4.0
片恋同士の両想い
「運命の番」モノ、大好きです。だって、ヒロインがヒーローに、無条件で溺愛されまくるわけでしょう?大抵は。ロマンスを求める読者にとって、こんなカップ麺のようにお手軽且つ美味しい素材、見逃すわけにはまいりません。
本作が、他の「運命の番もの」と差別化するために選んだサブテーマは、徹底した「すれ違い」。身分差、経済格差、価値観、劣等感…ありとあらゆるすれ違い材料を駆使することによって、この二人、なかなか思うようには結ばれません。フィディアとジェミール、読者はこの二人が両想いであることを、既に知っているので、そのじれったいこと、じれったいこと…思わず課金を躊躇してしまう程です。
TLジャンルでの発刊ですが、原作は「Eランクの薬師」の雪兎ざっく先生、それほどTLっぽい描写は多くないかもです。艶っぽいTLを期待していた方にとっては、肩透かし???
18歳になったばかりの田舎男爵令嬢フィディアが、奥手で恋の駆け引きを知らないのは、まあ普通だとして、公爵で騎士で25歳のジェミールが、意外とポンコツなのはご愛嬌。これも、奇跡的に運命の番に巡り会えた喜びと焦りの産物ということにして、この片恋同士の両想い、しばらく高みの見物をしていくつもりです。
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