5.0
完成された隙のない作品
だと思います。
今まで、なんでキープに寝かせておいたんだろうと、本気で後悔しました。
ヤクザの世界を書いた作品は他にもいくつもあるけど、この作品くらいBLでなければ描ききれないだろうと思わせる作品はないと思います。
ヤクザの息子という出自。家系に合わない傷つきやすい性格。しきたり。因縁。誰かの思惑。どんどん身動きがとれなくなっていく人生の中で、若と畑中を支えていた約束は、他人がきいたら戯れと思ってしまいそうな淡い約束だったように思います。
けれど15年、若と畑中はそれに賭けた。お互いが側にいたから、腐ることなく。墜ちることなく。
作中「Vシネかよ」と言われていたが、二人の想いは間違いなく本物の純愛ですよ。(でも、二人の逃避行を「駆け落ち」と言ってくれた金本さんは本当に好き)
若の「小指の先、爪の先まで俺のもの。堕としていいのは俺だけ」という台詞が正しく愛の言葉として胸に落ちるのはBLだけだと思いますし。世界中の何を敵に回しても「ヤクザ役、限界」の一言のために人生かけた畑中を誇らしく感じるのもBLだけだと思うので。安心して背中を預けて戦えて、胸の中にある愛はどんなものでも汚すことができない世界観を、余すことなく描ききることができるBLって本当に素晴らしいと思いながら、実はポイントの関係で金本の話が読めてないので、これを読むことを来月までの心の支えにして、今は若と畑中の幸せな未来をニヤニヤしながら祈りたいです。
この作品、映画にならないかなと、今更ながら願っています。
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