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作品レビュー
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121 - 130件目/全498件

  1. 評価:5.000 5.0

    「楳図かずお」というジャンル

    超能力みたいなものを持つ主人公の少女「おろち」は、狂言回し的な役割(アウターゾーンのミザリーとか、ウシジマくんとかのポジション)で、彼女が関わる様々な人々の物語を描いたオムニバス。

    独特の表現力と、キレのあるストーリーで、一話一話の完成度が非常に高い。
    怪しく美しい絵柄もさることながら、オカルトの要素を用いつつ、人間の醜さ、あさましさ、嫉妬や憎悪や執念の恐ろしさ、そして哀しさを炙り出すような手腕には舌を巻く。

    「恐怖漫画」というジャンルを確立した楳図かずおの功績は、今さら語るまでもないけれど、登場人物がただ叫んだり笑ったりするだけの表現が、他のどこにもないホラーになり得てしまうというその圧倒的なオリジナリティーは、もう、「楳図かずお」というひとつのジャンルであると言ってもいいくらい、凄いと思う。

    • 12
  2. 評価:3.000 3.0

    ラストが…

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    一気に読んでしまった。
    読ませるパワーはかなり強いと思う。

    あくまで「大人」のための恋愛漫画。
    自分はそこまでひねくれているつもりもないが、さすがに十代のキラキラした恋愛漫画には、「いや、勘弁して下さい」となってしまう。
    きっと眩し過ぎるのだ、私が汚れてしまったが故に。

    その点、この漫画は、恋愛にまつわる「綺麗事」を徹底的に排除したような作品で、かといって殺伐とすることもなく、気持ちよく読めた。
    そういうバランスというのは、難しいし、貴重である。

    それだけに、ラストは残念だ。
    何というか、「大人」として恋愛することにしっかり向き合う漫画だと思っていたのだけれど、ラストはそれを裏切られたような気がしてしまった。
    もっとも、この漫画は、「おぼつかない恋愛と揺るぎない友情」を描いてもいるわけで、そういう意味では、相応しいラストなのかもしれないのだけれど…。

    • 14
  3. 評価:5.000 5.0

    こういうふうにしか生きられない

    「こういうふうにしか生きられない」ということの絶望が、古谷実という作家のテーマなのではないかと思っている。
    育った環境も幼少期のトラウマも関係なくて、「決まってしまっている」ことは、あるのだ、と。
    じゃあどうすればいい?
    どうしようもない。
    だから、絶望なのであって。
    そのテーマを「こちら側」から描いたのが「ヒミズ」で、「あちら側」から描いたのが「ヒメアノ~ル」なのだと思う。

    • 12
  4. 評価:2.000 2.0

    愛してたんじゃないの?

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    「こういう漫画」は毎回、読む度に嫌な気分になる。
    だったら読まなきゃいいのだが、おそらく、私には「怖いもの見たさ」と似たような種類の「醜いもの見たさ」とでも呼ぶべき感情があって、それが定期的に発露するのではないか、と自己分析している。

    「こういう漫画」という雑な言い方をしたが、簡単に言うと、妻が元夫を、あるいは夫が元妻を(という漫画は少ないけれど)告発するタイプのエッセイ風漫画である。
    告発内容はだいたい不倫かモラハラで、本作も然り。

    本来「こういう漫画」は、不倫やらモラハラやらをしていた側がこらしめられてスカッとする、みたいなのが正しい楽しみ方なのだろうと思うのだが、私はどうしてもそういうノリになれない。
    はっきり言うと、漫画の中で悪役になる夫や妻より、漫画を描いている側に醜さを感じる(もちろん、完全なフィクションならこの限りではないけれど)。

    「こういう漫画」に対して私が感じることはいつも同じだ。

    「愛してたんじゃないの?」

    愛は冷めることがあるのは認めるよ。
    愛は消えることがあるのもわかるよ。
    でも、冷めたからって、消えたからって、「許せない」という裏切りを受けたからって、「何でもあり」なの?
    どんなに酷い人間として描くのも自由なの?
    愛した人を(ないし愛したと思い込んだ人、でもいいけどさ)、そこまで貶める自分の醜さに、どうして耐えられるの?

    私にはマジでさっぱりわからない。
    まあ、わからないでいられるというのが、きっと幸せなことなんだろうけど。

    • 14
  5. 評価:2.000 2.0

    あまりに物足りない

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    様々な悩みを抱えた人々が、占いをきっかけに前に進む、という筋の連作短編。

    派手な破綻はないものの、あまりに薄味で、ちょっとびっくりしたほどだった。
    だって、占いは本当に普通にタロット占いをしているだけで、感心するような示唆とか、ましてや特別な能力とか、何もない。
    かといって、登場人物たちのドラマに深い何かがあるわけでもない。

    私の前に何やら悩んでいる人が通りかかり、彼らは占いを受けて何となく上手いこといって、勝手に振り切ったり立ち直ったりして、去っていった。
    極論すれば、それをただ眺めているだけの漫画であり、読んでいるうちに、私はいったい何をしているのだろう、という徒労感に襲われた。

    まあ堅実っちゃ堅実だけど、いくら何でも物足りない。

    • 14
  6. 評価:5.000 5.0

    「見える」ってこんな感じ?

    基本路線はホラー・コメディなのだが、主人公はただただ「見えるだけ」であり、ただただ「見えないふり」をするだけである。
    この「全力で見えないふりをするだけ」という設定が新しく、ホラー・コメディという作品のテイストに上手くマッチしている。

    漫画としては、霊の造形が素晴らしい。
    冷静に見れば「いや、そんな霊はいないだろ」というバイオハザードのクリーチャーレベルのものばかりなのだが、そのインパクトは絶大だ。
    バイオハザードファンの私としては、この作者にクリーチャーのデザイン担当をしてほしいと思ったくらいである。

    そして、極めて非現実な造形の霊とはうって変わって、霊の「見え方」と、「見える人」の描き方に関しては、「本当に見える人ってこんな感じじゃないのかな」というリアリティーがある。
    漫画を読んでいてそんなふうに思ったのは初めてで、もしかして作者は「見える人」なんじゃなかろうか、という邪推をした。

    基本的には短いエピソードの集積なのだが、「続きもの」としての魅力もちゃんとあり、一度登場したキャラクターの再登場によって展開していくストーリー運びも、なかなか巧みである。
    特に、サイコ野郎っぽい教師のエピソードでの「返し技」はシンプルながらも絶妙で、思わず唸った。

    本物の「見える人」の共感を呼ぶ漫画ランキングをやったら優勝しそうな妙なリアリティーと、過剰なまでのクリーチャー造形が楽しい、新しいホラー漫画の傑作。

    • 11
  7. 評価:5.000 5.0

    「あるがまま」の、その先に

    「サイドA」と「サイドB」があるが、要するに「1巻」「2巻」なので、ご注意を。

    自分らしく、とか、飾らずに、とか、あるがままで、とか、ありのままに、とか、何でもいいのだけれど、全部同じで、本当に苦しみ抜いている人間には、そんな言葉、何の役にも立たないと私は思う。
    そして、自分として生きるということは、そんな二束三文のキャッチ・フレーズで何とかなるほど単純なものではないとも思う。

    でも、そういうメッセージはとにかくキャッチーでリーズナブルだから、いとも容易く社会に溢れかえる。
    そんな時代に、だ。
    この漫画が放ったメッセージは、真逆だ、と私は思った。
    さんざん「自分らしさ」を追い求めながら、この作品が辿り着いた境地というのは、「自分らしく生きるばかりが能じゃないぜ」という地点だったのではないか、と私は受け取った。

    そして、誰かのために微笑みながら自分らしさを捨てられるような場所に行き着いたとき、逆説的ではあるけれど、そこに、また別の「自分らしさ」みたいなものが紡がれるのではないか、と思った。

    そういう全て、この漫画を読まなければ、考えなかったことかもしれない。
    出会えて、本当によかった。

    • 11
  8. 評価:4.000 4.0

    今どきの私たちは

    今までSNSを題材にした漫画はいくつか読んだが、全てつまらなかった。
    この漫画だけ、例外になった。
    今どきの日常の切り取り方が、丁寧で、ささやかだけどリアルで、好感を持った。

    電子機器が私たちの恋愛に与えた影響なんて、言い出せばきりがなくて、例えば、デートの約束、ケータイで楽勝。
    昔は、中学生の頃なんて、相手の家に電話して、お父さんが出て、震えたりしたものだ。
    文明万歳。
    あー、手軽な現代。

    けれど、そういう手軽さの裏で。

    二度と会えなくなったはずの誰か、例えば昔の恋人が、今、どこにいて、何をしているのか。
    そもそも生きているのか。
    かつての私たちには、それを知る術は、なかった。
    一番よく知っていたはずの誰かが、不意に、自分の人生から消滅する。
    別れる、ってのは、そういうことだった。
    一昔前までは、だ。
    今や、時代は変わった。
    知ろうと思えば、知れてしまうことが、結構ある。
    二度と会えなくなったはずの誰かの姿は、意外と手軽に液晶の向こうにあったりする。

    はたして、手軽になったのか、ややこしくなったのか、その両方なのか。
    その混沌とした電子の波の中を、今どきの私たちは、今日も漂う。
    ときどき、恋とかしながら。
    二度と会えないあの人の名前を、ググったりしながら。

    • 12
  9. 評価:4.000 4.0

    多彩な怖さ

    今の時代に読むと古風な絵柄だが、迫力があり、引き込まれた。

    自殺を試みた少女の前に突如現れたヒーローとの逃避行、という「いかにも少女漫画」的な設定ではあるが、微妙なところでラブロマンスに走らなかった点に好感を持った。
    そのおかげもあり、甘すぎず、それでいて希望を与え得る話にもなっていて、特に少年少女を対象とした漫画ということを考慮すると、私は好きであった。

    ……というレビューを表題作のみ読んで書いたのだが、「黒い天使」を読んで全く印象が変わった。
    代理ミュンヒハウゼン症候群については一応知っていたので、「ふんふん」と読んでいたが、完全にやられた。
    めちゃくちゃ怖い。
    初めての方は、是非「黒い天使」を読んでほしい。

    • 12
  10. 評価:5.000 5.0

    男性も女性も善も悪も超えて

    「ジョジョ」初の女性主人公ということで、最初は「どうなんだ」と思ったが、どうもこうもなかった。
    主人公は男性であることも女性であることも超越して、「ジョジョ」なのであった。
    また、「善悪」を一応は設定しておきながら、本作の着地点はその遥か向こう側であり、「ジョジョもここまで来たか」という深みを感じさせる。
    まるでイーストウッドの映画みたいじゃないか。

    • 12
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