1.0
制裁は何のため
現実世界での復讐を是とするかは別にして、復讐モノとか制裁モノの漫画は、読む側が復讐に共感できなければ、エンターテイメントとして成立しない。
被害者側に同情するなり、加害者側に怒りを感じるなり、いずれにしても、「こりゃ制裁を受けてもしかたねえな」と感じられなければ、作品に乗れない。
その意味で、本作は、まるっきり破綻している。
だいたい、誰が何のために制裁を望んでいるのか、さっぱりわからない。
というか、信じがたいことだが、それを「描いていない」。
そんな馬鹿な話があるか。
ただ、何となく愚かな人間が、何となく制裁を受ける姿を見せられて納得するほど、読者は愚かではない。
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