5.0
愛すること愛されることの大切さ
正崇、蒼磨、桜子。
不遇な出自のために、大抵は親から注がれる愛に恵まれなかった生い立ちは自分の存在理由を求めながら煩悶として生きていくという哀しさをもたらしたのでしょう。
後半の「何のために生まれてきたのでしょう」という叫びは胸を打ちます。
かろうじて、兄弟のあたたかな繋がりが愛すること愛されることを僅かに知り得たことが最後に正崇、蒼磨の救いのきっかけになったのかと思うと、人間が最初に出会う家族からの愛は人格形成のために尊いものなのだなぁとしみじみ思いました。
加藤の行為も、親が子を思う故の愛かと思えば納得がいきます。
ストーリーは暗く重いですし、男性同士の愛、過激なシーンもありますが愛の重さの何たるかを描いた秀逸な作品です。
抵抗のない方にはぜひ読んでいただきたいです。
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