4.0
短編集。優しさが溢れる。
最初の作品は、運命的な出会いを果たし順風満帆の若いカップルにある問題が訪れてそれと向き合っていくお話。
2作目は、亡き父の実家で夏休みを過ごす母娘のお話。
3作目、ホラー。
私が好きなのは2作目の「夏の雨ふるふる」。
お父さんのいないお父さんの実家で過ごす時間が、娘にとっては苦痛。その憂さを晴らしてくれる見知らぬ一人の男性が現れる。読んでいて途中でなんとなく誰だか分かるものの、その男性が熱く強く優しい愛情で彼女を包み込む様子は、こちらの胸を熱くさせます。
私もほかのかたと同様、black birdを読んで作者への期待が高まり初期のこの作品を読んだわけですが、どこかblack birdの欠片を感じさせてくれます。どんな障害があっても一人の人にまっすぐ注ぐ愛情。苦しいくらい惚れ惚れします。
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