【ネタバレあり】十二夜のレビューと感想

十二夜
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  1. 評価:5.000 5.0

    どうしようもなく悲しい抒情詩

    私は好きです。なかなか本題に辿り着かないとのご指摘もありますが、絵の美しさも相まって、壮大な抒情詩のような始まり方が、とても新鮮で引き込まれました。けれど最後の最後に、こんなどうしようもない悲しみが待っていようとは。

    溢れ出る叫びがスピード感のある文字の連射で描かれたかと思うと、花びらの落ちる静寂の中で悲哀を描く様な、緩急のある感情描写で心掴まれました。

    テルとリュウの、特にテルの生きてきた“人生"が、そしてこれからが、なんと残酷で苦しく、でも美しく悲哀に満ちていることか。孤独と絶望の中で死んでいったゲン。ただ一つのこと以外は忘れてしまったナナ。テルとしっかりと手を繋ぎ共に前を向いて生きてきたのに、やっと奪い返した王座についた時、"弟"のようなテルを失っていたリュウ。

    大人達の思惑の中で翻弄された、4人の若者達の人生を想う時、蝶々の子守唄が悲しく響きます。血生臭い殺戮と醜い権力争いの真っ只中で生きた、激しくも哀しい美しい生き様。

    どうしようもなく悲しい。

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