【ネタバレあり】町でうわさの天狗の子のレビューと感想（6ページ目）

単行本、買いました。

なんて優しいお話だろう。
胸が温かくなる読後感が忘れられず、単行本をすぐに買いました。
私の1番好きな漫画です。
秋姫も瞬ももちろん魅力的ですが、周りを取り囲む友人たちが本当に素敵です。
金ちゃん、女子高時代の友人を思い出しました。
この物語の優しさは、喜び悲しみ、妬み辛み、そんな人の心のうちを包み隠さず、澄んだ小川の底の小石を手に取るように丁寧に描いているところから生まれるのかなと。
些細な友人とのすれ違いも、男女のすれ違いも、そして自分たちで修復していく姿も、全部が愛おしいです。
選ばれる言葉のセンスにも、ほんのり昭和〜平成初期を匂わせるような、身近な懐かしさがあります。

主人公は天狗と人とのハーフであり実は史上最強の天狗でもあったというファンタジックな設定。でも、異類婚姻譚にありがちな迫害されるような描写は皆無。異類婚姻もあるわよね〜商売繁盛狙って眷属候補の狐と結婚したら〜くらい田舎舞台の中、秋姫の設定がさらりと日常に馴染むのも、きちんと人を描いているからなのだろうな。
話数、巻数自体は多い方かもしれませんが、ほとんど無駄を感じさせない展開もよかった。

優しさいっぱいになりたいとき、何度でも読み返したい作品です。