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【ネタバレあり】雪女と蟹を食うのレビューと感想

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  1. 評価:4.000 4.0

    手放した文学

    読み始めたときから、必ず最後まで読んでから評価しようと決めていた。
    どんな作品だって結末は大切だが、これは特に、そういう種類の作品だと思ったからである。

    不運から多くを失い、自暴自棄になって自殺を決意した男と、その男から強_盗の被害にあった人妻が、北海道へ蟹を食べに行く。
    その無茶なストーリーにも、最初は都合よすぎるように思えた人妻のキャラクターにも、不思議と説得力を与える力業は、なかなか大したものだと思った。

    平和で、儚く、危うい、二人の死への旅路。
    その綴り方は実に叙情的で、ときに詩的で、純文学のそれに近い。
    作中、太宰治への言及があったり、人妻の夫が小説家だったり、作者のひとつの意図として、漫画で文学をやる、ということがあったのだろうと思う。
    それも、あまりにクラシックな、「心中物」という文学を。
    その心意気やよし。

    だからこそ、このラストはいただけない。
    二人のうち、少なくとも一人は、死ななければいけなかったと私は思う。
    というか、読み始めたときから、そういうラストでなければ、少なくとも星五つはつけない、と決めていた。

    死をもってこそ、それまでの全ての道行きが、深い悲しみとともに、特別な鮮やかさと美しさと切実さで読者の胸に蘇り、また、長く残る。
    そういう種類の作品になり得たし、なるべきだった。
    いくぶんの偏見を込めて言えば、それが文学だと私は思う。
    そういう意味では、文学を志しながら、最後の最後でそれを手放した作品、ということになる。

    しかし、作者はそんなこと、わかっていたはずだろう、とも思う。
    わかっていながら、こういうふうに、描きたかったのだろう。
    描きたかったなら、描くべきだ。

    この結末は、作品としての整合性や世界観や完成度よりも、登場人物に対する、作者自身の愛情や愛着を選択したものであるように私には感じられた。
    作者はきっと、この二人を、幸せにしてあげたかったのだろう。
    その思い入れみたいなものは、嫌いではない。
    だから、文学を手放したこの結末の是非を、私はもう、問わない。

    by roka
    • 41
  2. 評価:5.000 5.0

    自分を取り戻せる愛があるという証明

    何の落ち度もない主人公に「冤罪」というの不幸が訪れるのがことの発端。

    誰の助けも得られないどころか、主人公を守るべき立場の人たちの仕打ちに、打ちひしがれる主人公だが、失うものがなくなったと感じたときに、通常起こり得ないことが起きる。それが物語の醍醐味かもしれない。

    相手と接するごとに心の傷が少しずつ回復し、一度しかないこの人生を見直していけることに、「その瞬間を大切に生きる」希望が共感できる。

    確かに不幸なことは起こった。
    だからといって、自暴自棄な最悪の状態にならずにすんだのは、そして主人公の傷心が少しずつ癒やされていくのは、

    十分落ち込ませてくれる相手を、強引にでも主人公が見つけたからこそだ。

    ヒロインの心の闇に、主人公がどう動くのか、ぜひ最後まで読んでみてほしい。

    • 1
  3. 評価:5.000 5.0

    蟹を食うために旅する不倫物語

    今にでも死のうと行動する主人公の前にあらわれた、いかにもお金持ちでキレイな人妻

    しかしその人妻は、作家である夫との関係に悩んでいるのであった。。

    北海道へ行くまで、北とゆきめさんの、甘ーい場面もあれば、この先の残酷な現実を予想する場面もあり、

    ふっくらしたゆきめさんがエロいです

    物語の最後の終着点も、一応ハッピーエンドなのかな?

    人妻をおそう背徳感みたいなのにエロさを感じ購入しました笑

    • 0
  4. 評価:5.000 5.0

    徹底したリアル感

    第一話から妙に凄く凄くリアルな感じがあって、目を離せなくなりました。

    主人公の北は死を覚悟、死にきれずその前に偶然出会った雪枝を道連れに北海道へ。

    飛行機でひとっ飛びするのかと思ったらまさかのレンタカー。

    道中行く先々での観光までちゃっかり楽しんじゃってロードムービー的な感じ。

    でも節々にそれぞれが抱えてる今までの人生での光と影。
    と言うか影、影、影かな。。。

    最初は北が犯罪まがいと言うか犯罪ですね、襲い掛かり雪枝さんは被害者側なはずなんだけれど、
    気付いたら主導権は彼女になってるあたり凄いし、
    なんかずっと怖かった。。

    でも読み進んでいくうちに2人からは怖さは無くなり、
    代わりに今まで背負って来た生きづらさのようなものが垣間見られていき…

    2人が想いを通わせ合っているような、、

    だんだんそれと共に切なくなっていくんです。

    ぜひ私も2人の終着点を見届けたいです。

    • 0
  5. 評価:4.000 4.0

    純愛サスペンスロードムービー

    物語のきっかけである事柄については犯罪であることに変わりなく、不快に思わないこともないが、その後の展開で挽回できている。
    二人して笑い合っていても、はしゃいでいても、どこか薄寒い、薄氷の上を歩いているような緊張感に包まれているところが良い。
    終盤の話運びは予想通りである人が多いだろうが、おそらく大半が望んでいた結果であり、これしかないといえる着地になっている。

    • 1
  6. 評価:4.000 4.0

    北はなんで死のうとしているのか?
    なぜ彩女は犯罪者を伴って北海道に行くのか?
    最初は謎ばかりです。
    結局、二人の目的は一緒なんですよね。
    でも北は少しずつ希望を見つける。
    そして彩女は思い込みというか、執着が凄くて、目的に一直線という感じかな。ちょっと重すぎて怖いくらいの女だけど、北は見捨てることが出来ないんだろうな。
    二人はいったいどうなるのか…怖いもの見たさ。

    • 2
  7. 評価:4.000 4.0

    人生に絶望した若者がミステリアスでセクシーな人妻と思いがけず出会い旅が始まる。
    夏に北海道まで蟹を食べに、うん、楽しそう。
    よく食べ飲みよくしゃべるヒロイン。
    行動力もあるし運転もうまい、頼りになる。
    犯罪目的で近づいた主人公が終始圧倒されてるのが面白い。
    ヒロイン夫妻の事情が複雑で惚れた弱みで主人公が巻き込まれてしまう。
    破滅に向かっているかと思ったがハッピーエンドで良かった。

    • 1
  8. 評価:4.000 4.0

    これは漫画というよりも

    まるで小説を読んでいるような世界観。
    雪枝さんの儚げで、生きるための色々なことを諦めている寂しげな感じが中盤以降どんどん濃くなっていきます。北さんとの逃避行は雪枝さんからしても最高のきっかけだったんだろうな。

    愛する人の為に自分を犠牲にして尽くして尽くして尽くしぬいた雪枝さん、そんな彼女に恐怖を感じて離れていった旦那。控えめに言って人間のクズです。

    最後がハッピーエンドで良かった。北さんは雪枝さんに、雪枝さんは北さんに、それぞれが生きる意味と力を与え合う最高のカップルです。

    • 0
  9. 評価:5.000 5.0

    秘密の関係

    続きが気になります!
    影のある主人公と美しい人妻の秘密が多い関係が、脆くて人間らしいと思います。幸せな時間に終わりが来ることがわかっていて切ないです。
    何もかも捨てて逃避行するストーリーは映画やらで見てきたけど、毎日少しずつ読んでると二人の気持ちに寄って行ってしまって寂しいですね。
    望みは薄いですが、二人の幸せな形がありますように…と思ってしまいます…

    • 0
  10. 評価:4.000 4.0

    惹きつけられる

    ちかんの冤罪から、家族も友人も仕事も家も失った男が、自殺前に蟹を食べたいという衝動から押し入りした家の人妻と、なぜかカニのために北海道を目指す旅に出る、、。なかなか斬新な設定。完璧に恵まれているように見えた人妻が、何か大きく満たされないものを抱えていて、それが、主人公に同行するきっかけになるようなのだが、それがすぐに明らかにならないので、先が気になる。

    by 匿名希望
    • 0
ネタバレあり:全ての評価 1 - 10件目/全109件

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