5.0
エロスはあるがエロはない
青年向け漫画にあるような、巨乳や陰部を強調したグラマラスな女性も、どぎつい性描写も無い。男性が性描写を期待してこれを読んでも上品すぎて何か物足りないかもしれない(逆に女性には青年向け漫画は過激すぎる)。描きたいものはエロではなく、エロス。圧倒的な画力が素晴らしい。一般的な日本人女性の体型の裸体がリアル。程よくついたウエストラインの肉、きめの細かいぬけるような白い肌。清潔感がありながら、夜の褥で全く別の顔を開花させる女たちの魔性。他のレビュアーのどなたかが書いておられたが、確かにこの漫画のエロスは漫画というよりもはや文学の域だ。まだ第二話までしか読んでないが、これが女性目線でのエロスを描く漫画なら、女性が暴行や無理強いをされる話は出てこないと見た。異常な状況ではあるのだが、あくまで本人の承諾ありき、男から女への気遣いありきのエロスなのだ。作者の人柄や世界観が漫画に如実に現れることがあるが、今回、なんとなくそう感じた。ただ、第一話のラストはちょっと無いかな…主人公があの教授宅でエロスに目覚め、その快楽に我を忘れてしまった時があったのだとしても、時間の経過と共に一度は正気に戻ったのだから。目の前に現れた美しい「因果」に、自分までもが一線をこえて、教授と同じ倒錯の世界を辿るのは果たして…?と思った。そこまで狂わせるのがエロスの種というものなのだ、と言われたらそんなもんかな、とも思うけれど、ここはやはり主人公に因果を断ち切ってもらいたかった。
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