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作品レビュー
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331 - 340件目/全498件

  1. 評価:3.000 3.0

    繰り返しの是非

    悪く言うと「同じこと」の繰り返し。
    だが、それでも退屈させないのは、よくあるサバイバル系のホラーを基軸にしながら、上手に推理モノの要素を取り入れているからだと思う。

    ただ、話の性質上、「生き残れるか」という本来最大の焦点になるはずの部分に緊迫感が欠けるのは、ちょっと気になった。
    何しろ、基本は何度でも「繰り返す」わけで。
    ただ、「助かるとわかっていても怖い」描写には成功しているとは思う。

    ドラゴンボールも、「生き返れる」ようになってから、急に緊張感がなくなった。
    まあ、関係ないけど。

    • 4
  2. 評価:4.000 4.0

    甦る童心

    子どもの頃、近所の駄菓子屋で一日早く発売される少年ジャンプを待ち望みながら生きていた頃、自分がどんなふうに漫画にドキドキしていたのかを、ちょっと思い出した。
    大人として偉そうに漫画を「評価」するようになるずっと前の、可愛らしい昂りを思い出した。
    そういう作品って、貴重だ。

    • 9
  3. 評価:4.000 4.0

    消えた風景を

    爆笑するような種類の面白さではなく、懐かしさに心暖まる、という感じのエッセイ漫画。
    若い読者が読んでもいいが、描かれている時代(昭和)からすると、本来の対象年齢はかなり高い(ドンピシャなのは四十代後半くらいか)。
    イメージとしては「ちびまる子ちゃん」に通じるものがあるが、男性読者は、本作の方が共感ポイントは多いかもしれない。

    すごいな、と思うのは、風景の再現度だ。
    これには、二重の意味がある。

    ひとつは、昭和という時代の風景の再現。
    当たり前だが、昭和の風景というのは、今はもう、消えたものだ。
    家屋や町並みや生活用品という意味合いでの風景もそうだし、人間の姿という意味でもそうだ。
    それを、漫画作品のフォーマットの中に的確な精度で落とし込むのは、なかなか出来ることではない。

    もうひとつは、「あの頃の僕ら」という風景の再現度である。
    誰にでも子ども時代はあるし、誰にでも思い出はあるが、特別なイベントではなく、「あの頃」の普通の日々について語ることで、それを作品として成立させるなんてね、無理よ。
    それを可能にするには、普通の日々を普通ではない角度から見つめられる目がなければならない。
    それが遠い過去のものとなれば、単なる記憶力とは別の、子ども時代の記憶を自ら再構築する才覚がなければならない。

    長閑でノスタルジックなエッセイ漫画として、失われた風景を描出することに成功した良作だと思う。

    • 2
  4. 評価:5.000 5.0

    血塗れの自意識

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    読んでいて気分のいい漫画ではなかったし、人に薦めようとも思わない。
    しかし、これほど壮絶な作品には、ほとんど出会ったことがなかった。

    半自伝的な漫画なのだと思う。
    イメージとして(浅野いにおはこういう形容を気に入らないかもしれないが)、私は太宰治を想起した。
    ちなみに私は、太宰が嫌いである。

    書けない作家の苦悩、というモチーフだと、私は「バートン・フィンク」という映画が大好きなのだが、あれは、コーエン兄弟が作家としての自意識をかなりオブラートというか、創作の衣に包んで提示した作品なのだろうと思う。
    作家はそれで正しいのだと私は思うし、私のそういう趣味みたいなものは、太宰を嫌う理由と無関係ではないと思う。
    だが、本作で浅野いにおがやったことは、その百倍あからさまで、激烈である。
    それは、自意識を作家性の中で表現する、というレベルの行為ではなく、血だらけになりながら紙面に自意識を塗りたくるような営みであったように思う。

    浅野いにおは、この漫画を描きたくて描いたわけではない気がする。
    描くべきだと思ったわけでもない気がする。
    ただ、描くしかなくて、描いたのではないか、と。
    私は、そんなふうに思った。

    ラスト近く、サイン会のシーンで、主人公の漫画に救われたと涙ながらに語る熱心なファンに対して、「君は何にもわかってない」と主人公は言う。
    これほど絶望的で、これほど美しいシーンをほとんど知らない。

    私は何となく、浅野いにおはこういう描き方をしない(ないし出来ない)作家だと思っていた。
    きっと私も、「何にもわかってない」読者の一人なのだろう。
    ただ、浅野いにおが本作で試みたことが、勇気などという言葉では表現できない、命がけの行為であったということだけは、わかっているつもりだ。
    だから、もう、それだけで。
    浅野いにおの試みが、成功したのか、失敗したのか。
    それは作家としての飛翔だったのか、墜落だったのか。
    その是非も価値も、私はもう、問わない。

    • 1
  5. 評価:4.000 4.0

    ナウでお洒落な推理ギャグ

    真っ当な推理漫画であり、真っ当なギャグ漫画である。
    これは、新しい。

    例えば「金田一少年」にだってギャグ的な部分はあるが、それはあくまでシリアスなミステリという本筋の緊張緩和の役割を果たしているだけ(ときにはそこに伏線があったりもするが)であって、基本、ギャグとしては寒い。
    「コナン君で爆笑した」とかないし、そんなの誰も求めていない。
    本作のように、推理とギャグをきちんと両立させた漫画というのは、稀有な例ではなかろうか。

    ギャグ漫画としての本作の基本線はシンプルで、典型的なボケとツッコミ、漫画内におけるある種の漫才なのだが、絶妙なリズムとテンポによって支えられており、真似できないセンスを感じさせる。
    美麗な作画も相まって、現代的で洒落た推理ギャグに仕上がっていると思う。

    星をひとつ引いたのは、話が進んでからの「VS巨悪」みたいな文脈があまり嗜好に合わなかったためだが、そんなのは些事の範疇に過ぎない。

    • 2
  6. 評価:2.000 2.0

    支離滅裂

    こういう言い方は何だけど、ホラー作品というものに対して、通常の意味合いにおけるリアリティーとか整合性とか、それほど求めているわけではない。
    しかし、いくら何でもちょっと滅茶苦茶すぎやしないだろうか。
    作者には脈絡とか必然性とかいう概念がないのではないかと思うくらい、支離滅裂である。
    子どもの頃なら強引に楽しませられたと思うが、大人になってこれについてこいと言われると、正直、ちょっとしんどい。

    • 4
  7. 評価:2.000 2.0

    若者よ、教えてくれ

    現代の男女のリアルな恋愛模様を切り取った、とか言えば聞こえはいいかもしれないが、正直なところ、陳腐で、散漫で、稚拙である、という印象しかなかった。

    「詩的」と言われると褒められている感じがするが、「ポエム」と言われると急に馬鹿にされたような気がするのはなぜだろう。
    言葉は不思議ですね。
    悪いけど、本作は完全に「ポエム」の側である。

    世の中の若い人がどんな恋愛をしているのか知らないが、これを読んで感動できるような恋愛って、どういう恋愛なんだろう、と私はマジで頭を悩ませた。
    若者よ、教えてくれ、私に。
    この老兵に。
    まあ、それが恋愛の問題なのか、感受性の問題なのか、知性の問題なのか、わからないし、もう考えたくもない。
    要するに、私が歳をとった、ということなのかもしれない。
    嗚呼、何かね、疲れたよね。

    • 4
  8. 評価:3.000 3.0

    清く正しくグロテスク

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    面白かった。
    いい意味で、頭を空っぽにして楽しめた。
    さながら、サイコ野郎の見本市。

    昨今、「サイコパス」という言葉を誤用した上にそれを売りにする漫画が多いことに辟易していたが、そういう鬱陶しい漫画とは、全く違った。

    なぜ、昨今の「サイコパスもどき」漫画がウザいのか。
    それは、現実のサイコパスについての知識を持たないままに、あくまで「現実枠」の中で、「こんな異常者、現実にいるかもしれないよね、怖いですよね」と下手なアピールをしてくるからだ。
    それをやりたいなら、ちゃんと勉強しなさい。

    本作は、違う。
    数々の異常者たちを、ハナから「現実枠」の中で描こうとしていない。
    つまり、ある種のリアリティーを始めから捨てた上で、あくまでフィクションとして「現実にいるわけねえ奴ら」をハイテンションで描ききることに集中している。
    実に適切にグロテスクなエンターテイメントであり、好感度は高かった。

    しかし、残念ながら、露骨な打ち切りである。
    漫画って大変だなあ、結構面白かったのになあ。
    終盤、おそらく打ち切りが決まったあたりでは、素人目にもわかるくらい作品のテンションが落ちていて、そのぶん、評価は厳しめになってしまった。

    あと、別にいいけど、絵柄が「ジャガーン」の人に似てない?

    • 3
  9. 評価:3.000 3.0

    民俗学と爽やかさ

    民俗学の研究者が、地方の様々な葬送の慣習から事件の謎を紐解く、というミステリ。
    といっても、本格ミステリではなく、民俗学を題材にしたライトなミステリと思ってもらえばいいかと思う。
    民俗学そのものの扱いも、それほど掘り下げられてはおらず、よく言えばポップだが、物足りなくもある。

    私は大学の専攻で民俗学に近いことをやっていたのもあり、題材としては好きであった。

    ただ、私の勝手な希望だが、ミステリとして民俗学を扱うならば、やはりそこには、人間のグロテスクな情念や、共同体の無自覚な残酷さ、みたいなものを期待してしまう。
    が、よくも悪くも本作のトーンは穏やかで爽やかで、ドロドロしたものがない。
    このあたり、好みの問題と言ってしまえばそれまでなのだけれど、この国の忌みや穢れにまつわる風習が、そんなに爽やかであってたまるか、という思いは、引っかかりとして残った。

    • 3
  10. 評価:3.000 3.0

    ここまでくると

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    「見当たり捜査」という地味な警察の捜査を題材にしているだけに、捜査の専門知識の丹念なリサーチに基づく本格派の刑事漫画なのかと思っていた。

    全然違った。

    ノリとしては完全に異能バトル漫画のそれで、キャラクターは敵も味方もあまりにぶっ飛んでいるというかトチ狂っているというか、これを仮に刑事モノの漫画として読むならば、今どき子どもでも笑ってしまうと思う。

    ただ、正直言って、ちょっと面白かった。
    ここまで滅茶苦茶に「崩される」と、これはこれでアリかもしれん、という気になったのだ。
    何事も中途半端は叩かれるね。
    ここまでいっちゃうと、叩く気も失せる。
    それはそれで、作品のひとつの方向性として、あっていいのではないか、とは思った。

    しかしまあ、案の定、打ち切りである。
    残念ながら、それは序盤からわかっていた。
    だって、序盤の「これからどんだけバトルがあるんだ」という敵の数と、完結している「話の数」が、どう考えても合わない。
    普通にいくと、こんなに少ないボリュームで完結するはずがない。
    ということは…というわけである。

    途中から私は、「どの時点で打ち切りが決まったのだろう」という暗いことを考えながら、本作を読み進めた。
    その暗さは、本作のテンションとはおよそつり合わず、しかしまあ、打ち切りが確定していても作品の中ではテンションを継続しなければならない、漫画家ってつらいなあ、と。
    合掌。

    • 3
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