5.0
課金が止まらない!切な過ぎて面白過ぎる!
シャーリーとカイドそれぞれに背負っているものが重過ぎて、辛く切ない。
民を苦しめた悪逆領主の娘と、その領主一家を討った革命の立役者。
絶対に結ばれない、結ばれてはいけない2人が生まれ変わっても巡り合い、惹かれ合う。
一度目の人生は形の上では恋人だったけど、本当は敵同士で、お嬢様は恋人に処刑されるという悲劇の最期だった。
二度目の人生は敵同士ではなくなったけど、シャーリーは前世の記憶があるために自罰的に生きているし、カイドは愛する人を葬ってまで成し遂げた革命だから、領主の務めのために自己犠牲的に生きていて、想い合っているのに幸せに手を伸ばせない2人。
もう充分苦しんだのだから、幸せになってもいいのに。
セリフやモノローグが本当に秀逸で胸に刺さるものばかり。
カイドが使用人達に言われた「ライウスを救ってくれてありがとう。だが、お嬢様を騙したことだけは死んでも許さない」というセリフが心に残る。
勧善懲悪のように、これが正義、これは悪、と一元的に語れるもんじゃない。
1人の人の中にも色んな側面や真逆の感情が同居していることもある。
「ありがとう」と「許さない」が並列していてこんなにしっくりくるセリフはないと思う。
それと珍しいのが、一般的には「善良な平民と傲慢な貴族」という描かれ方が多い中、「貴族の苦しみや平民の狡さ」も指摘していてハッとした。
イザドルの「民は貴族を人とは思っていない」「文句を言える先があるのは楽なもの」「貴族の務めだと個の人生を踏み台にして、それを犠牲とは呼ばぬのか」といった権力者側の言い分は、漫画とはいえ一歩間違えると批判を受けそうなセリフだけれど、真理だと思う。
色んな角度から色んなことを考えさせられる良作。
でも何よりも主人公2人の幸せを心から願える、心温まる素敵な作品です。
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