4.0
今どきの私たちは
今までSNSを題材にした漫画はいくつか読んだが、全てつまらなかった。
この漫画だけ、例外になった。
今どきの日常の切り取り方が、丁寧で、ささやかだけどリアルで、好感を持った。
電子機器が私たちの恋愛に与えた影響なんて、言い出せばきりがなくて、例えば、デートの約束、ケータイで楽勝。
昔は、中学生の頃なんて、相手の家に電話して、お父さんが出て、震えたりしたものだ。
文明万歳。
あー、手軽な現代。
けれど、そういう手軽さの裏で。
二度と会えなくなったはずの誰か、例えば昔の恋人が、今、どこにいて、何をしているのか。
そもそも生きているのか。
かつての私たちには、それを知る術は、なかった。
一番よく知っていたはずの誰かが、不意に、自分の人生から消滅する。
別れる、ってのは、そういうことだった。
一昔前までは、だ。
今や、時代は変わった。
知ろうと思えば、知れてしまうことが、結構ある。
二度と会えなくなったはずの誰かの姿は、意外と手軽に液晶の向こうにあったりする。
はたして、手軽になったのか、ややこしくなったのか、その両方なのか。
その混沌とした電子の波の中を、今どきの私たちは、今日も漂う。
ときどき、恋とかしながら。
二度と会えないあの人の名前を、ググったりしながら。
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