葬儀屋事件簿の投稿まとめ

焦点はどこに

特にストレスなく、テンポよくサクサク読めた。
その点はよし。

ただ、ミステリとしては圧倒的に薄い。
いや、もちろん、本作がそもそも「本格ミステリ」みたいな路線を志していない、ということは百も承知である。
しかし、それにしたって、とは思う。

また、ミステリ的な部分よりも、人の死を巡る人間ドラマとか、人の死を見送る職業の人間がとらえた機微とか、そういう部分が焦点なのだとしても、その掘り下げや広がりも物足りず、特にこれ、といった魅力を見出せなかった。

葬儀屋探偵、ということばが浮かんだ。

ネタバレ レビューを表示する

アナウンサー志望でことごとく受からなかった女性がアルバイトで採用されたのが、葬儀屋だった。葬儀屋の中でも、変死体を主に扱う、なぜなら、社長は元刑事だったから、、。

人の生き死には避けられないものだが、なかなか事故死などの不自然な死について、普通に生きていて知ることはできない。

この作者の作品が好きだから読んだのがきっかけではあるが、クールな社長の雰囲気とさらっとした終わり方が私は好きだ。

アルバイト女性、田中さんの素人らしい感覚や発言も、良い意味の抜け感があり、重苦しさがない。他の作品で見た作者の雰囲気が、アルバイト田中さんの発言にも現れているようで、良い軽さとなっている気がする。