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作品レビュー
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21 - 30件目/全92件

  1. 評価:5.000 5.0

    みんなみんな可愛い

    魔王に囚われた姫様が、秘密を吐かせるための様々な「拷_問」を受ける、というギャグ漫画。
    その「拷_問」がまあ実に緩くて、基本的には目の前で美味しそうな食べ物を見せられる、というものである。

    トーストとかたこ焼きとかカップラーメンとか、何でもないものがとても美味しそうに見える漫画である。
    ただ、読み始めたときは、このパターンの繰り返しだと早々に飽きが来そうだな、と思った。
    が、とんでもない、様々な工夫を凝らして、実に巧みにマンネリ化を回避している。
    食べ物以外の「拷_問」があったり、いわゆる「日常回」があったり(囚われの身なのに…)。
    基本線はワンパターンには違いないのだが、まるで飽きさせない。
    その点がまず、見事であった。

    ギャグ漫画としては、しょうもない設定がいちいち楽しくて癖になる。
    特に、子煩悩でモラルの高い「理想の上司」である魔王様の造形が素晴らしい。
    部下のミスを叱責するのではなく、どうフォローするかを考える。
    相手が敵であろうとも、人の善意を利用しない。
    娘の描いた絵を見て「くっくっく…上手」と言う。
    私は魔王様が大好きで、毎回毎回、「今回は魔王様出るかな」と楽しみでしょうがなかった。

    登場するキャラクターたちがみんな魅力的で、とにかく可愛い。
    姫様も魔王様も魔王様の娘も拷_問担当の「敵キャラ」たちも、あろうことか「聖剣」に至るまで、みんなみんな可愛い。

    絶対に誰も傷つかない甘くて優しいギャグ漫画であり、「かーわーいーいー」と私は知能指数の低いティーンエイジャーのような頭脳になって、この漫画を読み続けた。
    あー楽しかった。

    • 12
  2. 評価:3.000 3.0

    そのテーマは届かない

    人間でない生き物が人間を殺めることに、私たちはどう向き合えばいいのか。
    例えば、ヒグマが人を殺してしまう、というような問題は現代でもあるわけで、自然保護とか動物愛護とかいう側面の問題と、人間にとっての脅威という問題のバランスやその歪さ、処分するしかないだろうという正論と、そもそものきっかけを作った人間側にそんな権利があるのかという極論と、自然保護なんて人間ありきの偽善でいいのかもしれないし、とか、そもそも人間だって自然の一部なんだし、とか、まあ色々と難しくて、私なんかにはよくわからない。

    ただ、いずれにせよ、「罪」という観念自体が人間の創出した架空の産物であって、人間以外が人間に対して何をしようが、実のところ、我々はその「罪」を誰にも、というか何にも問えないのだ。

    というようなことが、この漫画のテーマとして、あったのかな、というか、うーん、あったのかもしれないな、とは思った。
    というのも、そのテーマ性みたいなものが、あまりに作品の前面に出てこない。
    正直、これは難しいところで、あまりにそれを目立って語りすぎると、説教臭い、という空気を生んでしまうのだが、それにしたって薄すぎやしないか、という思いは終止つきまとった。
    先に私が書いた諸々も、「深読みしすぎだろ」と言われたら、「まあそうかもね」と思ってしまう。
    私自身、自分の妄念かもしれないと疑ってしまっている有様である。
    それじゃ、仮にテーマがあるにせよ、読者には届かないだろうよ。

    上記のテーマは、「寄生獣」でも扱われているのだが、一種のメッセージ性と、語りすぎないドライな側面と、「寄生獣」はやはり絶妙だったな、と思った次第である。

    あと、タイトルの話だが、別に「蠱毒」じゃなくね?というのは、どうにも気になった。

    • 5
  3. 評価:3.000 3.0

    昆虫版「E.T.」

    ある日、宇宙から(?)飛来した奇妙な昆虫(?)「オゲハ」と、主人公の少年の交流を描いた作品。
    簡単に言うと、ちょっとグロめの「E.T.」という感じの話、と思ってもらっていいかと思う。

    アイデンティティーとしては、主人公の少年がいい奴でも何でもない(少なくとも作品開始時は)、というところだろうか。
    オゲハを大して可愛がるでもなく、それこそ面白半分で虫を籠に囲う残酷な子どものように、生き物を飼う、というよりは、半ば玩具のように見ているようにしか感じられず、スーパーで購入したキャベツにくっついてきた芋虫すら真剣に育てていた私としては、てめえは生命をナメてんのか、と非常に印象は悪かった。

    が、結果的には、この主人公像がなかなか功を奏している。
    この「別にいい奴でも何でもない」少年が、オゲハと共に時間を過ごす中で、何となく情や愛着を覚えていく、何となく守りたくなってしまう、その過程は、感動的というほどでもないが、まずまずリアリティーがあったように思う。
    人間による他の生命との付き合い方なんて、現実的には結構そんなものなのかもしれないし、その「そんなもの」がわりと大事なのかもしれない、とも思った。

    • 4
  4. 評価:3.000 3.0

    障壁

    ざっくり言うと、社会の闇に少年たちが立ち向かう、という図式の話。

    薬物だとか人身売買だとか、結構ヘビーな問題が出てきたり、仲間が死んだり、わりと悲劇的な描写もあったりするのだが、なぜだろう、信じられないくらい私は何も感じなかった。

    描き方はわりに丁寧だし、派手な破綻があるわけでもない。
    しかし、申し訳ないがこういう「社会の闇」みたいなものを扱った作品を読むと、常に私の頭には「ウシジマくん」がよぎる。
    それと比べると、これっぽっちのリアリティーもない。
    別に「ウシジマくん」が真実だと思い込んでいるわけでもない。
    しかし、過剰なほどに「きれいごと」を排除したあの強烈な漫画というのは、多くの漫画作品にとって一種の障壁になっており、「あれと比べるとね」という残酷な思いを連れてくる。

    • 2
  5. 評価:3.000 3.0

    「ちょっとだけ」の集積

    継母との関係が上手くいかない大金持ちの家の一人娘が、家出をして狂言誘_拐を企てる、という話。

    正直、真面目なサスペンスとして見ると、「そんなに上手くいくわけないやん」という話で、あまりに粗が多すぎる。
    ジャンルで言えば「サスペンスコメディー」みたいな位置づけだと思うのだが、それにしては笑えない、というのも痛い。

    ただまあ、ちょっとだけハラハラして、ちょっとだけ心温まって、ラストのどんでん返しでちょっとだけ「おー」となる、という意味で、それほど悪い作品でもないのかな、とは思った。
    全てが「ちょっとだけ」だが、その集積によって、ある程度の見どころを保っているような作品。

    • 1
  6. 評価:3.000 3.0

    突然雑になる

    前半、というか序盤は、まずまず興味深く読んだ。
    美大に落ちた主人公が自らのアイデンティティーを喪失し、母親の価値観に従うだけの人間になり果ててゆく様や、そこから抜け出そうとする姿は、なかなか丁寧で、表現として力があった。

    しかし、何が起こったのか知らないが、そのような心理描写は突然、雑になる(としか私には思えなかった)。
    街中で不意なきっかけから絵を描き、そこから降って湧いたようなシンデレラストーリーみたいな展開、私は何かげんなりしてしまった。
    こんなの、トーストをくわえて曲がり角でイケメンとぶつかるのと同じレベルの話だと思うのだが、何がどうしてこうなったのだろう。

    • 3
  7. 評価:4.000 4.0

    ひっくり返すテンプレート

    いわゆる「モラハラ夫」を扱った漫画が昨今、ちょっと辟易するほど多い。
    そういう作品を読んでいて、往々にして感じるのは、何か薄っぺらいなあ、ということだ。
    「またこのテンプレだよ」としょっちゅう思う。
    夫なり妻なりを漫画の悪役にしてつるし上げるのは好きにしたらいいけど、夫婦ってそんなに単純なものなのだろうか、と。

    本作はそういうテンプレートを綺麗にひっくり返した良作である。

    展開として、サプライズはあり得るけれど、それは「モラハラ夫と見せかけて、実は…」というサスペンス的な文脈での「どんでん返し」ではない。
    この漫画の描いたひとつの本質というのは多分、「家族の本当の姿なんて、そんなに単純じゃないのよ」ということなのではなかろうか。
    少なくとも、はたから傍観しているだけの他人が、その是非や幸・不幸を判断できるようなものじゃないのよ、と。
    その家族観みたいなものは、実に好感を持てるものだった。

    もうひとつは、「毒親」問題である。
    これも最近、本当に漫画で描かれることが多い。
    で、主人公が親をやり込める(ないしもっと苛烈な復讐をする)までがテンプレである。
    この点も、本作は、違う。
    主人公は、「何となく」母親を許す。
    このあたり、賛否あるのはわかる。
    特に、個人的な経験として親との軋轢がある読者は、「そんなに簡単にいくか」と感じるのも理解できる。
    何を何となく許してんねん、と。
    でも、私はこの「何となく」が好きだった。
    人が人を許すのに、ましてや子が親を許すのに、それほど確固たる根拠が必要なのだろうか。
    親を許せない人がいてもよい。
    親を切り捨てる人がいてもよい。
    親に縛られて人生を送る必要などない。
    私は心の底からそう思う。
    しかし、許せなかったつもりでも、何となく、どさくさのうちに許し合ってしまうようなことが出来るも、また、人間の美徳ではなかろうか。

    そういうわけで、現代漫画の二つのテンプレートを極めて自然にひっくり返した、なかなか見事な作品だと思う。

    • 304
  8. 評価:3.000 3.0

    引っ張れる限界

    壮絶ないじめを受けていた主人公が、ある日、一人の同級生によって救われ、彼と親友になるのだが、どうやらその親友がだいぶイカれているっぽい、という話。

    話としては嘘っぽいことこの上ないのだが、なかなか読ませる。
    親友の造形は、滅茶苦茶ながらも妙な迫力があって、よかったと思う。

    ただ、物語の吸引力の核の部分は、「親友がなぜ、そこまで主人公に執着するのか」という部分だと思うのだが、これだけで引っ張り続けるのはちょっと無理がある。
    主人公たちの出自の秘密とか、新キャラ登場とか、色々やってはいるものの、無理して広げようとしている感が強く、正直、私は途中で飽きてしまった。

    • 8
  9. 評価:3.000 3.0

    いるわけねえ彼ら

    殺_人者として育て上げられた主人公が、死後の世界で、自分を殺した殺_人の師匠みたいな人間と親子関係になり、新たな「人生」を歩み始めるのだが、という話。

    この死後の世界、という設定が独特で、簡単に言うと、生前に「こうありたい」と望んでいた人生が叶えられているパラレルワールド、みたいな感じで、かつ、生前の記憶を保持している人間もいる、というもの。
    この設定自体は、なかなか面白いと思った。

    ただ、どうにも引っかかるのは、「殺_人者として育てられた少年少女」も、「少年少女を殺_人者として育て上げる男」も、とにかく「普通すぎる」ということだ。
    そんな人間たちが「普通」のはずはないだろう。
    じゃあどんなふうに描けばいいのか、私にはわからない。
    なぜなら、そんな奴らいるわけねえからである。
    ただ、この「いるわけねえ」人間にリアリティーを感じさせるのが、フィクションの本分というものではなかろうか。

    • 3
  10. 評価:4.000 4.0

    豊富なオマージュ

    ざっくり言うと、ホラー映画の巨匠を志す主人公が、有名ホラー映画のキャラクターたちとバトルする漫画。

    私はまあまあのホラー映画ファンなのだが、ちょっとホラー映画に詳しい読者なら、元ネタはまず間違いなく知っているレベルのラインナップである。
    著作権の都合上、作中でタイトルなどは変えてあるが、取り上げられているホラー映画は、「IT」「キャンディマン」「エルム街の悪夢」「チャイルドプレイ」などなど。
    漫画の随所に元ネタへのオマージュがあり、ホラー映画ファンとしては、普通に読んでいるだけでも楽しい。

    当然、作者自身も相当なホラー映画マニアであることが推測されるが、作品の方向性としてはそこまでマニアックに走ることはなく、このあたりは、よくも悪くもある程度、一般読者にも通用し得る内容になっている。

    主人公は少年漫画の典型的なヒーローでは全くなく、いわゆる芸術家気質というか、「地獄変」的というか、善も悪もなく、あくまで映画を撮ることが最優先、というぶれない信念のもとに行動し続けるズレた男なのだが、「俺のカメラにガキの死ぬシーンはいらねえ」と子どもを命がけで守るなど、ちゃんとヒーローをやっていて、なかなか巧みに作られているとも思った。

    ただ、バトル漫画という側面で見ると、バトルそのものの工夫やインパクトはちょっと乏しいような気がして、そういう部分の物足りなさは感じた。

    • 3
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