5.0
灯台に吹きすさぶ風。それが全篇にわたって吹いている。
髪を揺らされ、時に強風で飛ばされそうになりながら、必死で立っている登場人物たち。
室戸先生、美しくって生徒からもモテモテで、なんて明るい場所が似合う人だろうと思っていたら、実はとてつもない強風の中、一人立ち尽くしている人だった。
そんな室戸先生に気づき、みつけて抱きしめてあげたのが出雲先生。
室戸先生の問いかけに対して、ずっと答えを探し続けて、見出した。その行動は愛あればこそ。
きっと初めは単純に室戸先生を好きだったんだろうけど、好きだけじゃ足りないから、もっと先を探し続けた。その好きの行方。
出雲先生自身、つらい過去があって今がある。
ずっと強風の中生きてきた二人だからこそ、惹かれ合ったのかもしれないよね。
室戸先生は、いつから出雲先生が好きだったのかな。いつ、出雲先生が自分を好きだと気づいたのかな。
願わくは、室戸先生目線からのこの物語も読んでみたい。
何度も何度もかみしめるように味わいたい、そんな作品。
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