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121 - 130件目/全144件

  1. 評価:4.000 4.0

    硬派な力作

    ネタバレ レビューを表示する

    妻が亡くなり、自らも癌に侵されて余命半年を宣告された男のもとに、14年前に失踪した娘が他殺体で発見されたという知らせが届く。
    殺_人の時効まで、あと半年…というストーリー。

    実に硬派な漫画で、大規模なトリックとか、猟奇的な動機どか、そういうのはなく、あくまで現実的な枠の中で、一人の男が執念を持って素人捜査をやり遂げる様を、丹念に描いた力作である。

    最初は冷たかった警察サイドが、主人公の必死さに打たれて力を貸してくれる描写や、主人公がかつて心を通わせることが出来なかった娘の本心が、捜査の中で明らかになる過程も、胸が熱くなる。

    ちょっとモノローグが多すぎるような気もするが、まあ、よしとしよう。
    いささか都合のいい展開も、主人公の執念を思えば、神が味方してくれたということで、よしとしよう。

    ただ、ラストは主人公、死ななきゃ駄目だろう。
    私は別に、何でもかんでも登場人物の死を願うような猟奇的な人間ではないが、どういったって、主人公の死をもってしか閉じられない作品というのはあって、本作なんかは、その典型だと思うのだが。

    • 2
  2. 評価:4.000 4.0

    理想的なタッグ

    話としてはそこまで凝ったミステリ的な深みはないが、それでかえって、漫画としての勢いで読ませる、コンパクトでスリリングな作品に仕上がっている。
    ストーリーはシンプルな反面、道中で様々な小道具を駆使して盛り上げるのも、まさに匠の技である。

    心理描写の雰囲気なんかは完全に「カイジ」のそれで、「絵」なしで作者のカラーを感じさせるというだけでも、福本伸行の色の濃さは大したものだと思う。
    ただ、これで「絵」が福本伸行だったら…と考えると、正直、これほど緊張感のあるサスペンスになったかは疑問符がつく。
    そういう意味でも、本作のタッグは理想的だった気がする。

    話の尺も、絶妙なところ。
    これはもう、一気読みするしかないだろう。

    • 2
  3. 評価:4.000 4.0

    あることないことアンダーグラウンド

    相当に粗削りではあるけれど、この作者の特性みたいなものはばっちり表れていると思った。
    それはつまり、虚実ないまぜのアンダーグラウンドの世界を作品内に構築し、そこに妙なリアリティーと説得力を生む、ということだと思う。

    「闇金ウシジマくん」にしてもそうなのだが、私たちの多くは、本物のアンダーグラウンドの事実など、知らない。
    それを上手に利用し、「ここまではさすがにないだろうけど、でも、ありそう」という微妙なラインを突いて、フィクションとしてのアンダーグラウンドを編み上げることについては、圧倒的な力量があると思う。

    画力も、キャラクターの造形も、世界観の整合性みたいなものも、この作品の段階ではまだまだ緩いのだけれど、既に作者の本質が見えるという意味では、貴重な作品。

    • 2
  4. 評価:4.000 4.0

    両親を殺されて以来、雨の日限定で、人の背後に「殺_人の履歴」が見える能力を身につけてしまった主人公の少年と、殺_人者の肉を食べて生きている謎の少女の、変則バディー漫画。

    展開はスピーディーでスリリング、没入感はなかなか高い。

    面白いのは、二人の価値観や利害が、必ずしも一致してはいないところ。
    少年には、両親を殺した犯人に復讐するという大義があり、ノーマルな倫理観も持ち合わせているが、少女の方は人でなしもいいところで(多分、人じゃないんだろうけど)、例えば、たくさん人を殺した人間の肉のほうが美味しいからという理由で、平気で目の前の殺_人を看過しようとする。

    この二人の関係性がどう変化していくのか、弱々しい主人公がどう成長していくのかも、見どころだろう。

    • 2
  5. 評価:4.000 4.0

    異様な絵

    いわゆる「世にも奇妙な物語」的な作品。

    基本的に救いのないストーリーが特徴だが、何といっても凄いのは、その異様な絵である。
    漫☆画太郎から技術と滑稽さを取り払ったような絵だ。
    こう書くと「それじゃ何も残らないじゃん」と思われるかもしれないが。

    ホラー漫画以外では成立しない類の絵であり、こういう作品を読むと、特にホラー漫画では、上手い・下手以上に、「合う・合わない」が大事であることがよくわかる。

    • 2
  6. 評価:4.000 4.0

    二度の打ち切り

    少年ジャンプ史上、二度の打ち切り、というか、そもそも一度打ち切られて再開した漫画というのは、本作だけらしい。

    一人一人のキャラクターがよく立っていて、学生時代、大好きだった。
    「動」のガウェインと「静」のランスロット、激情の東堂院と執念の黒峰のカップル、謎の王煉、カッコよすぎる無敵のトリスタンなど、今でも鮮明に思い出す。

    後半はもう、小学生がドライバーで450ヤードかっ飛ばすとか、中学生が70ヤードをワンパットとか、120ヤード以内ならほぼ確実にチップインとか、バトル漫画のインフレに陥ってしまったが、「本格ゴルフ漫画」ではなく「ゴルフバトル漫画」としては、抜群に面白かった。

    多くの登場人物たちの背景にドラマがあり、作者が、一人一人のキャラクターに愛情を持って描いているのが伝わる漫画だった。
    彼らのバックグラウンドの描き方は、切なくて、でも重すぎない、少年漫画としては理想的なバランスだったと思う。
    特に、トリスタンの過去の物語は出色であり、大会後、ガウェインの飛行機を見送るトリスタンの表情には、心の底から感動した。

    星をひとつ引いたのは、やはり、二度の打ち切り、特に二度目の打ち切りによって放り出された多数の「描かれなかった」部分が、あまりに残念だったためである。

    • 2
  7. 評価:4.000 4.0

    法医学と哲学

    法医学、という分野に何の知識もなかったので、新鮮に楽しめた。
    いや、むしろ、法医学に何の知識もなかった「けれど」楽しめた、ということに価値があるのかもしれない。

    一話のエピソードは短めで、比較的ライトなミステリ調であり、いい意味であまり頭を悩ませずに、サクサク読める。

    スーパー法医学者の桐山ユキは、冷たいようだが一本筋は通っていて、強い価値観というか、確固とした職業観念に基づいて生きていることを感じさせるキャラクターであり、なかなか魅力的だった。
    「死んだら一人だよ。一人ずつ冷たい解剖台の上に寝かされる」
    という台詞には、彼女の哲学が垣間見えたような気がして、結構グッときた。

    • 2
  8. 評価:4.000 4.0

    奥様は怨霊

    どういう経緯かはわからないが、妻が怨霊である、という夫婦のホラー・コメディ。

    ホラー映画の典型みたいな描写や展開を逆手にとって、巧みにギャグ化している。
    怨霊である妻の行動は、「幽霊が頭につける三角のやつを洗濯物として干す」「夫が忘れた弁当を届けに会社のトイレの鏡から現れる」など、かなりキレがあり、細かい着眼点が面白い。

    B級ホラー映画がしばしば「こんなのギャグじゃねえか」と感じられるように、もともと、ホラーとギャグは紙一重みたいなところがある。
    そういうホラーの特性を上手く利用した、なかなか斬新で、楽しい漫画であった。

    • 2
  9. 評価:4.000 4.0

    相棒は自分

    タイムスリップした先で過去の自分を相棒にする、という設定は斬新に感じた。
    「自分のことだからこそわかる」という仕組みを上手に利用した展開もあり、なかなか巧みだと思った。

    ストーリーは、過去の自分の冤罪を晴らすため、真犯人を追う、というのが基本線。
    異様な犯行、テンポのいいミスリード、二転三転する真相と、サイコサスペンスの映画のようで、気になる破綻もなく、かなり引き込まれた。

    ちょっと気になったのは台詞回しで、いくら漫画とはいえ、「そんなこと言うかいな」という部分がかなりあった。

    ただ、ストーリーが魅力的だったのは確かで、これだけのサスペンスをオリジナルで組み立てられる技量は、大したものだと思った。

    • 2
  10. 評価:4.000 4.0

    意外な引き出し

    作者の引き出しの豊富さに驚いた。
    ミステリとしていわゆる「本格」の域ではないけれど、それを求めてこの漫画に手を伸ばす読者はほとんどいないだろう。
    むしろ、意外にちゃんとミステリしている、という印象だった。
    緊張感に溢れるゴリゴリのミステリではなく、一風変わった軽快なミステリである。

    この作者は、漫画としての「ちょうどよさ」みたいなものをよくわかっている気がする。
    このミステリの「軽さ」にしてもそうだし、絵柄にしてもそう。
    疲れずに心地よく読める。
    それこそ料理じゃないが、さじ加減が絶妙である。

    ただ、欲を言えば、最初の「エピソードゼロ」的な話は、もっと後半に持ってきたほうが、構成としてはパリッとしたようには感じた。

    • 2
全ての内容:★★★★☆ 121 - 130件目/全144件

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