4.0
モノローグの破壊力
原作の小説がある作品。
小説は当たり前だけれど、「言葉」で勝負する。
しかし漫画は「画」と「言葉」だから、言葉に頼りすぎると上手くいかない。
というのが、小説の漫画化にあたって難しいことのひとつではないかと思う。
その点、この漫画はなかなかバランスよくまとめてきたな、という印象を持った。
ノスタルジックで、イノセントで、そうであるがゆえにおぞましい、というような空気感も、原作の利なのだろうが、巧みに表現されていると思った。
「画」と「言葉」の均衡を上手に保ちつつ、ここぞという場面では、原作そのままの、パンチのある「言葉」をガツン、とぶつけてくる。
そんなの、ずるいっちゃずるいけれど、原作を活かす、というのはつまりそういうことなのだろう。
一話目の「隠れ鬼」のラストのモノローグの破壊力は素晴らしく、「こういう言葉に出会いたくて小説を読むんだよな」としみじみ感じた。
思わず、未読だった原作を読んでしまったくらいである。
- 8