4.0
叙述トリックの妙
懐かしーい!紙のコミックス全巻持ってました。
李氏朝鮮時代の暗行御史(アメンオサ)に題材を取ったマンガには、皇なつき先生の「李朝 暗行記」という名作がありますが、アメンオサ主題のバトルマンガになるとこれが唯一無二じゃないでしょうか。
この作者さんコンビ、マンガで叙述トリックを表現するのが上手いんですよね。まず一話のどんでん返しが超意表をつくし、話が進むと「これは現実か幻か」「今目に見えているものは他人と同じなのか」といった展開が頻発するんだけど、またかよーと思ったらこれがラスボス周りの真相に徐々に繋がっていくので面白い。
読んでる方も「こいつ敵じゃね?」とかだんだん疑り深くなってくるのに、それを更に裏切ってくれるストーリー展開は、割と最後の方まで気が抜けません。ミステリー的にも面白いんよね。
惜しむらくは、最終盤に色んな要素がギチギチに詰め込まれてて、若干展開が分かりづらい事。アジテも前半の漁村の話辺りのが得体の知れないホラー味あって怖かったし。「概念と実存」みたいなエピソードは個人的に面白いと思うけど、どっちかというと小説向きの題材だったようにも思います。台詞も多めだし。言うて「パタリロ!」のミステリー回よりは台詞少ないからきっと大丈夫w
絵は描き込みも丁寧だし、バトルシーンもかっこいいし、好き嫌いは分かれるかもだけど、とても綺麗な絵柄なので私は好き。サルヒョンドのにーちゃん可哀想カワイイし(外伝読んだら可哀想4割り増し)、女の子キャラカワイイし。ショートカットの女の子が可愛いのは正義です!
話にクセがあるので合う合わないはあるだろうけど、叙述トリックからのどんでん返しが好きな人、意表をつく読めないストーリー展開が好きな人は、面白いと感じるんじゃないでしょうか。あ、お気に入りキャラが死ぬ率が割と高いのでそこは注意ー!
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