3.0
漫画と原作について
私のレビューは結構いい加減で、評価の軸がぶれていたり、気分によってかなり左右されたり、という有様だから、後から読み返すと「これは甘すぎたな」と思うことはちょくちょくある。
ただ、逆はほとんどない。
つまり「これは酷く言い過ぎたな」ということは少ない。
仮にも他人の作品の悪口を言うことについては、私はわりに慎重になっているのだろう。
まあ、それはいい。
それはいいとして、「原作の小説がある」という漫画に関しては、私はわりに明確な評価指針を持っている。
星一つ…原作を冒涜している。または、そもそも原作自体が腐っている。
星二つ…原作の魅力を損なっている。または、そもそも漫画化する意義を感じない。
星三つ…漫画として破綻はないが、原作の魅力には大きく劣る。または、再現度は高いものの、大して魅力的な原作ではない。
星四つ…原作には及ばずとも、原作の利を活かし、原作の魅力を十分に引き出している。
星五つ…「原作を上手く漫画化した」以上の特別な何かがそこにあり、原作とは別の意味で、ひとつの作品として素晴らしい。
多分、今まで原作の小説がある漫画で星を五つつけたのは、「鉄鼠の檻」と「パノラマ島奇譚」だけだと思う。
星四つは、「光媒の花」や「ユリゴコロ」や「夜行観覧車」や「絡新婦の理」、他にもあったと思う。
本作は、迷いなく、三である。
話としてはそれなりに興味深かった。
しかし、どう考えても叙述が鍵になるタイプの作品で、この魅力を漫画でもって再現しようとすること自体、ちょっと無理があったような気もする。
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