どうしたら君を引き止められる?
全体的に詩を読んでいるかのような綺麗な絵と透明感。フワフワとキレイなものを見ている感覚で、でも切ない恋心もあり、なんだか夢のような作品でした。
実際、一作目にはボルヘスの詩が、二作目にはイェーツの詩が効果的に出てきます。
特に一作目ではボルヘスの詩集「エル・オトロ、エル・ミスモ」が主人公二人の関係性を変える重要なツールとして使われます。「エル・オトロ」が「他者」、「エル・ミスモ」が「自己」の意味だそうで、「他者は自己」という意味のタイトル。
このタイトルがピッタリなくらい、主人公二人は切っても切れない関係性が何年も続きます。まるで鏡合わせに映る同一人物のように。惹かれ合ったかと思えば、離れ、そしてまた近づく。その繰り返し。時間が経ち成長するとともに、その距離は次第に狭まり、光と影のように対照的だった二人がいつしか同化するときが訪れます。
その過程を、静かにそして美しく描いた作品。二人の歩んだ軌跡を思い返すと思わず胸が詰まります。
2作目は1作目で登場する金髪の医師を主人公とした恋物語で、こちらも美しかったです。
どちらも続編を読んでみたいです。
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5.0