4.0
前世ものの金字塔
前世ものはいろいろありますが、これが一番長くて読み応えがあると思いました。
読み始めは現代から始まるし、リンという小さな男の子がとにかくうっとおしいので
読み進めるのがちょっと辛かったです。
とくに恋も始まらず、事件らしい事件がおきるのも遅いので。
でも途中からどんどん面白くなりました。
とくに前世の話が中心になってからは、筆がのっているなと思わせるところや
構図の見せ方に工夫があったりして。
切ない空気感、閉鎖的なやるせなさ。
一緒にくらす人々は決していい人ばかりでなく、女男とも矮小で嫉妬深くイラつく足の引っ張りなどもあります。
でも、とある事件をきっかけに全てが覆る。
前世部分の話がとても長くて読み応えがある分
その後に現世に戻ってからのエピソードに物足りなさを感じてしまいます。
そして逆に、前世部分に入る前の、謎を追っていく前半の現世部分は余計なエピソードが多くて
通しで読むと蛇足に感じるところもありました。
そこに行く必要はなかったんじゃないかとか、その絡みはいらないんじゃないかとか。
前半は長すぎ、後半が足らずというバランスの悪さを感じてしまいました。
でもトータルでとても読み応えがあります。
今のSFものに比べると粗もあり、雑に感じるところもありましたが
一気に読めてしまいました。
- 6