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みんなのレビューと感想「特装版 親なるもの 断崖」(ネタバレ非表示)

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  1. 評価:5.000 5.0

    渾身の名作

    青森から室蘭の幕西遊廓に「売られていった」少女たちを主人公に、日本の近代化の中で目覚ましい発展を遂げた「鉄の街」室蘭の裏歴史を描く、一大巨編。

    私たちのほとんどが詳しくは知らない北海道開拓の時代背景を語る「大きな」ストーリーと、そこに生きた女たちの「小さな」ストーリーのバランスが絶妙である。
    大きなストーリーが主人公たちの描写にリアリティーと説得力を与え、小さなストーリーが歴史の解説に悲哀と情緒を与える。
    この相互補完が見事に決まり、単なる史実を超えた、圧倒的な物語がそこに立ち現れている。

    姉への複雑な思慕から、芸妓の世界を蹴って、自ら女郎として生きる道を選んだお梅。
    没落した公家の娘という偽りの姿を演じ続け、芸妓として成り上がる武子。
    器量の悪さから下働きをさせられ、女郎に憧れる道子。
    決して報われない愛情を秘め、冷徹なまでに静かに振る舞う番頭の直吉。
    個々のキャラクターの造形も素晴らしい。
    私は、直吉が感情を爆発させる場面で涙をこらえられなかった。

    作中、室蘭が作者の故郷であることが明かされる。
    「残酷な性は知らされることなく、私たちは大人になった」。
    その思いを胸に、作者はペンをとった。
    そこにあったのは、何だったのだろう。
    義務か、責任か、欲求か。
    私が感じたのは、そういう言葉では説明のつかない、室蘭に生まれた漫画家として「描かねばならぬ」という圧倒的な熱量と、鬼気迫るほどの意志力であった。

    渾身、という言葉がこれほど相応しい漫画を、私は他に知らない。

    by roka
    • 66
  2. 評価:5.000 5.0

    全部購入しました

    ものすごい頻度でネット広告はみていましたが絵柄があまり好みではないので、購入は躊躇していました。
    休日にふときになって、読み始めると波や風の音など聴こえるような強い描写にすぐに引き込まれていきました。
    当時、こういう生活を余儀なくされた人々がいたのでしょう。
    内容がすごく重くて暗い部分があるので、気持ちが落ちているときに読むのはおすすめできません。
    明るい作品と交互に読むくらいじゃないとすごくしんどかった。
    そういう点では少女漫画作品に救われました。
    時代背景、情勢などとてもよく描かれていました。
    本だったら自分では手に取ることはなかったと思いますので電子書籍はあらゆるめぐりあわせがあり、可能性があるなあと改めて思いました。

    • 18
  3. 評価:5.000 5.0

    この世の業について考えさせられます。
    昭和初期、そんな遠くはない昔にこの様な世界が存在していたのですね。。。
    今の日本に生を受けた事に感謝でいっぱいです。
    一生懸命つないで頂いた命、一生懸命生きなければ、と鼓舞する気持ちにもなります。
    沢山の方に読んで頂きたい素晴らしい作品です。
    登場人物も魅力的です。
    とてもオススメですよ!

    • 14
  4. 評価:5.000 5.0

    物のよう

    話にのめり込みました。
    まだ読み途中なのですが、こんなことがあったとは、こんな事がまかり通っていた時代があったとは。壮絶すぎて息が詰まります。いないと困る存在にも関わらず、扱いは酷く、存在する事さえ苦しくなる状況…男女平等という言葉や、女性が進出してきたのは本当にここ最近の事なのだなと考えさせられました。
    女性は道具。意思は潰され、男の好きな様に扱われる"物"で。人の残酷さが至る所に滲み出ていて、ろくでもない世の中だなと思いました。こんなおかしな世の中で、懸命に生きた女性がいたこと、この後の時代を作ったのは紛れもなくこういう世の中を苦しみ抜いた女性達だったことを忘れずにいようと思います。

    by 匿名希望
    • 10
  5. 評価:5.000 5.0

    重いけれど…

    北海道出身の私は「うんうん」と頷きながら一気に読みました。2〜30年前くらいに斉藤由貴さんが主演で「新十津川物語」をドラマ化してまして(原作は児童文学)それも思いだしました。
    北海道の人は基本、私世代から3〜4代遡るとみんな移民ですもんね。大変な時代、忘れてはいけないですよね。
    そういう歴史も踏まえつつ重いですがひきこまれて一気に読みました。

    • 12
  6. 評価:5.000 5.0

    魂を抜かれたようになる作品

    無料から入って、終わりまで行きました。
    とてつもない作品です。
    なんという絶望。
    なんという壮絶。
    つらいとから、悲しいとか、そんな言葉ではペラペラでいい表せないモノをみることになります。
    が、主人公の目を背けたくなるような境遇から、決して離れられなくなるのです。
    この主人公について、モデルがいたとか空想だとかはわかりません。
    しかし、そう遠くない昔に、きっと似たような日々を過ごし、生き抜いた女性たちが少なからずいるであろうことは明白。

    主人公の末路には救いは正直ないですが、その鋼の意思の炎は、読む者の心にうつる、そんな感じに満たされる渾身の良作だと思います。

    • 8
  7. 評価:5.000 5.0

    読み進めるうちに涙が…。

    女郎や遊郭を扱った漫画は数々あれど、ここまで生々しく、かつその裏側の描写が鮮明にされているのはこの漫画以外の他にはなく、しかも無事結婚しても出自が貧しい農村出身そして女郎というだけで想像を絶する偏見、そして戦中から戦後に掛けての描写も合わさって、読み進めるうちに涙が止まらなくなりました。

    同時に、昔の日本は女性は今以上に蔑(ないがし)ろにされ、男性も思った以上に大変で、その時代を何とか生き抜いていたんだな…と改めて考えさせられた、そんな作品でした。

    • 4
  8. 評価:5.000 5.0

    華やかさなどない

    映画で描かれる楼閣の世界よりずっと現実は酷かったのだとわかります。

    牛や馬より下、生きているより死んだほうが楽、そんな女郎のリアルな世界を初めて知りました。

    作者は歴史をよく調べ、掘り下げているのだと作品から伝わってきます。

    今の安穏とした生活を当たり前と思っていてはいけないと、久しぶりに考えさせられる作品でした。

    • 6
  9. 評価:5.000 5.0

    最後まで読ませてもらいました。
    教科書では教えてくれない、日本の隠れた歴史です。教科書では子女の身売りの一言しか書かれていませが、このお話は丁寧に身売りされた女の子たちの人生を描いています。あまり性のことを表にしない日本には衝撃の内容のお話だと思います。親となった自分がこのお話を読むと辛くて胸が痛いです。
    まだ読んだことがない人も是非読んでほしいです。昭和初期にあった悲しい女たちの物語を。

    by 匿名希望
    • 3
  10. 評価:5.000 5.0

    いやぁ…

    本当にこんなことがあったのだろうか…思いを馳せると胸が苦しくなります。青楼オペラという少女マンガで遊廓という世界に少し興味を持ったのですが、そのマンガでは全く女郎の辛さが描かれていないというコメントを目にし、この作品にたどりつきました。現代に生まれて良かったと思うと同時に、女性が人権を得られるまでに戦って来た人や、時代時代の犠牲になってきた人々がきっとたくさんいるんだろうと思うと胸がジーンとします。

    by 匿名希望
    • 2
ネタバレ無し:全ての評価 1 - 10件目/全684件

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