3.0
だまされただけなのか、それとも
一巻終盤の展開が、タイトルや表紙をあまりに裏切りすぎている。
これをどうとらえるかで、好みは分かれるだろう。
だまされた、ということで、切り捨てる読者も少なくないと思う。
多分、この作品を手に取る読者が期待するのは、倦怠期、あるいは末期を迎えた夫婦の繊細な心の揺れ…とかそんな感じじゃないのか?
もしそういうものを期待しているならば、読まないほうがよい。
夫婦の細やかな心理描写に見所がある、とかそんな作品ではない。
むしろ、そういう部分はおざなりもいいところで、拍子抜けするほどの急展開である。
ただ、この急展開は、ヒューマンドラマとして読むなら完全に破綻しているが、軽快なサスペンスとして読むなら、まあ、ありっちゃありである。
今後、サスペンスとして大いに盛り上がってくれるならば、「だまされた」という言葉が、ポジティブな意味合いに変わるはずだ。
頑張ってほしい。
はたして私はだまされただけなのか。
それとも。
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