持ちになり、心がひどくざわついた。
    人に薦めるのは気が引けるが、凄い作品である。

    近代西洋を舞台に、国内有数の資産家である「ブラッドハーレー家」に養子にもらわれていった少女たちをめぐるオムニバス。
    ブラッドハーレー家は全てその養女からなる劇団を保持しており、孤児院で暮らす少女たちにとって、ブラッドハーレー家の養子となることは、憧れであり、希望であった。
    しかし、ブラッドハーレー家が養子をとることには、おぞましく残酷な裏の理由があり…というストーリー。

    何の救いもない作品で、典型的な「鬱漫画」の部類に入るので、読者を選ぶ。
    しかし、その完成度は半端ではない。
    美しく丁寧な描き込み、文学作品のような格調高いナレーション、繰り返し提示される人間の醜さと、その中で小さな光を放ち続ける人間の美しさ。
    地獄のど真ん中においてさえ失われない、というか、失うことの出来ない良心や尊厳は、この漫画ではしかし、決して報われることはなく、ときにはさらなる悲劇さえ生む。

    そういう全てに、私は徹底的に魅せられてしまった。
    ストーリーとか、キャラクターとか、そういうものにではなく、この漫画が構築した、より大きな何かに。
    それは、安易な言い方をすれば、世界観、ということになると思う。

    残酷だとか、救いがないとか、確かにそうなのだけれど、この漫画の価値や本質は、そういうところではない気がする。
    他のどこにもない世界を確かに創り出し、読む人をそこに引きずり込んで、忘れ得ない傷を残す。
    これはそういう漫画であって、それはあまりに恐ろしく、美しい。

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  8. ライジング インパクト へのレビュー

    評価:4.000 4.0
    二度の打ち切り

    少年ジャンプ史上、二度の打ち切り、というか、そもそも一度打ち切られて再開した漫画というのは、本作だけらしい。

    一人一人のキャラクターがよく立っていて、学生時代、大好きだった。
    「動」のガウェインと「静」のランスロット、激情の東堂院と執念の黒峰のカップル、謎の王煉、カッコよすぎる無敵のトリスタンなど、今でも鮮明に思い出す。

    後半はもう、小学生がドライバーで450ヤードかっ飛ばすとか、中学生が70ヤードをワンパットとか、120ヤード以内ならほぼ確実にチップインとか、バトル漫画のインフレに陥ってしまったが、「本格ゴルフ漫画」ではなく「ゴルフバトル漫画」としては、抜群に面白かった。

    多くの登場人物たちの背景にドラマがあり、作者が、一人一人のキャラクターに愛情を持って描いているのが伝わる漫画だった。
    彼らのバックグラウンドの描き方は、切なくて、でも重すぎない、少年漫画としては理想的なバランスだったと思う。
    特に、トリスタンの過去の物語は出色であり、大会後、ガウェインの飛行機を見送るトリスタンの表情には、心の底から感動した。

    星をひとつ引いたのは、やはり、二度の打ち切り、特に二度目の打ち切りによって放り出された多数の「描かれなかった」部分が、あまりに残念だったためである。

  9. おろち へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    「楳図かずお」というジャンル

    超能力みたいなものを持つ主人公の少女「おろち」は、狂言回し的な役割(アウターゾーンのミザリーとか、ウシジマくんとかのポジション)で、彼女が関わる様々な人々の物語を描いたオムニバス。

    独特の表現力と、キレのあるストーリーで、一話一話の完成度が非常に高い。
    怪しく美しい絵柄もさることながら、オカルトの要素を用いつつ、人間の醜さ、あさましさ、嫉妬や憎悪や執念の恐ろしさ、そして哀しさを炙り出すような手腕には舌を巻く。

    「恐怖漫画」というジャンルを確立した楳図かずおの功績は、今さら語るまでもないけれど、登場人物がただ叫んだり笑ったりするだけの表現が、他のどこにもないホラーになり得てしまうというその圧倒的なオリジナリティーは、もう、「楳図かずお」というひとつのジャンルであると言ってもいいくらい、凄いと思う。

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  10. 寄生獣リバーシ へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    静かで、グロテスクで、ロマンチック

    この漫画のことはだいぶ前から知っていたのだが、読む気になれなかった。
    というか、避けていた。
    理由は単純で、私がオリジナルの「寄生獣」をあまりに好きだからだ。
    大好きな作品について、アニメ化とか映画化とかスピンオフとかでがっかりさせられるのはよくある話で、「寄生獣」というのは、私にとって非常に特別な漫画であり、また「完成品」であって、何がスピンオフだ、と思っていたのだ。
    ましてや、別の作者で。

    しかし、読んでみてよかった。

    主人公はあの広川の息子である。
    最初は、主人公の造形が明らかにオリジナルの絵柄ではなく、違和感があった。
    だが、オリジナルのキャラクターたちの描写は、素人目に見ると、ほぼ完ぺきな「模写」であった。
    そのため、印象としては、「新しいキャラクターが、寄生獣の世界に紛れ込んでいる」という感じに近い。
    その違和感すらも一種の味として感じられたのは、スリリングでサスペンスフルで、それでいて「静か」である、というオリジナルの雰囲気に上手く近づけてあることが大きい。
    構成も非常に巧みで、テンポがいい。

    そして、何といっても、忠実に再現されたオリジナルのキャラクターたちが動いていることに、胸が躍る。
    広川、刑事の平間、田宮良子といった主要キャラクターはもちろん、「こんな奴まで」という名もなきマイナーなところまで、彼らの新しい物語をもう一度見られるなんて、何だか夢のような話だ。

    それはきっと、作者の、夢だったのだろう。
    「寄生獣」が私なんかよりずっと大好きで、「こんな漫画が描けたら」と思いながら漫画家になって、本当に「寄生獣」を描くチャンスを掴んだのだろう。
    それは、「あり得ない」はずのことだった。
    最初に書いたとおり、「寄生獣」は「完成品」だからだ。
    でも、あり得ないようなことだから、夢なのだ。

    静かで、冷たくて、グロテスクでありながら、存在自体があまりにロマンチックな、特別な意味を持つ傑作。

    2人の方が「参考になった」と投票しています

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