5.0
無料配信でハマりました。
ネタバレ含む。注意。
無料配信でハマり、一気に読破してしまいました。
大変面白いお話です。
怪談累ヶ淵をモチーフにしたお話。
醜い事が齎す不幸。
そういう事が容赦無く描かれています。
累の持つ心の中の闇や憎悪は、 自己否定を心に飼った事のある人には鋭く刺す様に響く事と思います。
読んでいて思った事は、
トランプみたい。
でした。
トランプというか、 平たく言えば、
全部カードを押し付けられた人が絶対に負け。 という様なカードゲームなのだな〜と思います。
皆それぞれが何かが欠けてるのでしょう。
累は、天賦の演技力を持つけれど、ひたすら醜い。
ニナは美しいけれど、健康に見放され、
野菊は美しいけれど、女優、「淵透世」の因果を全て被った。
誰がババを引くか、 そのババを押し付けてしまう事を可能にしたのが、
「口紅」 というアイテム。
これが無ければ、透世や野菊、ニナの様な悲しい人は生まれなかった。
ただ、だったらば、
誘や累は、ただ醜いという理由だけで、あらゆる幸福から見放され、肩を竦め、背中を丸めて人目を避け、何とも交わらずに生きるしかない。
もしただ、顔を貸すだけならば、 交互で使えばいいかなって話なのでしょうが、 人は生きてる限り、自分の人生を自分の望む形で進みたいと願うから、 そういう両立は出来ない。
累、誘親子の持つ、醜さの中から生まれた情念は、美しい面にこそ映え、妖しく艶やかに光る。
野菊はその中でも最も多くのババを押し付けられている形で、 本来ならば誘が、累が受けるはずだった全てを、彼女が受ける。
野菊の母親の願いも彼女に重くのし掛かり、 人並み以上の美貌に恵まれながら、
それを呪縛と言い、
恨みにのたうち、憎しみに身を焦がす。
その辺りも誘の業を野菊が背負っているのかなぁ〜と思います。
醜い事、 才の無い事、 不幸である事、
その全てを皆が 目先の誘惑や、鼻面の憎悪や怨嗟に振り回されて、 押し付けあっている…
幸せを奪い合う、というよりも、 押し付けあってる、という様な印象のお話です。
怪談累ヶ淵の様に、透世や誘は幽霊でも、 累は幽霊ではない。
除霊されて、ハイ終わりって話でもない。
どう収束させるのか…気になります!
次巻も目が離せないです。
続きを待ちます。
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