4.0
美し過ぎる物語
古代中国の戦国時代を舞台に、美しく賢い姫と白人どれいの許されない恋の物語というベタに思えるストーリーですが、何故か感動します。
そして、出てくる漢語が美しいです。「再見」に「またね」とルビをふるセンスはすばらしいです。
一人の人を一生愛し続けるなんて、現実にはなかなかありません。
でも、この作品には、そんな人がたくさん出て来ます。みんな愛のために命がけで戦います。
ラスボスの土妃でさえ、愛する我が子の王位をかけて戦います。悲運に耐えるだけの黄妃よりも、誰に何と思われようと手段を選ばす欲しいものを手に入れるために戦う土妃の方がけっこう好きかもしれません。後半で描かれた土妃の過去を読んで、けっこう好きになりました。
薄星に心を寄せるチョイ役の小蛍もけっこう好きです。戦争に巻き込まれてすぐに亡くなってしまう小蛍は、命の儚さと軽さの象徴に思えます。まだ何も知らない少女の小蛍が不憫でならないです。
薄星が「俺たちはちっぽけで無力で」と、小蛍に向かい合って思うシーンと、戦争の犠牲者の屍の上に立ち、その重責を背負って、私情を捨て生きて行かなくてはならない亜姫の対比には、どちらが幸せなのか考えさせられました。
2人は死んでから結ばれたと解釈された方もいましたが、私は千年の花が奇跡をおこし2人の体をよみがえらせて、2人はこれから新しい人生に踏み出すのだと信じています。
永遠の愛なんて、現実には信じられません。
ましてや、結ばれる事がかなわない相手となんてお互い辛いだけだと思います。
だからこそ、この作品は、一人の人をずっと愛し続ける人物を描く事で感動させてくれました。
- 0