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作品レビュー
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1 - 6件目/全6件

  1. 評価:5.000 5.0

    無料配信でハマりました。

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    ネタバレ含む。注意。

    無料配信でハマり、一気に読破してしまいました。
    大変面白いお話です。

    怪談累ヶ淵をモチーフにしたお話。

    醜い事が齎す不幸。
    そういう事が容赦無く描かれています。
    累の持つ心の中の闇や憎悪は、 自己否定を心に飼った事のある人には鋭く刺す様に響く事と思います。

    読んでいて思った事は、
    トランプみたい。
    でした。

    トランプというか、 平たく言えば、
    全部カードを押し付けられた人が絶対に負け。 という様なカードゲームなのだな〜と思います。

    皆それぞれが何かが欠けてるのでしょう。
    累は、天賦の演技力を持つけれど、ひたすら醜い。
    ニナは美しいけれど、健康に見放され、
    野菊は美しいけれど、女優、「淵透世」の因果を全て被った。

    誰がババを引くか、 そのババを押し付けてしまう事を可能にしたのが、
    「口紅」 というアイテム。

    これが無ければ、透世や野菊、ニナの様な悲しい人は生まれなかった。

    ただ、だったらば、

    誘や累は、ただ醜いという理由だけで、あらゆる幸福から見放され、肩を竦め、背中を丸めて人目を避け、何とも交わらずに生きるしかない。

    もしただ、顔を貸すだけならば、 交互で使えばいいかなって話なのでしょうが、 人は生きてる限り、自分の人生を自分の望む形で進みたいと願うから、 そういう両立は出来ない。

    累、誘親子の持つ、醜さの中から生まれた情念は、美しい面にこそ映え、妖しく艶やかに光る。

    野菊はその中でも最も多くのババを押し付けられている形で、 本来ならば誘が、累が受けるはずだった全てを、彼女が受ける。
    野菊の母親の願いも彼女に重くのし掛かり、 人並み以上の美貌に恵まれながら、
    それを呪縛と言い、
    恨みにのたうち、憎しみに身を焦がす。
    その辺りも誘の業を野菊が背負っているのかなぁ〜と思います。

    醜い事、 才の無い事、 不幸である事、

    その全てを皆が 目先の誘惑や、鼻面の憎悪や怨嗟に振り回されて、 押し付けあっている…
    幸せを奪い合う、というよりも、 押し付けあってる、という様な印象のお話です。

    怪談累ヶ淵の様に、透世や誘は幽霊でも、 累は幽霊ではない。
    除霊されて、ハイ終わりって話でもない。

    どう収束させるのか…気になります!

    次巻も目が離せないです。
    続きを待ちます。

    • 66
  2. 評価:5.000 5.0

    なかなか…重いです…。

    他レビューでは面白く描いていらっしゃると仰る方がいますが、
    重くならない様に作者がしっかり考え尽くしているけれど、充分に重い雰囲気が伝わるし、夫の亡くなった直後の動揺や葛藤や悔恨や哀しみも相当なものだったと容易に想像出来るものだと、私は思いました。

    今から少しずつ夫の死と向き合い、折り合いをつけて行こうとする過程が待っているのだと思います。
    ここから先は紆余曲折あっても、この本を書く気持ちに至るまでの経緯なので、少しずつ良くなる方に向かうので、安心感を持って読めると思います。
    オカルト等に懐疑的な方には不快な表現があるかも知れません。

    凡ゆる事を含めて、作者にとってはその夫の死との折り合いに必要な事だったのでしょう。

    とても続きが気になる良作です。
    完読後にまたレビューしたいと思います。

    • 52
  3. 評価:4.000 4.0

    完成度の高い良作

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    キャラクターの極限状態の心理とかその移り変わりなんかもしっかりと描かれていて、画力も高い。
    ストーリーが元々pixivに掲載されたものの様なので少しちぐはぐ感はありますが、本筋がしっかり考え込まれているので根幹が揺らぐ事はないので安心感のある作品でした。

    優美子はサイコパスというのとは少し違うのかなぁと。
    ●人衝動は特に無くて、寧ろ殺●に特に抵抗がない、手段としての暴力、という所なのかなぁと。
    美しいものが好きでもぎ取ってでも欲しい子で、雅彦の内面から溢れる「自分の持てるもの」で精一杯生きて輝く様は彼女の中でも美しく思えたんでしょう。

    そこまでは普通の少女の持つ普通の感覚で、

    そこから、
    普通なら好かれる努力をしたり、自分がついていく事を考えたり、そういう手段に移行する筈が、

    蝶の羽をもぐ様に、最初に手足を奪い自由を奪い、自分の意図する所を汲み取る様に「躾ける」。

    それは両親からの溺愛という虐待から来たものだ、そして両親は暴力や権力で思いを遂げる人達だ。

    という説明があるんですが、

    ここいらへんの心理作用が個人的にはもう一味欲しいかなぁ…という印象でした。

    しっかり作り込まれている話なだけにどうしてもここの部分の軽さが目立ったかな?と思います。

    最後の部分、恐らくは女刑事さんだと思うんですが、
    あんな不穏なバットエンドでいいの⁈と聞きたくなるくらい衝撃的でした。
    病室でに最後のシーンで優美子の幻影が舞い戻って来た。
    それを迎え入れ受け入れて、

    そこから7年間、恵さんをずっと優美子として見てるんじゃないのか?

    「恵」という名前に変えただけで…みたいな脳内変換が行われてるんじゃないのか?

    子供の事も全部優美子との出来事として捉えてるんじゃないのか?

    さつきちゃんや優美子の両親が雅彦を責める度、彼の精神は「優美子」の元へ向かい、見えない形でどんどん深み深みへ堕ちて行ってるんじゃないのか?

    …望遠鏡の名前が書き換えられていない…。

    いつの間にか現実の方が「鈍色プラネタリウム」になってるんじゃないのか?


    という意味なのだと思いました。

    そういう含みを残した一見ハッピーに見えるバッドエンド…

    本当の狂気は今まだ続いている…

    そこは読者に委ねますという所なのだと思います。
    とても奥深い作品でした。良作です。

    • 39
  4. 評価:5.000 5.0

    良い話です。

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    これは、寓話だと思う。

    これはただ、
    一組の夫婦の長い年月の愛の移り変わりを短縮的に見せた、寓話。

    妻のその美しい容姿を愛する夫。
    美貌が損なわれ始め、
    愛は薄れゆき、
    浮気に走る夫、
    そしてそれを怨み、嫉妬し、また愛を乞う故に若さと美貌を追い求めてしまう妻、
    男と女のどうしようもない性。

    そういう性を全て曝け出し、呪い憎み、全ての膿を出し切って、
    その醜さすらも愛し、認めた時にこそ、
    人の愛情は報われる。

    愛される事を一切求めずに、
    愛している喜びと、相手もまた、愛してくれている奇跡に幸福を感じられる魂が、
    何よりも美しいのですよ、

    と伝える寓話。

    整形の失敗の話や、その治り方などは、寓話なので、そこを作り込む必要など、このお話にはない。

    現代を舞台にしてるだけ。
    多分舞台は何処だっていいのでしょう。
    作者の表現したい事を効率良く見せる為に必要だったから、現代なだけ。

    きっと、読んだ後、
    ホッとした様な…
    喜ばしい様な…
    爽やかな様な…
    炭酸が喉を通り過ぎた後の様な…
    色んな物が複雑に混じる、そんな気持ちになるお話です。


    このお話には他に「チガヤ編」と言うあよの生き別れの妹のお話がある様です。
    もう一人メグリという妹もいる様なので、
    後2編はあるのかと思います。

    どちらも楽しみです。

    あよは声を失い、
    チガヤは視力を失った様なので、
    メグリは聴力を失うのかもしれないな〜とちょっと予想などもしつつ、

    この「醜さと夫婦」という材料で、どんな3種の寓話を聴かせてもらえるのか、
    ベットに入った子供の様な気持ちで読みたいと思います。

    本当に一見の価値ありの良作でした。

    • 31
  5. 評価:4.000 4.0

    単純に

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    単純に病床記録として大変に興味深い。

    それだけでもこの作品の価値は大変に高いと思う。

    心肺停止から蘇生、意識回復までの過程、そこからの容体変化も幻覚等の症状も本人が絵描きで、
    視覚感覚に優れていたからこそ覚えていられたのだろうと思うし、表現が出来たのだと思う。

    他レビューでこの作者の個人的人格を理由に作品の価値を決めてる方がいたけれど、

    この作品だけを読んで感じた事は、もしこの作者が心底最低の人間であったならば、
    多分、この作品の中の医師の言葉通り、
    見舞客も途絶え、家族にも見捨てられたのではないかと思う。

    この人が絵描きである事に必死でしがみついていたのは、
    遠ざけたいと望む周りに追い詰められた部分も多いにあったのだろうなぁと思えた。

    もう無理です描けませんと言えば、ほれ見た事かと言われてしまう。

    その恐怖は大きかったのだろうと想像がつく。
    言うなれば、ブラック企業勤めと同じでしょう。

    そこら辺の自分語りはあまりせず、病床からの前向きになって行く過程の方を大事に描いていると思うし、

    もっと暗く絶望した瞬間もあったのでしょうが、そういう部分は伏せている事も感じられる。

    作品としてもキチンと読み物として成立してるので、作者のプロ意識と良識を感じます。

    作者に対してどう思うかは多分人それぞれなのでしょうが、
    勝手な振る舞いで命を落としかけた作者を支えたたくさん人々が、恐らくはその正しい答えなのだと思います。

    少し短い気がして、不完全燃焼な部分はありますが、とにかく興味深い作品でした。

    • 8
  6. 評価:4.000 4.0

    久しぶりに読んでみた。

    随分昔に読んだ漫画で、久しぶりにこの二人の独特の愛情の世界を覗き見たくて購入しました。

    きっとこの話を読んで感じるのは、
    ラブラブカップルと自分が一緒に同じ空間にいるような疎外感(笑)

    この二人の関係はあまりに独特で二人にしかわからない何かで満たされたお話。

    そういう意味でもこのタイトルは正しくこの漫画の内容を示していると思います。

    愛情の形は千差万別。
    組み合わせと人の数の通りの形はあるけれど、
    恐らくこの二人の形はマイノリティな部類に属する。

    メインの立花菊の心情を表現されてすら、全面的に共感する事はあまり無いかもしれない。

    相手の常盤も複雑な考え方の持ち主でその思想に賛同する事は難しい人の方が大半だと思う。

    でも恋愛感情だけは一般のそれと変わらない。
    好きだという気持ち、倦怠期で揺れ動く心情、会えない寂しさや苛立ち、相手がいないとポッカリ空く穴。


    パターンとしては二人の独特の考え方に振り回されて振り回されて、結局は普通の人が持つ普通のネットリとした恋愛感情というオチにホッとして終わる…という感じ。

    人の恋愛事についてあまり興味が持てませんってタイプの人には面白く無いかもしれない。

    恋愛を楽しむだけでなく、そこに伴う周りとの関係性や、
    それとの兼ね合い、そういう事も含めてお話を読みたい人にはオススメです。

    • 6
全ての内容:全ての評価 1 - 6件目/全6件

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