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作品レビュー
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141 - 150件目/全498件

  1. 評価:4.000 4.0

    原作との相性

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    この原作者とこの漫画家のコンビは、「昨日公園」と同じだが、相性はばっちりだと思った。
    原作小説の持つノスタルジックな雰囲気を、上手く再現できていると感じる。

    大人が振り返る子ども時代の痛みや悲しみを抒情的に綴っている点は「昨日公園」に通じるが、「昨日公園」がヒューマンな手触りだったのに対して、本作のテイストはホラー寄りである。
    子ども時代の「あれは何だったんだろう」的な追憶の恐怖表現はなかなか鮮やかで、このあたり、原作者の面目躍如かと思われる。
    もちろん、繰り返し、それを漫画のフォーマットに落とし込んだ作画も素晴らしい。

    ただし、オチの部分は、正直イマイチかと思う。
    過去の恐怖体験が現在を侵食する、というのは悪くないが、狂気の所在を主人公自身に回収するのは、サプライズこそあったものの、ちょっと強引に過ぎたような気もする。

    • 10
  2. 評価:3.000 3.0

    ゴゴゴゴゴ…

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    申し訳ないが、はっきり言って、面白くはなかった。
    登場人物たちの行動が不自然に過ぎて、「嗚呼、これは恋愛に疎い人が描いてるな」という性格の悪い感想が浮かんだ。
    だいたい、浮気の模様をSNSの裏アカウントに綴る既婚の男なんているか?
    まあ、そういう人間がこの世にいてはならないとは言わないが、私はこの時点でいっきに冷めた。

    星をひとつ足したのは、作者の意図とは全く別のところで、妙に笑えたからである。
    ところどころに、何か「ジョジョ」とか「HUNTER×HUNTER」とかの心理戦のシーンみたいな演出が入る。

    読んだ人は、ちょっと読み返してみてほしい。
    例えば、主人公が夫の浮気相手を突然に悟る場面。
    「私の女の勘が言っている」
    このシーンは、「HUNTER×HUNTER」でスクワラというキャラが散るシーンを彷彿とさせる。
    実際、この気づきは唐突極まりなく、主人公が念能力でも使っているとしか思えない。

    あるいは例えば、主人公が急に誘惑されるシーン。
    主人公の夫の浮気相手の夫が、
    「あなたを抱くというメリットがね」などと言っていきなり駆け引きを始めるわけだが、このあたり、背景に「ゴゴゴゴゴ…」という文字を入れたくならないだろうか。
    私はこれが面白くて、「この男ッ!妻の不倫相手の妻に関係を迫るタイプのスタンド使いッ!」とか妄想して遊んだ。
    それくらいしかすることがなかった。

    うーん、恋愛漫画のふりをした、バトル漫画のパロディ風ギャグ漫画にすればよかったんじゃあないか?

    • 11
  3. 評価:5.000 5.0

    騙された私の負け

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    第一話の冒頭は、ある男子生徒が女子生徒に、読者が目を背けたくなるほど悪質ないじめを行っている描写に始まる。
    よくあるいじめ→復讐系の漫画かと思いきや、これがまるっきりのミスリードで、途中から(というか序盤から)完全なギャグ漫画に変貌する。

    実は、いじめていた男の子(主人公)の方が、女の子(ヒロイン)に、いじめることを強要されており、いじめが生ぬるいと、後でヒロインから苛烈を極める暴力でもってお仕置きされる、という設定である。
    なぜ少女がそのような奇行に走るのか、明らかにならないままストーリーは進むのだが(一応、過去にいじめで友達を亡くしていて、それを救えなかった自分を罰しているのでは、と感じさせるような伏線は出てくるが、読んだところまででは何とも言えない。私は「文化祭編」まで読んだ)、その本筋はいったん置くにしても、実にいい拾い物をした、と思える漫画であった。

    いじめというセンシティブな題材を扱っているだけに、これをギャグにもっていくのは不謹慎と言えばまあそうなのだが、はっきり言って私は楽しくてしょうがなかった。
    肝心のギャグ部分が、単純にとても面白かったからだ。

    本作は様々な少年バトル漫画、スポーツ漫画、推理漫画、ホラー漫画、などのパロディに満ちていて、私が元ネタをわかったのはごく一部だと思うが、「少年漫画あるある」を逆手にとったその懐の深さと造形の深さ、センスの良さ、そして、少年漫画への愛情みたいなものには、ほとんど感動すら覚えた。

    何とかいじめをやめて平穏な学園生活に戻りたい主人公、主人公が自分以外をいじめることも主人公以外が自分をいじめることも許さない奇怪なヒロインを始め、新選組に憧れるまるで頼りにならない正義漢、黒板を片手で振り回す本物のいじめっ子、主人公を溺愛する万能サイコ美少女、タフな肉体を持つミュンヒハウゼン症候群少女、と脇を固めるキャラクターたちも可愛くて楽しい。

    そんなわけで、第一話だけ読んでやめない方がいい、と声を大にして言いたい漫画なのだが、最初だけ読んで離脱する読者がないよう、第一話からきっちりネタばらしをしてくる点は実に巧妙で、その大胆さには舌を巻く。
    第一話のサプライズの大きさ、という点では、私が読んだ漫画の中で歴代一位かもしれない。

    星五つはあげすぎな気もするが、これだけ見事に騙されると、もう、私の負けである。

    • 9
  4. 評価:2.000 2.0

    未曾有の危機下で

    ネタバレ レビューを表示する

    ある日突然、「正解のボタンを押せば何も起きないが、不正解のボタンを押せば全国民が死ぬ」というボタンを悪魔に渡された男の話。

    元ネタは多分、映画にもなった「運命のボタン」だろう。
    押せば100万ドルもらえるが、この世界のどこかであなたの知らない誰が死ぬ、というアレである。

    読み始めた頃は、どちらが正解なのかを知恵を絞って解き明かそうとするストーリーになるのかと思ったら、違った。
    国民投票が行われただけで、謎解き的なくだりは全くなく、主人公は結局、ヤマ勘で選んだだけである。
    話の落としどころとしては、悪魔の狙いが、危機下において人間の醜い本性を暴き出し、悪魔に変える、的なことだった、と。
    それはネタとしては悪くないのだけれど、それ以外の見どころが乏しすぎる。

    未曾有の危機下において、個人が、国家・社会が、世界が、どう動くのか。
    そのリアリティーを描くことは、容易ではない(何しろ未曾有なわけですから)。
    しかし、こういう大風呂敷を広げるなら、そこに挑まないと、というか、それ以外に焦点はないと言っても差し支えないストーリーだろう。
    その掘り下げ、広がり、あまりに稚拙で雑だ、という印象は拭えなかった。
    だいたい、白黒どっちのボタンにしますか、他に何の情報もないですけど、という状況で、国民投票って。
    そんな阿呆な。

    • 12
  5. 評価:5.000 5.0

    少年ホラー漫画という発明

    ホラーと相性がいいのは基本的に少女漫画であって、少年漫画ではないと思う。
    いくぶん偏見込みで言えば、おどろおどろしい情念や執着みたいなものは、やはり、女性のほうがよく似合う。
    「幽霊」と聞いてパッと思い浮かべる絵というのは、多くの人が、女性なのではなかろうか。
    そういうことである。

    単純に、絵の問題をとっても、「少年漫画の絵」でホラー、というのは難しい。
    鳥山明や尾田栄一郎や青山剛昌の絵で描かれたホラーなんて、何かピンとこない。
    ちなみに、荒木飛呂彦はピンときすぎて困る。

    だから、この漫画は異色であり、傑作であると思う。
    はっきり言って、「ぬ~べ~」なんか(というのは失礼だが)より怖いホラー漫画や面白いホラー漫画は、腐るほどある。
    しかし、ホラー漫画というジャンルを、少年漫画のフォーマットにこれほど見事に落とし込んだ作品というのは、他になかったのではないか。

    あくまで「少年漫画の絵」であり、極めて典型的な、そして健全な、少年漫画としてのヒーロー像があり、バトルがあり、ギャグがあり、ラブコメがあり、しかし、ギリギリのところでホラー漫画でもあるという、その奇異でとっちらかったバランスは、非常に素晴らしい。

    夢中になれた少年時代の感謝を込めて、星をひとつ足した。

    • 9
  6. 評価:5.000 5.0

    反則か、発明か

    ごく短いエピソードの寄せ集め的な漫画、と書くと短編集かと思われるかもしれないが、違う。
    こんなものは「短編」とすら呼べない。
    ストーリーはないに等しく、誤解を恐れずに言えば、ほとんど漫画の体をなしていない。
    反則ギリギリの作品であり、これを受け入れられない読者はたくさんいると思う。

    だが、怖い。

    この作品は、「瞬間」を捉えることに特化している。
    それによって、ホラー漫画として稀有なリアリティーを獲得することに成功している。

    世の中には色んなホラー漫画がある。
    街にゾンビが溢れたり、心霊スポットで貞子ちゃんみたいなのが出てきたり、排他的な村でレザーフェイスみたいなのに襲われたり、何でもいいのだが、いくら作品が魅力的で、それに没入できたとしても、ふと我に返ると、いい大人であれば、誰もが思ってしまう。
    「でもまあ、こんなこと、現実にあるわけないねんけどな」と。

    だが、この作品は、違う。
    ストーリーを放棄しているがゆえに、「何かわけのわからないものが見えた」という「瞬間」だけを描いているがゆえに、「こんなことなら、あるかも」という実に気味の悪いリアリティーを生んでいる。

    ずるいだろ、そんなの。
    一方では、そう思う。
    「反則」と書いたのはそういう意味だ。

    しかし考えてみれば、タイトルからもう、作者はそれを表明している。
    これは「物語」などではなく、あくまで「種」なのだ、と。

    その種は、漫画の中ではなく、私たちの現実の中で芽を出し、日常のふとした瞬間を侵食する。
    私たちは、夕闇の帰り道に、深夜のベランダに、カーテンの隙間に、この漫画で見た、幽霊かどうかも不確かな、何かわけのわからないものの影を見るだろう。

    その仕掛けはほとんど発明と言って然るべきで、ムカつくほど感心した。

    • 9
  7. 評価:5.000 5.0

    怪談の節度

    「山」にまつわる怪談の短編集。

    この作者はホラー描写にとても安定感があり、変な言い方になるが(ホラーなのに)、安心して読める。

    怪談として、非常にセンスがいいと思った。
    全ての話において、「わけのわからない部分」を、慎重に残している。
    そうなのだ。
    いくら話として、あるいは画として、怖くても、正体とか因果関係がスマートに説明されてしまったら、ホラーは、弱くなる。
    わけがわからないことほど恐ろしいからだ。
    かといって、あまりにわけがわからなすぎても、読者はついてこない。
    そのあたりがバランスだし、センスなのだと思う。

    「わかるのは、ここまで」。
    本作はその抑制されたバランス感覚が素晴らしく、読む人に、何とも嫌なひっかかりを残す。
    その「嫌なひっかかり」こそがホラーの余韻であるし、怪談としての愛すべき節度であると私は思う。

    • 9
  8. 評価:4.000 4.0

    それはきっと、取り戻せない

    夫婦生活の有無がクローズアップされているけれど、それは、この漫画が提示している問題の一部でしかない気がする。
    これは結局、「ある時期」を過ぎた大人が、どう生きていこうか、あるいは、夫婦として、どう暮らしていこうか、という話だと思った。

    「幸せかもしれないけれど、何か満たされない」という微妙な渇き。
    ないものねだりのようでもあり、でも、笑い飛ばすこともできない、「こんなのじゃないんだ」という違和感。
    そんな、大人の感情の機微みたいなものが、なかなか巧みに表現されていた。
    まあ、わかる。
    私だけではなくて、多分、多くの大人の読者が、まあ、わかる、と感じたのではなかろうか。
    「自分の人生は本当にこれでいいのだろうか」というような不穏で切ない大人の感傷みたいなものは、ある程度の年月を生きてきた大人であれば、程度の差こそあれ、持つものだと思う。

    ただ、主人公の女性に対して決定的に賛成できないのは、「あの頃」あったものを「取り戻したい」という願望である。

    それはきっと、取り戻せない。

    というか、取り戻せないからこそ、価値のあるものだったのだし、全ての価値あるものは、本来、そういうことなのではなかろうか。

    どんなに悲しくても惨めでも、取り戻したりは出来ないから、だからまた、二人で、新しい何かを作ろうね、と。
    あの頃と同じ遊び方はもう出来ないけれど、あの頃は出来なかったような遊び方を、いつまでも一緒に探そうね、と。
    私は、夫婦って、そういうものだと思うのだけれど。

    • 10
  9. 評価:4.000 4.0

    現代版・乱歩

    江戸川乱歩という作家は、確かに少年少女向けの探偵小説を書いたし、私も子どもの頃、それで乱歩を知った。
    だが、本質的には、非常に倒錯的で妖艶で淫靡な、「少年少女お断り」的な作品こそが、乱歩の真骨頂だったのだろうと思う。
    そういう乱歩の作品の空気感を、最も強烈に具現化したのは、別の漫画だが、「パノラマ島綺譚」ではないかと思う。

    「パノラマ島綺譚」が、乱歩の作品をそのまま漫画に「再現」したものだとすれば、この「孤島の鬼」は、乱歩の作品を現代的な漫画の文脈の中で「再構築」したものだ、という印象を受けた。

    そのどちらが優れているのかは私にはわからないし、そこに優劣はないのかもしれない。
    ただ、個人的な好みの問題としては、「パノラマ島綺譚」に軍配を上げたくなった。

    • 10
  10. 評価:3.000 3.0

    裏社会の「軽さ」

    まずまず面白く読んだ。
    ただ、私の悪い癖なのだが、こういう「裏社会モノ」の漫画を読むと、ついつい「闇金ウシジマくん」と比べてしまう。
    そうすると、この漫画は、圧倒的に軽い。
    別にやたらと重苦しく描いてくれとは言わないが、ひりつくような死線をくぐっているはずの登場人物たちの印象が、どうにも軽い。

    彼らが何を守り、何に生き、何に死ぬことを覚悟しているのか。
    私には、それがイマイチ見えなかった。
    それが「軽さ」の正体だと思ったし、その軽さは、私の趣向には合わなかった。

    ただし、それは「よくも悪くも」なので、この軽さゆえに作品を受け入れやすい、という読者であれば、文句なしにノレると思う。

    • 11
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