5.0
大切なものを思い出すための人生の休暇
絵が繊細できれいで、登場人物もかっこよくてきれいで、ストーリーもあったかくてきれいで、とにかくすべてきれいで、うっとりしながら読みました。
日本でIT系会社の起業も恋も失敗して、抜け殻のようになり、七年前に語学研修で一度訪れたきりのヨーロッパの田舎町に逃げるようにやってきたリュウイチ。そこで、小さな宿を営むノアに出逢い、お世話になることに。
庭の花の手入れをしたりして、ゆっくりと流れていく時間。ノアは宿の集客に力を入れるでもなく、客のいない暇な時間を楽しんでいる。が、仕事を軌道に乗せるために感情を殺してでもビジネス優先でやってきたリュウイチにはそれがひどくじれったく思えてならない。
ところが、実は、7年前のリュウイチはそういうタイプではなく、ノアに深い感銘を残す出逢いを果たしていたのだった。それをすっかり忘れていたリュウイチだったが…。
忘れていた自分を思い出したとき、一番大切なものは何かを理解したリュウイチは、ある行動をとる。
ガムシャラに働いてきたけれど、何かが間違っていたためにうまく行かなかったリュウイチ。
この旅は、自分らしさを取り戻すための旅だったんだなあと思います。
ガムシャラに頑張っていれば、人生にはこんな不思議で素敵な時間が訪れることもあるのかもしれません。
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