1.0
貧乏について
表紙をちゃんと見ていなかったので、腕にQRコードのある女の登場には度肝を抜かれた。
新手のスタンド使いかと思った。
「この女ッ!腕にQRコードを持つタイプのスタンド使いッ!」とか妄想して笑えた。
まあ、それはいい。
主人公のあまりの阿呆さには、もう言及するのも疲れるから、やめる。
ただ、私が感じたのは、この漫画の「貧乏」の描き方も捉え方も、どうしようもないくらいに浅はかだ、ということだ。
これは、本作に限った話ではないが、何もかもを貧乏のせいにするのが、私は嫌いだ。
確かに、金がないというのは恐ろしいことだ。
しかし、程度問題ではあるにせよ、貧乏がいつも不幸に直結したり、致命傷になったりするわけではない。
私は、明日の食事も危ぶまれるような貧困を経験したことはないが、大学時代は、主人公とそう変わらない貧乏だった。
ラブホテルなんか結構な贅沢で、外食は恋人が気を使って割り勘にしてくれることがしょっちゅうあったし、デートは公園や動物園ばかりで、実家から山のように送られてくるパスタばかり茹でては、レトルトのソースをかけて食べていた。
ただ、語弊があるかもしれないが、貧乏は、すごく楽しかった。
私が貧乏から学んだことがあるとすれば、それは、大抵の現実は捉え方次第で、また、誰と過ごすか次第で、結構楽しくなってしまうものなんだ、ということだった。
それを思い出して、ちょっと胸が温かくなった。
その気分に免じて星を一つ足そうかとも思ったが、やはり、漫画自体はあまりにひどすぎたので、やめた。
さらばだ。
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