3.0
復讐と現代
復讐というのは、難しい。
マジに復讐なんかしようと思ったら、かなりの金と、時間と、労力がかかる。
さらに言えば、最も困難なのは、モチベーションの維持だろう。
憎しみをキープし続ける、というのは、簡単ではない。
一時は激しい憎悪や殺_意を覚えたとしても、月日とともに、人は結構、「どうでもよく」なってゆく。
それは人間の素晴らしい能力であると思う。
読者の皆さんも、復讐モノの漫画を読みながら、思ったことがあるのではないだろうか。
「いや、その努力を他に傾けた方が、ハッピーになれるんでないの?」と。
そのとおりでございます。
だから、私たちの多くは、苛烈な復讐なんかしないのだ。
そんなことしたって、幸せが近づかないと知っているからだ。
しかし、それでもなお、復讐なのだ、と。
そこに説得力を感じさせられるか否かが、復讐モノの作品の肝だと私は思っている。
その意味では、この漫画は、残念ながら「否」だった。
ただ、復讐のアイテムとして、動画配信サイトを利用する、という現代的な仕掛けは、なかなか面白かった。
ベタといえばベタなのかもしれないが、こういう今風の「公開処刑」的な復讐というのは、ありそうでなかった気がする。
- 8