棚橋弘至インタビュー(前編):エース棚橋は主人公体質!武に生きる漢(おとこ)の“100年に一冊の漫画”は「グラップラー刃牙」

棚橋弘至インタビュー(前編):エース棚橋は主人公体質!武に生きる漢(おとこ)の“100年に一冊の漫画”は「グラップラー刃牙」

更新日:2019/03/06 10:00

IWGPヘビー級で、過去8回王者に輝いたプロレスラー・棚橋弘至さん。“100年に一人の逸材”をはじめ、数々の決め台詞や決めポーズでおなじみですが、その引き出しの多さの秘密は漫画にあるようです。好きな漫画やプロレスへの思いを聞いてみました!

棚橋弘至

棚橋弘至

熊の内臓をひたすら食べる刃牙に励まされる

――これまで読んできた中で、一番好きな作品はなんですか?

僕が中高生のときに連載開始してからずっと読んでいる「グラップラー刃牙」 (板垣恵介/秋田書店) ! プロレスラーになることを心に決めた大学時代にも、よく読み返して勇気をもらってました。

中でも、範馬刃牙(はんま バキ)が山奥まで修行しに行って、正体不明の怪物・夜叉猿(やしゃざる)と戦うエピソードが衝撃的でした。特訓のために父・範馬勇次郎(はんま ゆうじろう)の友人である安藤玲一(あんどう れいいち)の元に向かった刃牙は、戦うなと忠告されていた夜叉猿と戦おうとして、刃牙を守ろうとした安藤さんが夜叉猿にやられちゃうんです。

夜叉猿に苦戦する安藤さん

夜叉猿に苦戦する安藤さん

グラップラー刃牙
(c) 板垣恵介(秋田書店)

刃牙が敵討ちを誓って、安藤さんが保存していた“仕留めた熊の内臓の塩漬け”を「食って食ってデカくなってやる」と、ひたすら食べるシーンがむちゃくちゃ好きでした。熊の内臓を摂取しながら、限界を超えたトレーニングをこなした3か月後、刃牙の身体が見違えるほどにバッキバキになるんです。

安藤さんの残した熊の内臓の塩漬けを食べる刃牙

安藤さんの残した熊の内臓の塩漬けを食べる刃牙

グラップラー刃牙
(c) 板垣恵介(秋田書店)
安藤さんの残した熊の内臓の塩漬けを食べる刃牙

安藤さんの残した熊の内臓の塩漬けを食べる刃牙

グラップラー刃牙
(c) 板垣恵介(秋田書店)
熊の内臓を食べ、肉体を鍛え上げた刃牙

熊の内臓を食べ、肉体を鍛え上げた刃牙

グラップラー刃牙
(c) 板垣恵介(秋田書店)
少年漫画 グラップラー刃牙
板垣恵介
評価:4.2 4.2 (82件)
  • 完結
  • バトル
  • メディア化

強き者の高見をめざし、その少年は閃光となって駆け抜ける!! 今はじまる真格闘伝説!!

――体を作る上で、食べることは重要なんですね。

「もっと身体を大きくしないと」「強くならないと」と自分を追い込んでいた大学生の頃は、単価が安い学食で毎食千円分くらい食べてました。さすがに刃牙みたいに内臓ではないけど(笑)。定食と、丼ものと、何かもう一品と、生協で買ったツナ缶とバナナ。一食で3000キロカロリーくらい摂ってました。

――一般的な成人の一日分以上を一食で…すごい。

食べない食事制限もつらいと思うんですけど、食べなきゃいけないのもキツいですよ(笑)。僕は職業柄どうしても体を大きくしなきゃいけないので、「もう食えない、苦しい」と思ったら、そのシーンを思い出しながら食べてます。

棚橋弘至

棚橋弘至

漫画もプロレスも“癖の強い主人公”が必要

――刃牙にはさまざまな格闘家が登場しますが、自分と重なるキャラクターはいますか?

見た目という意味では、鎬紅葉(しのぎ くれは)に似ているとよく言われます。ロン毛ムキムキのお医者さんで、頭が良い上に筋肉もハンパない。刃牙の世界では一番になれないかもしれないけど、現実世界だったら最強の人ですよ。

僕もこの路線でいこうと思ったんですけど、やりすぎて「いけ好かない」ってブーイングされて、やめました(笑)。

医者でありながら圧倒的強さを誇る鎬紅葉

医者でありながら圧倒的強さを誇る鎬紅葉

グラップラー刃牙
(c) 板垣恵介(秋田書店)

――刃牙に登場するキャラクターは、主要メンツじゃなくても個性が強いですよね。

漫画っていうのは、個性の強いキャラ同士が関わり合う中で物語が始まります。それはプロレスとの共通点だと思います。“棚橋弘至”というキャラクターが確立すればするほど、周りのレスラーとの関係性がよりクリアになって、もっとプロレスが面白くなっていくんです。だから、好きでも嫌いでもなんて思われてもいいから、とにかく“癖の強い主人公”になろう、と思っています。そうやってそれぞれのレスラーがぶつかり合うことで、プロレス全体の物語がより面白い方に進んでいくんじゃないでしょうか。

――棚橋さんが主人公になるために、どんなことをしましたか?

僕、気付いちゃったんですけど、漫画の主人公は大きく3パターンに分けられるんですよ。普通の子が努力を重ねて成長していくパターンと、潜在能力を秘めている子がだんだん才能を開花させていくパターン。それから、最初から才能があるんだけど気付かなくて、自分で理解したらよりパワーアップするパターン。

最後のは少しわかりにくいけど、「弱虫ペダル」 (渡辺航/秋田書店) の主人公がまさにそのタイプですね。日々の「ママチャリで秋葉原まで通う」というルーティンワークの積み重ねで筋肉がついていたことを、競技自転車を始めたことで知るんです。

ママチャリでロードレース経験者に並ぶすさまじい脚力を持つ主人公

ママチャリでロードレース経験者に並ぶすさまじい脚力を持つ主人公

弱虫ペダル
(c) 渡辺航(秋田書店)
続話入荷 少年漫画 弱虫ペダル
渡辺航
評価:4.4 4.4 (278件)
  • スポーツ
  • メディア化

ママチャリで激坂を登り、秋葉原通い、往復90km!! アニメにゲーム、ガシャポンフィギュアを愛...

どのタイプでも、最初は“普通”で、周りと協力し合ったり、時には幸運に恵まれたりして、さまざまな環境に揉まれながら力をつけて成長していく…というストーリーが王道なんです。

例えばゲームの「ドラゴンクエスト」シリーズだと、戦士はデカくて力強い、武闘家は早くて素早い、僧侶はかしこい、というような個性があるじゃないですか。でも主人公である勇者は、無個性なんですよ。体型は平均的で、運動能力が高いわけでも、頭が特別良いわけでもない。技術も後天的に身につけていくことが多いんです。

僕は元々、生まれ持っての運動神経も天才的な頭脳も持っていない普通の人間です。そこからどう努力して成長していくか…そう考えた時に、「自分って主人公っぽくね?」って気付いたんです。

僕みたいな“生まれ持っての主人公体質”の人が、世の中には圧倒的に多いです。だからこそ、僕が頑張れば、主人公予備軍の色んな人に力を与えられると思います。

棚橋弘至

棚橋弘至

――主人公体質の棚橋さんでも、「プロレス界の主人公」は背負う物が大きいと感じることもあるのでは?

やっぱり二番手三番手としてチャンピオンの脇を固めていたときの方が、気持ち的には楽でした。チャンピオンになると、試合の集客を始め、団体そのものの人気と責任を背負わないといけない。それは大変だけど、やりがいはすごくあります。

棚橋弘至

棚橋弘至

「自分が主人公だ」と自覚したのは、2006年に初めてチャンピオンになったとき。チャンピオンベルトを巻いて観客をぐるっと見渡したら、「俺しかいねえじゃん」と思ったんですよ。そこが漫画でいうところの第1章ですかね。今は8章か9章あたりまで来ています。

――「刃牙」シリーズ並みの長編ですね。

「刃牙」シリーズで言うと、今の自分はカタカナの「バキ」 (板垣恵介/秋田書店) になったくらいのところですかね。まだまだ棚橋物語は続きますから、そのうち「刃牙」シリーズも超えて、ローマ字表記の「BAKI」になりますよ(笑)。

棚橋弘至

棚橋弘至

“棚橋風プロレスラー”を刃牙に倒してほしい

――武に生きるものとして、リングに立つときのこだわりや美学はありますか?

プロレスは、相手の魅力をいかに引き出すかの競技だと思っています。一方的な試合は見ていてちっとも楽しくないから、相手の力を9引き出して、10で仕留めるんです。そしたら試合自体も盛り上がるし、「対戦相手すげーな、でもそれに勝った棚橋はもっとすげーな」となる。だから、対戦するときにはいつも、“どう動けば相手の良いところが見えるか”を意識しています。

棚橋弘至

棚橋弘至

「刃牙」シリーズだって「圧倒的に刃牙最強!」…じゃ面白くないんですよ。いろんな対戦相手がいて、刃牙がそのキャラクターの強さを引き出しつつ最終的に勝つから良い。板垣先生は刃牙というフィルターを通して、対戦相手のすごさを読者に伝えてるんです。

中国拳法の達人・烈海王(れつ かいおう)に苦戦する刃牙

中国拳法の達人・烈海王(れつ かいおう)に苦戦する刃牙

グラップラー刃牙
(c) 板垣恵介(秋田書店)

「刃牙」シリーズの作者の板垣先生は、アントニオ猪木さんとジャイアント馬場さんをモデルにしたキャラの闘いを描いた「グラップラー刃牙 外伝」(板垣恵介/秋田書店)をはじめとして、作中でもプロレスというジャンルにすごくリスペクトを持って描いていただけるので、昔から大ファンなんです。一度、直接お会いしたこともあるんですよ。

アントニオ猪木さんとジャイアント馬場さんがモデルとされるキャラクター

アントニオ猪木さんとジャイアント馬場さんがモデルとされるキャラクター

グラップラー刃牙 外伝
(c) 板垣恵介(秋田書店)

プロレス界の2台大巨頭、マウント斗羽とアントニオ猪狩が互いの思いを胸二つ追いに激突する!! 強...

棚橋弘至

棚橋弘至

――どんなお話をされたんですか?

板垣先生の描く漫画には、実在の格闘家をモデルにしたキャラがたくさん登場するので、「そろそろ“茶髪チャラ男なんだけどやたら強い棚橋風プロレスラー”が出てきてもいいんじゃないですか?」っていう話をしました(笑)。

刃牙にやられたら僕は本望ですよ。

棚橋弘至

棚橋弘至

青年漫画 昴 スバル
曽田正人
評価:4.0 4.0 (32件)
  • 完結
  • 人間ドラマ
  • メディア化

踊りの面白さに目覚めたすばるは、バレエ教室を開く真奈の母親に勧められたこともあって、バレエを本...

写真:原恵美子

プロフィール

棚橋弘至(たなはし ひろし)

岐阜県出身。1976年11月13日生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学在学中に、3度の入門テストを経て新日本プロレスへ入門。同団体の最高峰のベルト、IWGPヘビー級王者では過去8回王座に君臨する。数々のテレビドラマや映画への出演、書籍や連載記事の執筆など、多彩な方面で活躍。2019年3月6日にDVD/Blu-rayが発売する「パパはわるものチャンピオン」では、映画初主演を飾った。

◆棚橋弘至 新日本プロレス 公式プロフィール

https://www.njpw.co.jp/profile/693

◆棚橋弘至 公式Twitter

https://twitter.com/tanahashi1_100

◆棚橋弘至 公式Instgram

https://www.instagram.com/hiroshi_tanahashi/

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作者

都築みやこ

都築みやこ

少女漫画から青年漫画まで、多ジャンルを好む雑食系。休日は家に引きこもり、誰かのオススメ漫画を読み漁っています。
好きな作品は「女王の花」「この音とまれ!」「賭ケグルイ」など。

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