幸せの輪
「シークレットノート」「ハイドランジアケージ」そして今回の「イノセントベル」、前2作の全てが繋がる読み応えたっぷりのお話でした。
天宮家にまつわる3組の恋人たち―雨情とヨヒラ、快晴と小枝(!)、そして朝陽とトトキのそれぞれがそれぞれのドラマを乗り越え、長い年月を乗り越えて、まさに運命の歯車が噛み合うように幸せの輪に引き込まれていく様子に、自然に涙が落ちました。
朝陽の妹で医師のユイの存在がまた救いでした……。
今回のタイトル、なぜ「ベル」なんだろうと思って調べたら、トトキの名前の由来である桔梗の学名Platyscodonのcodonとは、ギリシャ語で『鐘』の意味なんだそう。それでベルなんですね……。紫色の凛とした桔梗が少しうつむき加減に咲いている様子は、まさに美しく芯の強いトトキのよう。作家さんのネーミングセンスにも脱帽です。
少し硬質な特徴のある絵と、お話の雰囲気がマッチしているのも◎!!
とにかく、前2作も含めて通読するべき傑作だと私は思うのです。
- 5
5.0