4.0
それでも、人生は続く
夫が死んだ。
ずっと男に寄りかかってきた人生だから、どうしたらいいかわからない。
そんな主人公は、現代的な価値観から言うと「駄目な女」かもしれないが、私は好感を持った。
その理由は明確で、自分がどういう人間であるかを、自覚しているからだ。
弱さとか愚かさというものは、それを自覚した時点で、もう半分くらいは救われているんじゃないかと思う。
主人公が前に進めたのも、自分がどういうふうに生きてきたか、という事実から逃げなかったことが、出発点だったのではないかと私は思った。
誰かを愛せることは、素晴らしい。
でも、残酷なことに、「生きてゆくこと」は、それとはまた別の問題なのだ。
多分。
一人の女性が専門的なスキルを身につけることで自立してゆく、という非常に現代的な漫画だけれど、古い価値観を攻撃するようなタッチではなく、「愛は消えたり奪われたりすることもあるけれど、それでも、人生は続くのよ」と優しく諭すような漫画だと思った。
その優しさが、私はわりに好きであった。
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