4.0
麻雀にまつわる嘘と本当
阿佐田哲也の原作ファンとしては、違和感を覚える部分もあるし、現実の麻雀を漫画向けに誇張・歪曲しすぎた感もある。
そういう意味では、麻雀という現実のゲームを描いたにしては、嘘が多すぎる。
しかし、製作者サイドの、麻雀、そして阿佐田哲也に対する愛着は、本当である、という感想を持った。
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阿佐田哲也の原作ファンとしては、違和感を覚える部分もあるし、現実の麻雀を漫画向けに誇張・歪曲しすぎた感もある。
そういう意味では、麻雀という現実のゲームを描いたにしては、嘘が多すぎる。
しかし、製作者サイドの、麻雀、そして阿佐田哲也に対する愛着は、本当である、という感想を持った。
基本的にはB級テイストだが、意外と丁寧に組み立ててあるし、終盤のどんでん返しも上手く決まっていたと思う。
ただ、この手の漫画は主人公サイドに感情移入できる対象がいないと、どうにもテンションが上がらない。
その点は、残念。
あと、仮にも一人の一般ピーポーの悪霊だか怨念だかが、あそこまで派手になるのはいかがなものか。
小品ながらキラリと光る一編もあり、「何だそりゃ」という駄作もある。
本編と比較すると、よくも悪くも力の抜けた印象を受ける。
その軽さが魅力でもあるし、物足りなくもある。
ただまあ、その物足りなさは、いずれ本編に帰ってゆくことを前提とするならば、ちょうどいいのかもしれない。
稲川淳二は好きである。
が、まさか漫画化されていたとは、何とも時代を感じる。
彼の怪談の中身を漫画にしただけではなく、稲川淳二本人も、語り手としてちゃんと出てくる。
それにしても、第1話が「そして俺は死んだ」…タイトルからネタバレしているのもどうかと思う。
昔、「ラストサマー」というB級ホラー映画があったが、それに近い。
違うのは、「加害者」たちが、十分すぎるくらい同情に値するところ。
そのぶん、感情移入できなくもない。
が、いかんせん登場人物たちが、設定年齢のわりに性的に歪みすぎている気がして、ストーリーに入り込めなかった。
奇抜な設定とか、あっと驚く展開とか、ハラハラするようなスリルとか、そういうものがあるわけではない。
しかし、独特の空気感は秀逸で、情緒溢れる、という表現がぴったりくる漫画。
私が平安時代の人間なら「いとをかし」と言ったことだろう。
つかみはなかなか面白かった。
ただ、「クライムサスペンス」というスタート地点から、途中で「バトルアクション」にジャンルが変わっている。
バトルアクションとしても悪くはないのだが、勝手に期待していたものとのズレが大きく、私はそのジャンル変更に上手く乗れなかった。
高校のときは夢中で読んだ。
今読むとそこまで入り込めないが、少年のための少年漫画としては、いいと思う。
画力の高さもさすがだが、この人の描く不良は、いつも可愛い。
そこには、若者たちに対する作者の優しい視線が反映されているような気がする。
「少女漫画だろ」となめていたら、意外にちゃんとホラーで驚いた。
申し訳ありませんでした。
オカルト的な部分と、人間の情念の怖さみたいな部分が適度にブレンドされていて、さらっと読むホラーとしては、なかなか読みごたえがあると思う。
もうデスゲーム系に飽き飽きしていることもあって、少なくとも「ゲームそのもの」に魅力があるか、「ゲームをする人間」に魅力があるか、どちらかはないと、辟易してしまう。
個人的には、どちらにも光るものを見いだせなかった。
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