“キャプ翼”世代とジャンプっ子 FC東京クラブコミュニケーター・石川直宏×MF三田啓貴が語る、漫画と歩んだサッカー人生<前編>

“キャプ翼”世代とジャンプっ子 FC東京クラブコミュニケーター・石川直宏×MF三田啓貴が語る、漫画と歩んだサッカー人生<前編>

更新日:2020/03/06 10:00

FC東京で選手時代はクラブからもサポーターからも愛され、現在はクラブコミュニケーターを務める、元サッカー日本代表の石川直宏さん(38)。そして現在FC東京でMFとして活躍し続ける三田啓貴選手(29)――2012年から2015年まで一緒にプレーもしていた2人は、世代は違えども少年時代から漫画がそばにあるサッカー人生を送ってきました。「翼くんは憧れだった」という石川さんと、「今も『週刊少年ジャンプ』を読んでいる」という三田選手、2人の漫画観とは?

(左)三田啓貴選手 (右)石川直宏クラブコミュニケーター

(左)三田啓貴選手 (右)石川直宏クラブコミュニケーター

控室で「ジャンプ」の回し読み FC東京の漫画事情

――FC東京のリフレッシュルームには、選手がそれぞれ持ち寄った選りすぐりの漫画が置いてあると耳にしたのですが。

石川:ありますね。専用の漫画棚に作品がずらりと並んでいるんです。自分の加入前に先輩が置いていったままの漫画もあったりするので、かなりたまっています。

三田:自分は「賭博黙示録カイジ」 (福本伸行/highstone,Inc.) シリーズが好きなんですが、リフレッシュルームでたまたま読んでハマりましたね。

石川:あー、確かに置いてあったね。誰のなんだろう……いつの間にか並んであった気がする。

FC東京の漫画事情を思い出す2人

FC東京の漫画事情を思い出す2人


三田:賭博黙示録カイジ」 には「17歩」という独自ルールの麻雀で対決する話があるんですが、もともと麻雀が好きなのもあってすごく面白かったんです。主人公の伊藤開司(いとうかいじ)は生粋のギャンブラーで、非日常の世界に生きる姿にしびれています。


――選手間でよく漫画の話はしますか?

三田:ナオさん(※石川さんの愛称)が引退した後になるんですが、FC東京のロッカールームには毎週「週刊少年ジャンプ」(集英社)が届くようになっているんです。誰が一番早く読むか取り合いになっていますね(笑) 今だったら永井謙佑選手とかと……。

石川:ジャンプを今でも毎週読んでいるの!? 「早く読み終われよー」とか言っているんだ(笑)


――高校の部室みたいな空気ですね(笑) お二人は普段からけっこう漫画は読まれるのですか?

石川:タマ(※三田選手の愛称)はめっちゃ読みそうだね。

三田:高校時代はもっと読んでいましたが、今は「週刊少年ジャンプ」で昔から好きな数作品を読み続けているぐらいですかね。中でも「HUNTER×HUNTER」 (冨樫義博/集英社) といったジャンプ作品は好きです。あとは地元の友達が勧めてくれた作品を読むとか……最近だと、それこそ今話題の「鬼滅の刃」 (吾峠呼世晴/集英社) とか。

石川:すごい、どんどん出てくる。

三田:まだ序盤しか読めていないのですが、鬼になってしまった竈門禰豆子(かまどねずこ)がどうなってしまうのか展開が楽しみです。

生粋のジャンプっ子だった三田選手

生粋のジャンプっ子だった三田選手


――「週刊少年ジャンプ」を読み始めたのはいつ頃からでしたか。

三田:小学校から中学校に入るあたりだったかなと。最初は「ONE PIECE」 (尾田栄一郎/集英社) や「NARUTO―ナルト―」 (岸本斉史 スコット/集英社) みたいな人気作のアニメを好きになって、そこから原作が連載されている「週刊少年ジャンプ」も読むようになりました。

石川:自分も高校ぐらいまでは、ジャンプはもちろん「週刊少年マガジン」(講談社)や「週刊ヤングマガジン」(講談社)、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)とかいろんな雑誌を読んでいたなぁ。でも内容は覚えていなくて、パラパラと流し読みしていた感じです。

三田:しかしすごい話ですよね、今年で30歳になるのに未だにジャンプを読み続けているなんて。「ONE PIECE」 がここまで続くとも思いませんでしたし、最終回はまだまだ先になりそうじゃないですか。「HUNTER×HUNTER」 も連載再開、待っています(笑)

サッカーに通じる 仲間のために行動するキャラクター

――三田選手は人生で一番好きな漫画にも、「ONE PIECE」 を挙げていましたね。

三田:はい。いろんなキャラクターがいる中にも、強いキャラクターが数多く登場するのが好きですね。一番好きなのはポートガス・D・エースです。


――エース、人気ですよね。特にどのあたりが好きですか?

三田:男気ある生き様がかっこいいですね。黒ひげ(マーシャル・D・ティーチ)との戦いでも相手が自分より強いとわかっていながら、殺された仲間のため、頭である白ひげ(エドワード・ニューゲート)を海賊王にするために挑んでいく。「ONE PIECE」 のこうした仲間意識はサッカーに通じるものがあると思います。

黒ひげと戦うエース

黒ひげと戦うエース

ONE PIECE
(c) 尾田栄一郎/集英社

石川:ONE PIECE」 が好きな選手、みんなそれを言うよね。僕も一時期すごくハマって単行本をそろえていました。途中で完全に止まっているけど……。

三田:ルフィ海賊団は抜群に一体感があるチームなので、キャラクターをサッカーの各ポジションに例えて役割を分析するといろいろ学べるかもしれません(笑)


――石川さんは普段、どんな風に漫画を読んでいますか。

石川:自分は極端で、本屋へ行ったときにまだ1巻ぐらいしか出ていない漫画の中から、自分のセンスに刺さる作品をとりあえず買っています。面白かったらそのまま読み続ける。

石川さんの漫画の探し方は個性的

石川さんの漫画の探し方は個性的


――かなり冒険的ですね。

石川:世間で話題の作品って、自分の耳に入るころにはかなりの巻数が出ていて手を出しづらいんです。ハマったときに時間が大量に奪われてしまうのが怖くて。


――どういう漫画を好きになるんでしょう。

石川:尖った、個性的な作品が多いですね。例えば「土竜の唄」 (高橋のぼる/小学館) とか。警察官の主人公・菊川玲二(きくかわれいじ)が暴力団に潜入捜査する話です。

三田:読んではいないですけど、実写映画化されていましたね。

石川:その玲二がおちゃめなんだけれど男気にあふれた、人を引きつけるキャラクターで。特に、潜入先で兄弟分となる日浦匡也(ひうらまさや)と義理人情を築き上げながら、警察としての立場との間で揺れ動く姿がいいですね。暴力は悪いことですが、任侠の世界ならではの絆が描かれた作品だと思います。


――三田選手もそうでしたが、サッカーをやっていると仲間意識が気になるものなのでしょうか。

石川:チームで戦っているから自然とそうなるのかもしれません。そういう風に漫画について考えたことがなかったから面白いですね(笑)

翼くんの背中を追いかけたサッカー少年時代

――石川さんが人生で一番好きな漫画は何でしょう。

石川:やっぱり「キャプテン翼」 (高橋陽一/集英社) です。僕が5歳でサッカーを始めた頃はちょうど連載中で、主人公の翼くんこと大空翼(おおぞらつばさ)をイメージしながら練習するなど、がっつりと影響を受けました。タマは読んだことある?

三田:見たことはありますが、漫画ではなくアニメでした。

石川:自分は単行本を全巻持っているから……(笑) 翼くんは小学校編、中学校編、高校編と、現実の僕より少し先のステージで活躍していくので、その背中を追いかけながら読み続けている感じでした。「サッカーでは全国大会というものがあるんだ」「翼くんみたいに自分も全国大会に出よう」と。ずっと憧れの存在でしたね。

「キャプテン翼」のページを見て盛り上がる2人

「キャプテン翼」のページを見て盛り上がる2人


――印象に残っているシーンはありますか?

石川:翼くんたちが小学校の全国大会に出るため、京王よみうりランド駅に着いたシーンですね。初めて登場した花輪サッカー少年団の立花兄弟が、駅のホームで線路越しにパスを繰り広げてみんなを驚かすんです。

立花兄弟がよみうりランド駅のホームでパスワークを見せる場面。ちゃんと駅員に怒られている

立花兄弟がよみうりランド駅のホームでパスワークを見せる場面。ちゃんと駅員に怒られている

キャプテン翼
(c) 高橋陽一/集英社

――全国にはまだまだすごい選手がいるんだ、と翼たちに衝撃を与えた名場面ですね。

石川:すごかったのは駅の構内がとてもリアルに描写されていたこと。当時、全日本少年サッカー大会はよみうりランド(東京都)近くのグラウンドで行われていたんですが、僕も全国で戦うときはこんなところに来るんだな、とイメージをもらっていました。その後よみうりランド駅を訪ねる機会があったとき、立花兄弟が出てきたシーンと完全に一致していて興奮しましたね。


――当時のサッカー社会をリアルに切り取った作品でもあったわけですね。

石川:もちろん必殺シュートの練習もしましたよ。僕らの世代で試さなかった選手なんていないのでは……立花兄弟のスカイラブハリケーンとか(笑)

サッカー漫画界の伝説として語り継がれる必殺シュート、スカイラブハリケーン

サッカー漫画界の伝説として語り継がれる必殺シュート、スカイラブハリケーン

キャプテン翼
(c) 高橋陽一/集英社

三田:スカイラブハリケーン(笑) 5年くらい前にJリーガーが「キャプテン翼」 の必殺シュートを再現する企画があったとき、ナオさんがカミソリシュートやっていましたよね。

石川さんがJリーグの企画で再現したカミソリシュート。ゴール手前でスパッと曲がる

石川さんがJリーグの企画で再現したカミソリシュート。
ゴール手前でスパッと曲がる

キャプテン翼
(c) 高橋陽一/集英社

石川:早田誠(そうだまこと)のめちゃくちゃ曲がる必殺シュートね、やったやった! ネットで動画が公開されたんですが、すさまじい反響でした。ドライブシュートも、タイガーショット、ネオタイガーショットも小学生時代に練習したなぁ。

三田:タイガーショットって、日向小次郎(ひゅうがこじろう)が荒波に向かってシュート練習するやつですね。自分がヴィッセル神戸時代にチームメイトだった、元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキも日向小次郎が大好きなんですよ。すね当てとかスパイクにもイラストが入っているほどの筋金入りで。


――海外にも「キャプテン翼」 ファンは多いですよね。

三田:同じくヴィッセル神戸で一緒にプレーした、元スペイン代表のアンドレス・イニエスタもめちゃくちゃ「キャプテン翼」 好きでしたね。作者の高橋陽一先生に会いに行っていましたもん。

石川:なんなら海外には翼くんみたいなプレーをする選手もいそうですからね。僕も含め、サッカー界に与えた影響は計り知れない作品です。


編集:有限会社ノオト
撮影:小野奈那子

プロフィール

石川直宏(いしかわ・なおひろ)

1981年生まれ、神奈川県横須賀市出身。育成組織から横浜F・マリノスに在籍し、2000年にトップチーム昇格、02年4月にFC東京に加入。03年J リーグ優秀選手賞、フェアプレー個人賞受賞、09年にはJリーグベストイレブンを受賞。U-23日本代表としてアテネオリンピックに出場し、日本代表でも6試合に出場。17年に現役を引退し、翌18 年よりFC東京クラブコミュニケーターを務めている。

三田啓貴(みた・ひろたか)

1990年生まれ、東京都世田谷区出身。2003年よりFC東京の下部組織に加入。2008年の日本クラブユース選手権 (U-18)大会では、準々決勝、準決勝、決勝で3試合連続得点を記録し、チームの優勝に貢献した。明治大学に進学後、12年7月にFC東京の特別指定選手として登録。16年にベガルタ仙台に期限付き移籍、18年にヴィッセル神戸に加入した後、19年7月にFC東京への3年ぶりの復帰が発表された。

◆FC東京 オフィシャルホームページ
https://www.fctokyo.co.jp/

◆TOKYOism(三田選手インタビュー)
https://www.fctokyo.co.jp/tokyoism/column/6

◆FC東京 公式Twitter
@fctokyoofficial

◆FC東京 公式Instagram
@fctokyoofficial

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作者

黒木貴啓

黒木貴啓

有限会社ノオト所属のライター・編集者。漫画を介したコミュニティユニット「マンガナイト」で執筆や選書、イベント企画などを手掛けている。
【Twitter】@abbey_road9696

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