4.0
私情の究極
同じ「裏社会」モノということで、「闇金ウシジマくん」と比較されることがあるが、全く違う。
ウシジマくんは、徹底的に私情を捨てて生きている。
一方、本作の「ヒーロー」二人は、究極的に私情に走って生きている。
どちらがいいとか、面白いとか、そういうことではない。
ただ、私情に生きる二人の方が、いくぶん人間的であるし、また、弱い。
私情に生きる人間は、真に冷酷にはなり得ないからだ。
ウシジマくんを読んだときは、私情を捨てることこそが、この主人公が現代を生き抜くために身につけた必死の手段なのだと思い、胸が熱くなった。
そして、少し、悲しくなった。
「外道の歌」の二人は、時代性とは無縁の、ある意味では古典的な営みを送り続けている。
その愚直さに、胸が熱くなった。
そして、少し、悲しくなった。
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