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作品レビュー
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71 - 80件目/全92件

  1. 評価:2.000 2.0

    未曾有の危機下で

    ある日突然、「正解のボタンを押せば何も起きないが、不正解のボタンを押せば全国民が死ぬ」というボタンを悪魔に渡された男の話。

    元ネタは多分、映画にもなった「運命のボタン」だろう。
    押せば100万ドルもらえるが、この世界のどこかであなたの知らない誰が死ぬ、というアレである。

    読み始めた頃は、どちらが正解なのかを知恵を絞って解き明かそうとするストーリーになるのかと思ったら、違った。
    国民投票が行われただけで、謎解き的なくだりは全くなく、主人公は結局、ヤマ勘で選んだだけである。
    話の落としどころとしては、悪魔の狙いが、危機下において人間の醜い本性を暴き出し、悪魔に変える、的なことだった、と。
    それはネタとしては悪くないのだけれど、それ以外の見どころが乏しすぎる。

    未曾有の危機下において、個人が、国家・社会が、世界が、どう動くのか。
    そのリアリティーを描くことは、容易ではない(何しろ未曾有なわけですから)。
    しかし、こういう大風呂敷を広げるなら、そこに挑まないと、というか、それ以外に焦点はないと言っても差し支えないストーリーだろう。
    その掘り下げ、広がり、あまりに稚拙で雑だ、という印象は拭えなかった。
    だいたい、白黒どっちのボタンにしますか、他に何の情報もないですけど、という状況で、国民投票って。
    そんな阿呆な。

    • 13
  2. 評価:2.000 2.0

    何だそのピュアさは

    家族に取り入り、家族を乗っ取ろうとする男の話。
    とだけ書くと、現実にありそうだが、実際には猛烈な嘘臭さが漂う。

    例えば悪名高い北九州の事件なんかは、ある種の家族乗っ取り事件だが、当然、本来の目的は、金だ。
    そこに、サディズムとか過剰なコントロールへの欲求とか、異常な要素は絡むとしても、極めて現実的な目的がある。
    また、仮にだが、家族を崩壊させることが目的だ、というのも、現実にそんな事件があるかは別として、まだギリギリ理解できる。

    しかし、本作の主人公(?)は、全く違う。
    自身は恵まれない家庭に育ち、幸せな家庭を築くために、他の家族を乗っ取ろう、というのである。

    そんなタコな。

    何だ、そのピュアさは。
    それだけの目的なら、普通に自分の家族を一から作った方が早いだろ。
    他の家族を乗っ取るために、まずターゲットを探し、その隣人になり(そのために家族向けのアパートの一室を借り)、身分を偽り、家族の問題や秘密を把握し、周辺でトラブルを起こし(あるいは助長し)、次にそれを解決し信頼を得て…とかもう、気が遠くなる。
    そのコストとバイタリティーを、婚活に使えよ婚活に。

    まあ、色々書いたが、仮に非現実的な人物像であっても、漫画においては、強引に面白くすることは可能である。
    それがフィクションの強みだ。
    だが本作は、悲しいほどに盛り上がらない。
    それはやはり、漫画としての表現の拙さが最大の理由という他にない。

    • 8
  3. 評価:3.000 3.0

    ミギーの引用

    ヒグマの描写はあくまで現実的な中での迫力があって、なかなかスリリングだった。
    ただ、打ち切りっぽいラストには、ちょっとフラストレーションが残った。
    もっと何かを伝えられる漫画になり得たと思うだけに。

    最後、ヒロインがヒグマを始末するときに涙を流すことには賛否あるみたいだが、私は、ヒロインの気持ちがわかる。
    私が半ば異常な動物好きであることとも無関係ではないだろうが、人間から見たらどんなに「残虐」なヒグマでも、私は自分の手で葬り去ることになったなら、悲しくてたまらないと思う。
    私は撃つ。
    自分が可愛いからだ。
    ただ、撃つけれど、「ざまあ見ろ、この化け物が!」というふうには、なれないと思う。
    「ごめんな」としか、言えないと思う。
    そういう自分を偽善的だと思う。
    しかし、変えられない。

    あるB級パニックホラー映画の中で、サミュエル・L・ジャクソンが言っていた。
    「自然は確かに過酷だが、人間の残酷さには勝てない」と。

    あるいは、私の最も好きな漫画のひとつの中で、ミギーが言っていた。
    ある日道で出会った生き物が死んで悲しいのは、人間が暇な動物だからだ、と。
    ミギーは続けた。
    心に暇のある生物、何と素晴らしい、と。

    考えてみれば、私がヒグマに対して抱いた思いというのは、「寄生獣」で新一が後藤に対して抱いた思いと、全く同じだ。
    というか、新一が、私の思いを完璧に代弁してくれて、ミギーがそれをフォローしてくれたのだ。
    あの漫画は、やっぱり凄いね。

    私は、いくら偽善的であろうとも、歪であろうとも、その暇は、失いたくないと思うのだが。

    • 6
  4. 評価:3.000 3.0

    漫画の台詞について

    「子どもの頃にネット上に書いたことが大人になってから現実化してきてヤバい」というストーリー。

    正直、その設定自体も大してインパクトはないし、設定何でもありの不条理なサバイバル系漫画の亜種みたいなものとしてダラダラ読んでいた。

    が、事件が超常現象的なそれではなく、あくまで人為的に起こされたもの、つまり「犯人」がいる、という展開になってからは、ちょっと面白かった。
    ストーリーは、冷静に考えると突っ込みどころは多すぎるが、そこはまあ、勢いで何とかごまかせている。

    ただ、どうにも気になるのは台詞回しで、「いや、現実世界ではそんなこと言わないだろ」という台詞が多すぎる。
    もちろん、漫画なので、漫画なりの台詞というのはあっていいのだが、程度問題であって、ギャグ漫画でない限り、あまりに現実と乖離した台詞のオンパレードは、私は苦手である。

    • 2
  5. 評価:4.000 4.0

    甘くて優しいどんでん返し

    ある日、幼馴染みに「殺された」主人公が、幽霊となって幼馴染みの凶行を止めようとするのだが…というストーリー。

    「犯人」は第一話からわかってしまっている(ように見える)わけで、読者の側としては、ミステリ部分の焦点を「なぜ」に合わせて読むわけだが、それを終盤に一気に覆す返し技は、なかなか上手に決まっていたと思う。

    面白かったのは、それぞれのキャラクターが、登場したときとはずいぶん違う印象に変わっていく点だ。
    それ自体は別に作品において普通のことだが、「登場人物全員」がそうである、という漫画は、なかなかないように思う。
    そう決めて描かなければ、こうはならない。
    登場人物全員に、裏がある。
    しかし、その「裏」というのは、自分のダークサイドみたいなものを隠している、というよりは、誰しもが表に出せない弱さや強さを抱いて生きている、という提示であって、露悪的ではなく、むしろ優しさを感じるものであった。

    主要な登場人物たちは皆、誰かを傷つけた過去を悔い、再び誰かを傷つけてしまうことを恐れて生きている。
    正直、このあたりの描き方は、ちょっとナイーブに過ぎるような気もした。
    また、「佐原も実知も生きていた」「親の意向で死んだということにされていた」という展開には、さすがに「おいおい」と思ったし、いくら何でもハッピーエンドありきに過ぎるんじゃないか、という気もした。
    最初に書いた終盤の展開も、サスペンスとしてスパッと切れ味のあるどんでん返しというよりは、甘くて優しいどんでん返しである。
    ただ、そういう全て、登場人物に対する作者の愛情のように感じて、私は、好意的に受け止めたいと思った。

    • 15
  6. 評価:1.000 1.0

    お前は、負けたのだ

    まず、復讐、というほどの復讐は、できていないです。
    むしろ、復讐は失敗した、という方が適切かと思われる。
    まあ、タイトルも「復讐することにした」であって「復讐した」ではないから、偽りとは言わないけど…普通、復讐したんだ、と思うだろうよ。
    実体験に基づく、だからなのかもしれないが、スカッとするような復讐劇を期待すると肩透かしを喰らうので、ご注意を。

    妻の不倫の現場に踏み込んだはいいが、相手の男に金がないから慰謝料は取れない、離婚しても親権は妻に取られる。
    まあ、現実はこんなもんだろうな。
    特に解せないのはラストで、子ども二人をろくでもない妻に取られつつ、「あの子たちなら大丈夫」って…何の根拠があるのか知らないが、無理に自分を納得させるような綺麗事には閉口した。
    大丈夫じゃねえよ。

    夫婦の別れに、勝ちも負けもないかもしれない。
    でも、主人公である夫に対して、私は思った。
    お前は、負けたのだ、と。
    妻に、というわけではない。
    強いて言うなら、二人とも負けたのだ、ということになるのかもしれない。
    しかし、いずれにせよ、お前は、負けたのだ。
    それを認めないでいるのは、何か、潔くないと思う。

    その妻を選んだという選択も含めて、自分が失敗したのだ、と認めないことには、本当に終わることも、始まることも、難しい気がするのだが。

    いずれにしても、わざわざ漫画という作品で読む価値を、私は全く感じなかった。
    これなら、ネットの掲示板に転がっている妻や夫の不倫の顛末の方が、不謹慎だが、よほど面白いものが多い。

    • 29
  7. 評価:5.000 5.0

    これ以上は、何も

    前近代的な村に赴任してきた主人公の駐在が、村の人間が人を喰っているのではないかという疑惑を追うサスペンス。

    カニバリズムの異様性が醸し出す不穏な緊張感と、「八つ墓村」的な村の閉鎖性が煽る緊迫感、このダブルパンチがなかなかスリリングで、一気に読ませる。

    絵も、作品との相性はばっちりで、ちょっと劇画の香りを漂わせつつ、抜群の迫力がある。
    特に、登場人物の表情の雄弁さは素晴らしい。
    泥臭く、破壊力があって、しかも、繊細だ。

    主人公の娘が口をきけない理由、布を被った謎の大男(横溝正史の「犬神家の一族」へのオマージュかもしれない)、「後藤家には関わるな」という村の掟の秘密など、ストーリーの随所に魅力的なアイテムが散りばめられており、文字どおり、一部の隙もない。

    また、サスペンスでありながらなかなかドラマチックでもあり、特に、妻と娘を先に村から逃がして自分は村に残ろうとする主人公の決意のシーンは素晴らしい。
    こういうのって、普通だと「いや、逃げたらええですがな」という突っ込みどこなのだが、そういう「お約束」的な文脈を超越した、作品としての気高さに、私は泣いた。

    ストーリーの面で、何と言ってもポイントが高かったのは、あくまで皆「人間」という枠内で作品を編み上げた点だ。
    こういうタイプの作品は、往々にしてゾンビやらのモンスターが怪異の正体になる傾向にあり(別にそれを全否定するつもりもないのだけれど)、正直、途中までは「どうせ村人がゾンビ化しますんやろ?」と思いながら読んでいたのだが、いい意味で、完全に読み誤っていた。
    人を喰う村がある、というだけの設定から、よくぞここまで築き上げたと、手放しで称賛せずにはいられない。

    そして、村人たちの造形も、単なる異常者、ではない。
    時代に取り残された村という小さな世界の中で、また、因習と血脈というある種の呪いの中で、それぞれの村人が死に物狂いで何かを守ろうとしながら生きる姿もまた、私の胸を打った。
    主人公、その家族、村人たち、捜査関係者、その全ての姿を、思いを、真摯に描こうとする、作者の立ち位置が美しい。

    完璧だ。
    私は、サスペンス漫画に、これ以上は何も望めない。

    • 301
  8. 評価:3.000 3.0

    悪の所在

    前半は、かなり興味深く読んだ。
    夫の浮気に悩む妻の心の微妙な動きが、なかなか繊細に、リアルに、表現されていると思ったからだ。

    (ここからネタバレ)

    しかし、夫の浮気相手が実は妻の友人で、こいつがとんでもない女で、しかも夫は浮気をしてすらいなかった、という展開には、私は冷めてしまった。

    そりゃ、サプライズはあった。
    あったけれど、この女があまりに圧倒的な悪役すぎて、主人公の夫婦は単なる「被害者」みたいな位置になり、漫画の文脈が、変質してしまったように感じた。

    私は、何となく、主人公の夫婦が、お互いの悪を抱えて、それをいかに許し、乗り越えるのか、ということに注目していたのだと思う。
    もちろん、それは勝手な期待なのだが、この展開になってしまうと、もう別の漫画じゃん、というか、何やらそこまで積み上げてきたものが崩れて台無しになってしまったように感じた。
    要するに、裏切られたみたいな気分になったのだろう。

    だってもう、夫婦が乗り越えなくてはならない問題なんて、ハナからなかったってことじゃん。
    悪いのはこの女だけじゃん。
    それがわかった後でも主人公はまた悩むけど、それは、何だかなあ。

    • 821
  9. 評価:2.000 2.0

    いくらB級ホラーでも

    オカルトホラーと人間ホラーのミックス版。
    最後まで読んだが、実に虚しい気分になった。

    私は、オカルトホラーならば、通常の意味でのリアリティーはまあ、そんなに要らないと思っている。
    そりゃそうだ、オバケのいる世界なら、ある意味、何でもありだ。
    しかし、オバケと対峙する人間の側の行動原理には、「それなりの」リアリティーはないと、冷めてしまう。
    「何でそこでそんなことするねん」という突っ込みどころは、ある程度まではホラーの「お約束」として看過できるけれど、この漫画のそれはいくら何でも度が過ぎていて、ほとんど苛立ちを感じるレベルである。

    さらに言えば、「通常の意味でのリアリティーは要らない」と前述したが、それは、オカルトならば、の話だ。
    恐怖の正体が人間となれば、話は別だ。
    住人が、大家を含めて、子どもから警官まで軒並み快楽殺_人者のアパート。
    そんなのあるわけねえのである。

    私は、人間の狂気に非常に魅力を感じるし、ある意味リスペクトしているとさえ思うが、こういう種類の、人間の狂気をナメているとしか思えない描写は、いくらB級ホラーといえど、はっきり言ってムカつく。

    • 4
  10. 評価:3.000 3.0

    狂気の説得力、性急な展開

    養護施設から裕福な家庭に引き取られた二人の少女をめぐるストーリー。

    ホラー映画のパターン的には、こういう話はだいたい「家にやって来る側」が恐怖の存在であることが多い。
    この漫画で言えば、少女が狂っているとか呪われているとかで、引き取った家の人々を恐怖に陥れる、と。
    しかし、この漫画は逆で、少女たちを引き取った夫婦の側がいかれている。
    その点は新鮮に感じられたが、どうにも気になることが、二つ。

    まず、夫婦の狂気にリアリティーを感じない。
    この夫婦の狂気は、簡単に言うと、養護施設から子どもを引き取り、幸福を味わわせた後で、「商売に失敗してやっぱり育てられない」と突っ放すときの、相手の絶望感がたまらないぜ、というものだ。
    私は、これに冷めてしまった。
    そんな狂気、あるかいな、と思ってしまったからだ。
    もちろん、狂気だから、私のような一般ピーポーの理解を超えているのは当然なのだが、作品の中で狂気を描く場合、「理解できないし、意味不明だし、あり得ないけど、あるかも」と思わせるような、一種のバランス感覚が大切であるように思う。
    本作の狂気は、その「あるかも」からあまりに逸脱しているように感じた。

    もうひとつは、展開がはやすぎること。
    二人の少女が裕福で親切そうな夫婦に引き取られ、二人が互いに仲良くなり、閉ざしていた心を開き、家族としてもいい感じになるが、夫婦が「仕事が破綻したから二人のうちどちらかは施設に戻さないと」と話しているのを聞いてしまい(これは二人の仲を裂くための夫婦の芝居で、実際には二人とも施設に送り返す気でいる)、二人は自分の方が残りたいという思いから仲違いするものの、今度は夫婦の真の目的を知り、再び団結して、何と夫婦を殺そうと決意する。
    ここまで、わずか「6話」である。

    はやくない?

    やたら引っ張れとは言わないが、もう少しじっくり丁寧にやってくれよ、という思いは拭えなかった。

    • 10
ネタバレあり:全ての評価 71 - 80件目/全92件

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