5.0
”クズ”なんじゃなく純粋なんだよなー
続きがあって嬉しい!でも作者にはまった大好きな話なので完結は寂しい…。
主人公二人の人付き合いへの考え方にうなったり、知的興奮を覚えたり、なにより会話やモノローグの言葉選びが本当に秀逸で、読んでいてメチャクチャ楽しいです。
主人公花浦湊は自称クズ。でも、人間関係を良好に保つために本音を隠して上っ面のつきあいをするのが不誠実だと感じて、そうすることにものすごく抵抗があるだけで、純粋で不器用なんだと思う。
人と関わることが煩わしいから、積極的にぼっちを選んできた。
かつ自意識過剰なので、「クズな俺はそんなガラじゃない」と照れて行動できないひねくれ者。
「対 人に潔癖で理想が高いだけ」という、イヤなクソ男という意味での"クズ"ではないんですよー。
学校一のイケメンで性格もよくて勉強もできてという完璧な都築一朔(かずさ)が、とにかく押しまくって、なんでこんなに好かれるのかわからないまま湊が落とされるまでが1~12話。
そんなイケメンが湊を好きになるきっかけが明かされるのが13話「僕らがいけない宇宙の話」。湊の魅力にこんな小さいときに気付いた都築、グッジョブ!
14~24話は都築の中学校の同級生遠野青葉が登場してかき回すことで、それぞれの性格や考えが表現されて、より話に深みが増します。
湊も都築も、本音をぶつけて喧嘩し、悩み、特に湊が人間的に成長して都築に歩み寄っていく過程が丁寧に描かれています。
喧嘩をしてしまい、
生まれて初めて「こいつなら」と思えた都築とさえまともな関係を築けない 自分が本当に面倒くさい
と落ち込む湊が、可哀想だけどかわいい。
26~37話は大学生編。都築を好きな後輩がちょっかいを出してきたことから、それぞれが二人の関係をおびやかすことにどう対処するかが描かれます。
自分を全肯定してくれる都築との同棲生活を通して、都築がかけがえのない存在だと改めて認識し、一番の理解者として大切にしよう、そのためにはどうすべきかと考えて行動に移す湊を見ると、こんなに成長して~!!!と感動すら(笑)
都築も、湊を守る闘いっぷりで黒い面が出てて面白い。
これだけイケメンだと周りがほっとかなくて、いろいろ苦労してきたんだよなーと。
こう書くとすごく真面目なストーリーだけど、わりと全編笑ってます。
作者のセンスに脱帽。絵もきれいで好み。
ほんと、大好きな話です。
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