4.0
だし巻きたまご
お金を狙われて犯罪に巻き込まれ…とありがちな展開ですが、有害物質の影響を受けた主人公が恐ろしい姿で甦り、犯人たちに復讐を遂げるという、斬新な物語です。
復讐相手達は、着飾って綺麗な皮膚を纏っていても、中身は金に執着した醜い鬼。
対する主人公は美貌を著しく損なってしまったにも関わらず我が子を思う美しい心だけは失いませんでした。醜くなってもだし巻きたまごの優しい味はそのまま。だし巻きたまごは母の心を象徴する重要なアイテムです。
姿が変わっても、人の命を殺めてしまっても、我が子に母と呼ばれることができたのはひとえにこの心があったからだといえます。
個人的には、徐々に毒が抜けて復讐後元の姿に戻り親子幸せに暮らして欲しかったのですが、主人公は最後まで毒に蝕まれ続けるようです。
復讐の際、だし巻きたまごに毒を仕込むシーンがありましたが、母の心を象徴するこの料理に毒を入れてしまったこととそれが深く結び付いているのではないかと、そんな気持ちになります。
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