2.0
浅いメタファー
恋人との結婚を考えている男性が、ある日、自分の父親が河童だということに気づく、という話。
シュールな設定自体は面白いと思ったし、父が河童だ、とわりにあっさり受け入れる展開のはやさも悪くなかった。
ただ、私の脳の機能が欠損しているのかもしれないが、感動、というものは全くなかった。
この作品の河童というのは、人種とか身分とか何でもいいのだけれど、要するに結婚の障害となるもののメタファーとして描かれている、というか、描かれているに過ぎないのだ、と私は解釈した。
そこに一種の安直さというか、底の浅さが見えてしまった気がした。
河童まで出して表現したものがそれだけかい、というふうに意地悪く思ってしまった次第である。
まあ、私は河童が好きなので、河童ナメんな、と思ったのもちょっとある。
本作を読んだ感想というのは、「上手いこと言った」と得意げにしている人に対して、「いや、そんなに上手くないけどね」と思ってしまうときの感じに似ていた。
つくづく、自分の性格が悪いと思うけれど。
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