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作品レビュー
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301 - 310件目/全498件

  1. 評価:1.000 1.0

    感情が死んだ

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    ギャグ漫画からゾンビ漫画にシフトチェンジする話。

    私はこういう漫画や映画を「ジャンル崩壊系」と呼んでいる。
    例えば、という例を挙げること自体がネタバレになってしまうので、漫画の具体例を出すのは避けて映画にするが、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」なんかがそうである。
    ちなみにあれも、この漫画と同じで、途中からいきなりゾンビ映画にジャンルが変わる。

    この手法はサプライズを得やすい代わりに、一定のリスクがある。
    上手く決まれば、いい意味で「騙された!」という爽快感をもたらすのだけれど、基本的に人は「そのジャンル」を望んで足を踏み入れているわけだ。
    例えば、「ラブストーリーかと思ったらホラーじゃん!」という作品があったとするが、そもそも、ラブストーリーを手に取る読者はラブストーリーが読みたいと思っているわけである。
    その先行した願望を超えて、「でも、面白かった」と思わせられれば成功だけれど、「いや、ラブストーリーが読みたかったんですけど」と白けられてしまうリスクは常にあるよ、ということだ。
    だから、先の例で言えば、本来ホラーを読みたい人に読んでもらえるのがいいわけだけれど、ホラーを望む読者は一見ラブストーリーに見える作品を手に取らない、というジレンマが生じる。
    「いや、これ実はホラーで」というのはネタバレになるからもうアウトなのだ。
    そういうわけで、色々と難しい手法だと思う。
    それだけに、ジャンル崩壊系の作品を楽しめたときには、他では得られない種類の感慨があったりするのだけれど。

    まあ、色々書いたけど、本作はそういうことを論じられる次元にない。
    私は書くことがなかったから、書いただけだ。

    本当に酷い。
    序盤は一応ギャグ漫画の体裁なのだが、申し訳ないけれど、これがもう、形容の仕様がないくらいつまらない。
    それがただ、ギャグに片足を突っ込んだ状態のまま、これまた絶望的につまらないゾンビ漫画に移行する。

    私は読んでいるうちに自分のあらゆる感情が死んでゆくのを感じたし、だから、ジャンルが崩壊しようが何しようが、サプライズもクソもなかった。
    サプライズというのも感情であるから、感情の死んだ読者となった私には、もはや何も感じられなかった。

    • 6
  2. 評価:2.000 2.0

    乱歩が泣いている

    単独の漫画作品として見れば、それほど悪くはなかった。
    ミステリと呼ぶにはあまりに大雑把に過ぎるし、アニメチックな絵柄も気になるが、ポップで勢いはあり、「探偵調」のアクション漫画として読む分には、まあ、許容範囲ではなかろうか、と。

    しかし、馬鹿言っちゃいけない、本作は「明智小五郎」を名乗っているわけだ。
    この一点は、どうしても許容できなかった。

    小学校の頃、乱歩が子ども向けに書いた探偵小説を読んで、生まれて初めて好きになった探偵が明智小五郎だった。
    だから、余計に許せない。
    いくら何でもやりすぎだ。

    例えば、だ。
    「ジョジョ」ではない漫画で空条承太郎という学生帽の人間が出てきて、「オラ、ワクワクすっぞ!」とか言われて許容できますか?
    「ドラゴンボール」ではない漫画で孫悟空という胴着の人間が出てきて、「ジッチャンの名にかけて!」とか言われて許容できますか?
    私は無理だ。
    そのくらいのことを、この漫画はやっている。

    かといって、明智小五郎という設定を取っ払ってしまうと、乱歩作品へのオマージュというかパロディというか、そういう部分が全て死んで、作品の機能が停止する。

    もう少しまともに明智小五郎を描いてくれたなら、それなりに読める漫画にはなったと思うが、これでは、乱歩が泣いている。

    • 5
  3. 評価:3.000 3.0

    昆虫版「E.T.」

    ネタバレ レビューを表示する

    ある日、宇宙から(?)飛来した奇妙な昆虫(?)「オゲハ」と、主人公の少年の交流を描いた作品。
    簡単に言うと、ちょっとグロめの「E.T.」という感じの話、と思ってもらっていいかと思う。

    アイデンティティーとしては、主人公の少年がいい奴でも何でもない(少なくとも作品開始時は)、というところだろうか。
    オゲハを大して可愛がるでもなく、それこそ面白半分で虫を籠に囲う残酷な子どものように、生き物を飼う、というよりは、半ば玩具のように見ているようにしか感じられず、スーパーで購入したキャベツにくっついてきた芋虫すら真剣に育てていた私としては、てめえは生命をナメてんのか、と非常に印象は悪かった。

    が、結果的には、この主人公像がなかなか功を奏している。
    この「別にいい奴でも何でもない」少年が、オゲハと共に時間を過ごす中で、何となく情や愛着を覚えていく、何となく守りたくなってしまう、その過程は、感動的というほどでもないが、まずまずリアリティーがあったように思う。
    人間による他の生命との付き合い方なんて、現実的には結構そんなものなのかもしれないし、その「そんなもの」がわりと大事なのかもしれない、とも思った。

    • 4
  4. 評価:4.000 4.0

    豊富なオマージュ

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    ざっくり言うと、ホラー映画の巨匠を志す主人公が、有名ホラー映画のキャラクターたちとバトルする漫画。

    私はまあまあのホラー映画ファンなのだが、ちょっとホラー映画に詳しい読者なら、元ネタはまず間違いなく知っているレベルのラインナップである。
    著作権の都合上、作中でタイトルなどは変えてあるが、取り上げられているホラー映画は、「IT」「キャンディマン」「エルム街の悪夢」「チャイルドプレイ」などなど。
    漫画の随所に元ネタへのオマージュがあり、ホラー映画ファンとしては、普通に読んでいるだけでも楽しい。

    当然、作者自身も相当なホラー映画マニアであることが推測されるが、作品の方向性としてはそこまでマニアックに走ることはなく、このあたりは、よくも悪くもある程度、一般読者にも通用し得る内容になっている。

    主人公は少年漫画の典型的なヒーローでは全くなく、いわゆる芸術家気質というか、「地獄変」的というか、善も悪もなく、あくまで映画を撮ることが最優先、というぶれない信念のもとに行動し続けるズレた男なのだが、「俺のカメラにガキの死ぬシーンはいらねえ」と子どもを命がけで守るなど、ちゃんとヒーローをやっていて、なかなか巧みに作られているとも思った。

    ただ、バトル漫画という側面で見ると、バトルそのものの工夫やインパクトはちょっと乏しいような気がして、そういう部分の物足りなさは感じた。

    • 3
  5. 評価:4.000 4.0

    なりきれない悪霊

    ネタバレ レビューを表示する

    事故死して幽霊となったいじめられっ子が、自らの「幽霊の才能」を活かし、悪人を脅かしまくる、という話。
    生粋のホラーではなく、ギャグに振り切るでもなく、ほのぼのとしたテイストの漫画である。

    主人公は人を脅かす度にRPGのようにレベルが上がり、「ラップ音」「髪伸ばし」「巨大化」などのスキルを身につけてゆく。
    この「幽霊のスキル」という発想はなかなか面白く、作品にいいリズムを与えていると思った。

    また、生きている間は決して満ち足りたとは言いがたい生活を送っていた主人公が、幽霊となってからイキイキしている様子も、心地よく読めた。
    どす黒い復讐心に燃えたり、悪意に染まってゆくわけではなく、人間らしい弱さと優しさを持ったままであり続ける彼女の好感度が、作品を支えている。

    いじめを扱った漫画に陰惨な復讐譚が多く見られる中、本作は、とても優しい作品である。
    痛みを知る人間は、なかなか悪人にも悪霊にもなりきれない、それが現実に近いのではなかろうか。
    そのぶん、悪く言えば甘さやぬるさはあるのだが、人格破綻者レベルのいじめっ子すら憎みきれない主人公の、ある種の弱さや甘さが、私はわりに好きであった。

    • 3
  6. 評価:4.000 4.0

    見事なバランス

    「誰よりも早く死体を見つける男」である主人公が、「誰よりも早く犯人に辿り着く男」の相棒となる刑事モノ。
    面白かった。

    「死臭が見える」という設定がなかなか上手く機能していて、「便利だけれど無敵ってほどじゃない」特殊能力として、作品のバランスをきちんと保っていた。

    主人公たちの過去の掘り下げ、個々の事件のエピソードの練られ具合、ダークな路線でありながら重すぎず、適度にポップでありながら読み応えはある、という感じで、ビールか何かのCMみたいな形容をしたくなる、そういう意味でもバランス感覚に優れた、なかなかウェルメイドな作品だった。

    全然ジャンルの違う作品との比較でアレなのだが、「闇金ウシジマくんだとちょっと重すぎるんだよね」という感じの読者には、結構刺さるんじゃないかと思う。
    絵柄の美麗さも相まって。

    • 3
  7. 評価:4.000 4.0

    可愛さという毒

    愛とは何か、なんてことは、難しすぎて私にはわからない。
    ただ言えることは、誰かが愛と呼ぶものを、我々がどう感じどう許容するかは、かなりの部分、いい加減な印象によって左右される、ということだ。
    可愛い皮を被ってはいるが、それを証明するような、実に意地の悪い漫画である。

    要するに、この漫画の主人公が(ある部分で)無邪気で、(ある部分で)純粋な美少女ではなく、ある程度無邪気で、ある程度純粋な、気持ちの悪い少年だったらどうなのか、ということだ。
    犬木加奈子の「不気田くん」(知らない人は検索して下さい)みたいな主人公だったらどうなのか、ということだ。
    賭けてもいいが、この漫画の主人公に決定的な違和感を抱きつつも、何だかんだで温かい目で見つめていた読者の大半が、「てめえ、そんなの愛じゃねえんだよ」と不気田くんを叩き、「許せない」と糾弾するだろう。

    いや、私はそうならない自信があるよ。
    なぜなら不気田くんが大好きだからである。

    まあ、それはいい。

    それはいいのだが、人の愛(ないし人が愛と呼ぶもの)の基準なんてひどく曖昧で、危ういものだ、ということが私は言いたい。
    であるから、誰かに対して愛だの愛じゃないだの、簡単に言っちゃいけないわけ。
    でも、さすがにこれは…となるでしょう、この漫画を読むと。
    そういう漫画。
    可愛さという単純だけれど強烈な毒でもって、愛の定義に揺さぶりをかける漫画。

    彼女が愛と呼ぶものを、あなたも愛と呼びますか、と。

    まあ、愛はときに凶暴で、人なんて簡単に殺_す。
    私は、そう思うけどね。

    • 3
  8. 評価:4.000 4.0

    非凡なセンスと、それ以外の何か

    ほとんどセンスだけで成立しているような漫画だと思う。
    実際、そのセンス自体は非凡であり、一応ホラー漫画っぽい体裁をとりつつも、ホラーの決まり事、お約束、そういうものをサラッと裏切りながら、というか、むしろホラー漫画の定型というものを逆手にとって、次から次へと連作的に話を紡いでゆくその様は、ホラー漫画という枠を飛び越えて、真っ当な「芸」として成立している。
    この才能は実に何というか、現代的で、感嘆した。

    ただ、「センスだけで成立している」というのは100%の褒め言葉であるかというとそうでもなくて、裏を返せば、小手先で作品を転がしている、というような印象も受けた。
    このあたりは、賛否、というか、好き嫌いがあると思う。
    「センスだけで何があかんねん」と言われれば、私はそれに対するまともな抗弁を持たない。
    しかし、三十年以上ホラーとベッタリで生きてきた経験上、ことホラーというジャンルにおいては、作り手のある種の偏執、いくぶん綺麗に言えば、恐怖や怪異に対する愛着や愛情みたいなものが、露骨に作品に出る。
    ホラー漫画における「センス以外の何か」とは、そういう部分だと私は思うし、私がホラー漫画に求めているのは、むしろその「何か」であるような気がしないでもない。

    • 3
  9. 評価:3.000 3.0

    死ぬ気で愛して

    主人公二人の罪を容易に肯定できるかは別として、作品のスタート地点では、私は二人に幸せになってほしいと願った。
    私は阿呆なロマンチストであるから、独善的であれ何であれ、愛を応援してしまうフシがある。

    しかし、である。
    読み進めるにつれて、二人を応援する気持ちは薄れていった。
    これは、他作品との比較で申し訳ないが、「私の正しいお兄ちゃん」という傑作を読んだときとは全く逆の感情の動き方だった。
    なぜだろう。

    「私の正しいお兄ちゃん」のレビューの中で、私は、主人公の二人が、嘘も秘密も欺瞞も罪も、全て受け止めて背負って、必死で許し合おうとしながら、互いのことだけは失うまいと、懸命に生きている、という意味のことを書いた。
    それが愛し合うってことなんじゃないか、と書いた。

    本作の二人は、違う。
    ものすごく冷たい言い方をすると、覚悟がない。
    二人が上手くいかないのは、基本的に、互いの過去の傷のせいだ。
    それにまつわる、自らの弱さのせいだ。
    その弱さに対しての向き合い方が、なってない。

    自分の弱さとの向き合い方というのは、二つしかないと思う。
    あくまでそれを克服するために努力をするか、弱さを愛するか、どちらかである。
    どっちにしたって楽じゃない。
    でも、本作の二人には、そのどちらにも必死になっていない。
    ちょっと雑に言えば、自分の弱さに、流されているだけだ。
    たから、受け止めることも背負うことも許し合うことも守ることも、どこか浅薄に感じられてしまう。

    何というか、もっと必死で愛そうとしてほしかった。
    何となくの幸運で続けてゆけるほど、あなたたちが選んだ愛は甘くないよ、と思った。

    • 4
  10. 評価:3.000 3.0

    丁寧さは買う

    猟奇犯VS盲目ゆえに他の感覚が異様に発達した女子高生の話。

    私は基本的には猟奇大好き一般ピーポーなので、題材としては楽しく読めた。
    また、主人公の女子高生の設定も、まあ多少の無理はあるけれど、やりすぎの域には達しておらず、漫画としてはセーフのラインかと思う。
    突っ込みどころだらけ、ということもなく、すんなり読めた。

    サスペンス漫画としては凝った構成で、わりに丹念に、また細かく作られていて、その丁寧さには好感を持った。
    これを原作なしでやっているのだから、なかなかのものだと思う。

    ただ、これは難しいところなのだけれど、丁寧に作られた「過程」の部分が楽しいかと言えばちょっと疑問で、優れたサスペンス漫画にある高揚感とか、緊張感とか、そういうものはイマイチ編み上げられていない、という印象を持った。

    • 4
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